岩崎家のお雛さま
先日、静嘉堂でお雛様を見てきました。静嘉堂は丸の内のビルの中にある小さな美術館です。初めて行った時は、ビルの中を通り抜けする通路の途中にある入り口に気づかず警備員さんに聞いてようやく着きました。展示室内部には、昔のビルの大理石の柱がそのまま残されていて重厚な趣があります。
最初は、雛道具から。小さくて愛らしい長持や硯箱。爪の先より小さな硯や筆が箱の中にきれいに収まっています。箱には黒地に丁寧に金色の蒔絵が施されています。唐草模様の先まで緩まずに塗り込まれています。小さいのに、おおらかな雰囲気がします。これを出すの楽しいでしょうね。
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合貝は、小指の爪くらいの貝殻の裏に絵が描いてあります。ルーペが置いてあり覗くと細かい部分も手を抜かずしっかりと描き込まれていました。職人の気概を感じます。これは本当に小さいです。貝を見て合わせるのが大変そう。
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いよいよ、お雛様。
このかわいい頬がぷっくりしたお雛様は稚児雛といいます。ぱっちりした男雛の目元に愛嬌があり、女雛は切れ長の目で鼻筋が通った美人です。三人官女や五人囃子も、皆楽しそうな表情をして今にも動き出しそうです。皆、丸顔のぷくぷく童子。女雛の扇を持つ5本指の動きが微妙に変えてあり、いかにも品のいいお姫様の持ち方です。可愛くなーれと、思いながら作っていたかもしれません。
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今回、初公開の 白綸子地松竹梅鶴模様打掛。すごくご利益がありそうな名前です。白の絹地に極彩色の 鶴 松 竹 梅の花が刺繍されています。色合いが
派手で鮮やか。青にオレンジ、金色に紫、桃色に濃い桃色。十二単の色合い。
これをお召しになった三菱家の孝子夫人、さぞ美しく華やかだったに違いありません。
国宝の曜変天目も見れました。漆黒の地に映える妖しい星のような煌めき。このお茶碗でお茶を頂くと震えそう。不穏な美しさです。
どの作品の状態もよく、素晴らしいものばかりで見応えがありました。漆器や蒔絵、人形の衣装の刺繍、など贅沢な手作業が惜しみなく使われた素晴らしい工芸品に興奮しました。
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昔のお金持ちの雅なあそびを垣間見るようでした。人形好きな方に是非お勧めします。