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「片麻痺って治るの?」⑦ 〜寝返りのあとDOする?「離床」「装具療法」ってなに?〜

Dさんは、大変意欲的にリハビリに取り組んでいました。
脳の自然回復に加えて1日3時間のリハビリに加えて、日中はベッドから離れて起きて過ごしていました。
これを「離床」と言います。
Dさんは、病前寝る時間以外は起きる生活をしていました。
当たり前だった「離床」は活動的な生活や体力、持久力に欠かせません。

Dさんは発症してからこれまで、病前と比べると圧倒的に離床時間が少なくなりました。
これにより重力に抗する時間が減り、筋力、心肺機能が低下します。目にみえるのは、体力、持久力の低下です。
寝返り動作がうまくいかなかったのは、麻痺に加えて体を動かす体力や持久力低下が大きく影響していたのです。
この事を知ったDさんは、気持ちを切り替えました。
合計3時間のリハビリも大変ですが、入院環境で起きて過ごすことは大変な事です。
また、麻痺した状態で離床するには工夫が必要です。
具体的には
ベッドから車椅子、
車椅子から椅子、
車椅子からトイレの便座への乗り移り(これを「移乗」と言い別編で解説します)、さらに乗り移るために腰を上げる事です。
これらの動作で手や足を使い重力を感じとり回復を促す機会とするのです。
鍵になるのが「装具」です。
リハビリには「装具」を使う装具療法があります。


装具療法とは、脳卒中後の麻痺や変形を改善するために、外付けの道具を使用する治療法です。
装具療法は、歩行能力や日常生活動作の向上にも効果があります。
装具療法は、患者さんや家族の方にとって、希望や夢を持つことができる治療法でもあります。
装具療法の効果を実感した患者さんの例をご紹介します。

・ある患者さんは、脳卒中後に右足が麻痺してしまいました。
この患者さんは、歩行中に右膝が折れてしまうことがありました。
そこで、長下肢装具を使用することで、右膝を固定して安定した歩行を目指しました。装具療法によって、歩行速度が2倍になり、歩行距離が10倍になりました。
この患者さんは、外出の自信がつき、趣味の釣りに復帰しました。
装具療法について、
「装具をつけると歩きやすくなりました。
釣りに行けるようになって嬉しいです。
装具は最初は違和感がありましたが、慣れると気になりませんでした」と話していました。
また、装具を外すときには、運動療法で右膝の筋力を鍛えることで、将来的には装具なしで歩けるようになることを目標にしました。

・別の患者さんは、脳卒中後に左足の動きが悪くなりました。
この患者さんは、歩行中に左足の甲が下がってしまい、つまずいたり転倒したりすることがありました。
そこで、短下肢装具を使用することで、左足の甲を上げてスムーズな歩行を目指しました。
装具療法によって、歩行安定性が向上し、つまずいたり転倒したりするリスクが減りました。
この患者さんは、安心して歩けるようになり、仕事の営業に復帰しました。
装具療法について、「装具をつけると足が軽くなった感じがしました。
仕事もできるようになって嬉しいです。
装具は見た目も気にならないし、履きやすかったです」と話していました。
また、将来的には装具なしで歩けるようになることを目標にしました。

・また、ある患者さんは、脳卒中後に右手が麻痺してしまいました。
この患者さんは、日常生活動作で右手を使うことができませんでした。
そこで、上肢装具を使用することで、右手の変形を防ぎ、関節の可動域を維持することを目指しました。
装具療法によって、右手の変形が改善され、関節の可動域が広がりました。
この患者さんは、装具を外すときに運動療法で右手の筋力や感覚を回復することで、将来的には装具なしで日常生活動作ができるようになることを目標にしました。
装具療法について、
「装具をつけると手が痛くならなくなりました。
手の形もきれいになりました。
装具は少し重かったですが、機能的には良かったです」と話していました。

これらの例からわかるように、装具療法は、患者さんや家族の方にとって、生活の質を向上させることができる治療法です。
装具療法は、ただ装具をつけるだけではなく、装具の効果的な使用方法や適切な外し方も学ぶ必要があります。
また、装具療法だけではなく、運動療法や日常生活動作訓練なども併用することで、より良い結果が得られる可能性があります。

在宅でも同様です。
在宅で下肢装具を使用することで、以下のようなメリットがあります。

・歩行速度や距離が向上することで、外出の機会が増え、社会参加やコミュニケーションが活発になります。

・歩行安定性やバランスが向上することで、転倒や骨折の予防につながります。

・歩行能力が向上することで、自立度が高まり、介護負担が軽減されます。

・装具を外すときに運動療法を行うことで、麻痺や変形の改善に効果があります。

以上のように、装具療法は在宅でも有効な治療法です。
ただし、装具療法は一人で行うのではなく、医師や理学療法士などの専門家の指導や監督が必要です。
また、装具療法には個人差がありますので、装具の種類やサイズ、使用時間などは患者さんの状態に合わせて調整する必要があります。
装具療法に興味を持たれた方は、ぜひ医師や理学療法士にご相談ください。
装具療法は、患者さんや家族の方にとって、希望や夢を持つことができる治療法です。装具療法で、あなたの生活をより良くしましょう。

話は戻り。
H病院は幸い「装具療法」に大変積極的な病院でした。
入院時忙しなく時間が過ぎたので、Dさん、ご家族は全ての説明は覚えてませんでしたが、その際に装具の説明はあり、Dさんのリハビリチームは「装具」の選定に入り採型の予定まで進んでいました。

Dさん、寝返りもままならない状態で、いよいよ装具作製です。
やること満載です。
頑張りましょう。

次の項では「離床」と「移乗」について解説致します。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
脳卒中になった方やその家族の方々へ、このnoteではリハビリテーションの方法や効果を分かりやすく紹介しています。

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