寄せてはいけない、寄ってはいけない(前編)
「寄せてくる感じが無理」
20代後半だっただろうか、当時婚活を頑張っていた同性の友人が言った言葉である。
婚活パーティー等を通して知り合った相手とのやりとりの中で、相手が自分に“寄せて”くると冷めてしまう、とのことだった。
分かる…!と当時の私もその場で強く頷いた。
心当たりがあったのだ。
以前働いていた会社で、会社内の趣味のサークル(平たくいうとオタクの集まり)みたいなものがあり、私も声をかけてもらって参加していた。
その会社を辞めた後も、飲み会などの集まりに呼んでもらったりしていたので、今考えても有難いことだったなと思う。
基本的にグループLINEでやりとりをしていたのだけれど、ある日私の個人LINEにメッセージが来た。
ひとつかふたつ年上の、男の人だった。
その人とは同じ部署で働いたことはなく、サークルに参加してから認識した人だった。
おすすめアニメを聞いてきて、同じものを「見てみます!」と言ったり
私が「部屋汚いんですよー」と言えば、「俺の部屋もほこりまみれですよ笑」と返してきたり
とにかく、やたらと同意してくる。
そういうLINEのやりとりが連日続いていたので、正直辟易していた。
冒頭の彼女が言っていた“寄せてくる”感じもこれと似たようなものだった。
同じアニメや漫画を見ることは決して悪いことじゃないし、本当にお互い部屋が汚いのが事実かも知れない。
でも、やたらと同意され、寄せてくる感じに対して、「本当にそう思ってます…?」と、何故だか身構えてしまい、苛つき、その人に対する好感度が下がっていく。
おすすめアニメを聞かれたから答えたけれど、布教している訳ではないし…とか
部屋が汚いのだって他に返し方があるのでは…とか(せめて「へーそうなんですか」ってワンクッション入れるなり、「自分も掃除が苦手で〜」みたいな表現を使うなりしては如何か。)
そんな風に考えてしまっていた。
当時はもやもやの原因がうまく言語化できなかったけど、今ならちょっと分かるかもしれない。
私のことばっかり質問してくるから身構えてしまうし、
やたらと同意されるとその人に自分がないようで苛ついてしまうし、
下心が透けて見えるから好感度が下がってしまうのではないか、と。
婚活を通して友人と知り合った男性たちは、そりゃあ付き合いたいとか、結婚したいとか、そういう気持ちがあっただろうし、あって然るべきだ。
でもきっと、その気持ちが最前面になってしまって、友人のことをよく見ていなかったのではないだろうか。
お付き合いや結婚の相手候補ではなくて、ひとりの人として見て会話をしていたら、「無理」って思われなかったのでは?
この記事を書きながら、ふとそう思った。
1000文字超えてしまったので、続きはまた今度。