王さまの本棚 24冊目
『二年間の休暇』
J.ベルヌ作/朝倉剛訳/太田大八画/福音館書店
又の名を『十五少年漂流記』と発しやす。こちらの題名の方が有名なのかな?わたしも最初に読んだ抄訳版の題は『十五少年漂流記』でした。原題に忠実なのは『二年間の休暇』の方。らしい。フランス語、全くわからない。ジュヌパルルパフランセ。けど、アンドゥトロワのドゥ、と、ヴァカンスみたいな単語があるから、やっぱり二年間の休暇じゃないかな。
いま思えば、黒人の少年は投票権がなかったり、一番こまごまと働かされていたり、それが白人の少年たちにとって当然だったりと、時代を感じる描写もあったりしますが、それは恥ずべきものであっても隠すべき歴史ではなく、「昔はこんなことがあったんだよ。でも今は時代が違うから、良くなったんだよ。」という単純さでいいので、子どもに感じさせることが大事なのではないかな、と、ちびくろさんぽのときに思いました。隠しても、ごまかしても、いかん。子どもにこそ真実を。
わたしはだいたいが親の本を読んで大きくなったので、古い描写や昔の風習に触れる機会が多い方だったのだと思うのですが、「それは古い本だよ。」という単純な事実をキチンと教えてもらっていてよかったなあと思っています。むしろ、本とは過去に書かれたものであって、現在について書かれているものは児童文学……文学……児童書?という偏見があったりして、それはそれで困っています。ハリポタとか。あれは文学なのか。(魅力的だけど、翻訳ムニャムニャ以下100万字略)いろいろこじらせています。
この本は「生活を作っていく冒険」が楽しい。ロビンソン=クルーソーと同じで、一からではないにしても、島を探検したり食べられるものを工夫したり、ああ、アザラシを撃って灯りにする脂を取ったり、なんてあったなあ……ずいぶん忘れているなあ、いま読みたいな。
この本で、河馬だったかなんだったかな漢字を覚えたのでした、否、覚えてないわ。なんだっけ。あれ……(いつもこんな調子ですみません)