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Photo by
fukayomimi
夜を漕ぐ
午前2時。
暗闇に溶け出してそのまま消えて無くなる。
そんな夢を見た。
明日の不確実性だと学者は言った。
朝起きたら毛虫に変身しているかもしれない恐怖だと。
そういう時代なんだ、と。
孤独は前提らしい。
ヤギやチンパンジーはそれを感じるだろうか?
生きてるだけでいいと言った、
大人が1人だけいた。
生きてるだけでいいとは思わない。
日々の雑踏の中で生活が消えていくから。
生がすり減っていくから。
生きているには理由が要らないが、
生きていくには説明が必要らしい。
女優は今日もインスタグラムで夢を踊る。
僕は生暖かいぬるま湯を啜っている。
かつてがいつかになって、
いつかがいまさらになった。
子どもの頃に輝いていた
夕陽はとうに沈んで、
くすんで鈍い煌めきが、
暖かい雨の残り香を放つ。
無邪気に跳ねていた時が、
戻らない空の下で。
人は歌うのでしょうか。
笑うのでしょうか。
それすらも闇に溶けていく。