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見る雀だった私が、初心者デス子になるまで②

「いちご!」


「にく!」


「ごはん!」


「まんぷくぅ~!」


夜のバスタイム。湯船に浸かりながら、スマホの画面を見つめ、なにやら言葉をつぶやく。


画面には、上がったときの点数表が映し出されている。


「よし、結構覚えてきたぞ!」


この奇妙な暗唱は、親の30符の点数計算を覚えるための デス子式暗記術。


デス子が雀魂デビューを決めたとき、まずやったのは 「ルールを学ぶこと」。



夜しか勉強の時間が取れない私は、効率よく学ぶために、勉強スタイルを 二つのパート に分けることにした。



1. しっかりメモを取りたい勉強(実践動画、ウザク本など) → 部屋でじっくり



2. 暗記系の学習(ルール、役、点数計算など) → お風呂でリラックスしながら




濡れた指を動かしながら、スマホを見る。


「7が全部見えると8と9が安全?」


「1を捨てたら4も上がれない?なんでー?」


わからないことは、ネットで検索しながら、少しずつ理解を深めていく。


そうやって、少しずつ 麻雀の世界が、手の届くものになっていった。








銅の間の前に立ち、深く息を吸い込む。


「ついに、ここまで来たよ……」


この1ヶ月間、コツコツと積み重ねてきた努力を思い返し、胸がいっぱいになる。

「行こう!」

もっと操作に戸惑うかと思ったけれど、雀魂は意外と直感的でプレイしやすかった。


これまでは、ただ誰かの打牌を見つめるだけだった。


けれど、これからは――


「パンッ!」


私が考えて、私の手で牌を切る。


緊張と興奮が入り混じった感情を抱えながら、牌を並べていく。


「ツモ!」


初めての段位戦が終わった。


一息ついて、着順の映し出された画面をじっと見つめる。


「ちゃんと……打ててたかも」


喜びがじわじわと広がり、胸の奥から溢れそうになって、気づけば両手を突きあげて叫んでいた。






初心を卒業し、雀士1に昇段する頃には、オンラインゲームのトラウマもすっかり克服し、自信がついてきた。


「そろそろ、一緒に麻雀を楽しめる友達が欲しいな」


そんな気持ちで、幽霊アカウントだったXを開き、雀士1に昇段したことを投稿する。


……しかし。


「ぜんっ……ぜん、いいね来ないじゃーん」


いいねは、たった1件。


(霜月のミセトさん、ありがとう……!)


「やっぱ……雀士1じゃ相手にされないよね~」


少しだけ肩を落とす。


けれど、しばらくすると、ちらほらとフォロワーが増え、リプをくれる人も現れ始めた。


Xの世界には、個性的で面白い人 がたくさんいた。


気づけば、現実世界よりも Xの世界でのやりとりのほうが増えていた。


ここでは、関わりたくない人とは関わらなくていい。


気の合う人とだけ繋がり、自由に好きなことを発信できる空間。


世間体も、肩書きも、何も気にしなくていい。


むしろ、ここにいる人たちのほうが、リアルの世界よりも 「本音で生きている」 ように感じた。






雀士1に昇段したデス子は、戦場を 銅の間から銀の間へ 移した。


Xで耳にした言葉。


「銀の間は魔境だよ」


その意味を、すぐに理解することになる。





「カン!」


卓上に牌が四つ並ぶ。


「えぇ~!?」



銀の間に入ると、驚くほど 槓 が多くなる。


「え、ちょっと待って、あなたトップ目だよね?」


トップ目だろうが、お構いなしに ノータイムで槓 が入る。


そのまま場は加速し、誰もが 爆発的な点数 を狙いにいく。


戸惑うデス子をよそに、また槓が入る。


――そして、思う。


彼らは、槓をすることで "戦う意思" を示しているのでは?








「トップ目でも、守るだけの麻雀はしない……槓だ!!」



「カン!」


「お主がその気なら、我輩も行かせてもらうワイ!槓だ!」


「カン!」


槓が、槓を呼び、場は一気に荒れ狂う。


彼らはまるで、甲冑を脱ぎ捨て、刀一本で斬り合う侍のようだった。


恐れを知らず、己の信じる麻雀を貫く者たち。


そんな彼らに囲まれた私は、圧倒され、なすすべもなく沈められた。


雀士2の期間は、まさに 沼。


止まったまま動かない段位ポイントにやきもきする。


けれど――


彼らに付き合う必要はない。


これまで学んできた麻雀を信じて、私は私の麻雀を打とう。






「おう!死神のお姉ちゃん!お主は槓をしないのかい?」


「あらあら、あなたはオリてばっかりね!それじゃあ私たちには勝てないわよ」



そんな声が、画面の向こうから聞こえてくる気がした。

ーーパシッ!


指先に力を込め、デス子は牌をそっと押し、彼等をジッと見つめた。


「さて……反撃開始なのデス!」







やっほ~!デス子なのデス💀!

最後まで読んでくれて本当に嬉しいデス。ありがとうございましたなのだ!

いや~、前回書いたnoteが、思ってた以上にたくさんの方に読んでいただき、さらに褒めて貰えちゃって、調子に乗ったデス子の鼻は、対面さんの顔にぶっ刺さりそうなのだ笑

今回のお話は、デス子が雀魂デビューを果たし銀の間で悪戦苦闘をしているところでした。

本編でも書かせていただいたのデスが、本当に良く槓が入り、基本ゼンツで向かってこられるので、否が応にも彼等の土俵に引きずり込まれ、ボロボロにされていました。

「お、お前ら山の民なのデスか~!」

そんなことを思いつつ、現在のデス子は雀士3(724/1000)まできました。出来れば今月中には念願の雀傑1まで昇段したいなと思ってます。

最後になりますが、引き続き雀魂とnote頑張って行きますので、応援よろしくなのデ~ス💀🩶

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