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「俺の家の話」によせて - たまにのエッセイ テレビとラジオ no.13

 同じドラマが好きな人を見つけると妙に親近感が湧く。テレビ朝日で先日放送された『有吉クイズ』で3時のヒロイン・福田麻貴さんの家に潜入したVTRの中に『マンハッタンラブストーリー』のDVD BOXを見つけ、僕はキラリと目が光った。そしてまた先日、FM COCOLOで音楽ライターの森田恭子さんがDJを務める『おとといラジオ』にて「クドカンドラマ勝手にBest10」という企画があり、その告知を見つけてリアルタイムで聴きにいった。宮藤官九郎のドラマ主題歌はどんな楽曲でも作品が呼び起こされてじわりと胸に沁みる。まじで最高の選曲だった!しかし森田さんは番組の中で、まだ1話しか観ていないという『池袋ウエストゲートパーク』を9位にランクイン。僕は干していた洗濯物を豪快に落とし、心の中で叫んだ。せめて全話観てください森田さん!!!

 さて、明日の話をしよう。宮藤官九郎が脚本&長瀬智也が主演の新ドラマ『俺の家の話』がTBSで始まる。愛着をもって呼びます。そう、長瀬くん!長瀬くんが今年の3月にジャニーズ事務所を退所して、どうやら芸能界から離れるらしい。つまり2人が生み出すドラマも今回が最後になりそうなムードだ。え、そんなの嫌だ。そんなの涙ぽろり、いや、涙ほろりじゃないか!初回の前から寂しさが漂う今回の新ドラマだが、大好きなドラマになる事は確定したと言っても良い。それは今作がホームドラマだからだ。

 宮藤官九郎がドラマで描く「家族」は、血の繋がりや生死の境を超えた親心の鬱陶しさと愛らしさがある。また、家族ならではの絶妙な煮え切らない心の距離感をユーモアを交えながら拾いあげる。ときに頑固親父のように、ときに拗らせた青年のようにくどく熱く、苦しく悲惨な状況でも絶対に侵されることのない愛情を肯定していく。深夜枠のドラマでも「それが家族なんです」と『11人もいる!』の劇中で歌われているように、家族はこうでなくちゃ・・という何となく漂っている意識をテンポよく叩き割り、人間関係や魂の存在の許容範囲を拡張させる。敵対する役に対してもある種の優しさがあるのは、一環して宮藤作品に言えることかもしれない。今回はホームドラマが軸にあるので、なお一層力強い作品になっているような気がする。どんなに悲惨な設定や社会情勢が盛り込まれた内容だったとしても、無さそうでありえる独特のシュチュエーションに、役者の芯の個性が生きたキャラクター、反復される台詞のフローが気持ちいい宮藤作品なのだから、身を委ねて楽しめるだろう。

 あとこれ余談なんですけど...宮藤作品はたまに同じギャグの台詞が別の作品でも使用されていることがある。まるでピクサー映画にA113が隠れているように。ジュディ・オングの名曲『魅せられて』の歌詞「南に向いてる窓をあけ」というフレーズを登場人物が窓を開けながら口づさむ。そんなシーンが作品を跨いで存在するので、今回も窓を開けるシーンには期待したい。

 とにかく!明日からの『俺の家の話』が楽しみだ!初回の前にこの投稿を完成させたくて、勢いで文章を書いてしまった。ちょっとクールダウンするため、自転車で近くのTSUTAYAへ行こうかなと考えている。まだ観ていない『流星の絆』を借りに。

2021.1.21



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