見えない水槽の中に居続けるのか、外の世界を目指すのか ~星宙百景 2024 秋分・天秤座
科学的根拠や正解のない中で象徴を捉える
nico: 12年前、あるエステサロンのイベントで星の話をしてほしいと言われたときのこと。ちょうど、金星が太陽の表面を通過する(金星の日面通過)天文現象がありました。
地球から見ると、太陽の前をホクロのようにポツンとしている金星が少しずつ動いている様子が分かる、そんなささやかな現象です。
これを占星術的な象徴にあてはめると、太陽(=男性)の前面を金星(=女性)が通過することになる。それなら今後、女性も男性のような太陽の力を背景に持つ、社会的な地位の見直しや変化があるのではないか。そんな考えをお話させてもらったことがあります。
こうした見解に科学的な根拠はあるのか、と問われれば、そうではない。けれど、(現象を)象徴として捉え直すことが占星術の面白さであり、正しいか/正しくないかというよりも、こうした切り口を考えることが大事だと思うのです。
この時、はじめて河合隼雄さんの言葉「時代の痛みは個人の痛みであり、個人の痛みは時代の痛みである」を紹介しました。社会や時事的なテーマなり、人の心に働いていく様子を見ていくと、天体の運行は、本当に社会心理なんですよね。
ですから、今からお話することも、チャートに現れた象徴を追いかけながら、国も組織にも企業にもこんな影響が出ているのではないだろうか。そんな仮説を立てて、来月またそれを考えてみる。そんな練習の時間にしていきましょう。
私たちは流れる時間の中を生きている
nico: 今回は、さきほどお話したように、アセンダント(以下、ASC)から立ち現れているテーマを、社会や組織、企業や個人の心理や精神として読んでいきます。
四つの季節のASCサインの流れを見ると、蟹座―蟹座―双子座―蟹座となっており、一年を通じてほぼ同じサインが続きます。秋分のときには、必ずサインが一つ戻ります。後述しますが、この「戻る」こと自体にも大きな意味がある。これが季節図の仕組みです。
つまり、一年をかけて一つのサインを丁寧に解決していく。ここが、四季図の一番大事なところです。なぜ、今、私たちはこのサインに向き合わなくてはならないのか。四季図のASCのサインが示すテーマを考えることが一番の醍醐味でもあるのです。
では、春分からみていきましょう。
春の季節は、起承転結の「起」に相当し、物事が基本的には立ち現れてくるとき。それが、この一年をかけて解決していかなくてはならないテーマとなり、既に私たちは幾つか確認しています。
ちょうど、春分の前日3月19日に、日銀の植田総裁から「マイナス金利やめますよ」という発表が出て、春分を迎えました。ここから、まず金融のテーマが起こってきた。
それともう一つ、自民党の裏金問題がものすごい動いた。この二つが、今後、何か大きく進展していくのかもしれない、という見立てが、この春の時点でありました。
そして、夏は、起承転結の「承」にあたり、起こった物事を、さらに地固めしていったり、何かが明るみに出て理解が深まる時期です。春の出来事が「あぁ、こういうことだったのか」と具体的に明らかになっていく。
金融では、政策金利が上がり、円高になったと思ったら株価の乱高下の動きが起こった。裏金問題は、グズグズな中で岸田総理が辞任発言をし、総裁選への不出馬を表明。現在の総裁選へのきっかけとなる等、春の物事がどんどん明らかになっていくような動きがありました。
一年の流れを決定する春分図しか見ないという話しも聞きますが、私たちは流れている時間の中を生きている。一つのチャートを点として見るのではなく、こうした時間の動きとしてチャートを見ていくことは大事です。この二つの季節の流れから、どのように秋分へと繋がっていくのか。
今回注目すべきは、この秋分を迎える前の季節ー乙女座のイングレスチャートが、秋分図と同じ仕組みをもっていた。こうしたことも連続して見ているからこそ、分かる。これが何を意味するのか、詳しく見て行きましょう。
乙女座のイングレスチャートと秋分図の関係
まず、乙女座のイングレスチャートは、ASCに火星がある。それだけでも意味があります。元々ASCは、牡羊座火星の部屋ですから、そこに火星がいるのは非常に火星的なテーマを求められている。
加えてもう一つ、10ハウスの土星。元々10ハウスも山羊座土星の部屋ですから、同時に土星的なテーマも求められている。
つまり、今回の乙女座の時期は、間違いなく火星・土星的なテーマ、つまり「(既存の)型」――枠組みやシステム、法案などの見直しについて、問題視すべきときだった。
今回、自民党の総裁選候補者があんなに乱立し、立憲民主党は自民よりも党員が少ないのに推薦人が20人と言っている。他にも、小選挙区ってどうなのか等、いろんなところで仕組みを問う議論が、この乙女座期にかなり上がってきていると思います。
ということは、皆さんの人生、日々の暮らしの中で、全然上手くいってない仕組みがあれば、必ずここで明らかになるということです。例えば、「朝、この時間に起きるとダラダラしちゃう」、「こんな時間の使い方してたら何もできない」という素朴な話から、子育ての方法など、それぞれに「こんなことをやっていたら、埒があかない、建設的に物事を動かせない」という問題提起がやってきたはずです。
それを乙女座の水星的な視点=起こってることを冷静に分析し、仕組みに足りないことや必要なことを明らかにし、何が問題なのかを理解した。そこから次のサイン(天秤座・秋分図)へ動かしていこうとするとどうなるのか。
そこからの秋分です。秋分は、起承転結の「転」にあたり、物語が転じていく変化の時です。秋分の時期は、ちょうど天秤座~射手座にあたりますが、古典占星術では、天秤座の15度~蠍座の15度を「バイアコンバスタ=焼失の道/変容の道」と言われる道のりとなっています。
ここで消失するものは、これまでパターン化されたもの。今までのやり方を消失させ変容し、ここから物語を動かし、大きく転じさせないといけない。秋の季節は思ってる以上に、物事が活発に動き始める。これが、秋の重要なテーマになっていきます。
私たちは、数年をかけて活動サインの体験を求めらている
nico: ここで、ちょっと大きな流れから考えてみましょう。
去年の牡羊座にはじまり、ここ数年私たちは「ASCが活動サイン」を移行していく流れの中にいて、今まさにその体験の真最中ということです。
中でも、2023年と2024年は、牡羊座―蟹座という活動サインの土台作りがテーマになっている。
2023年、いろいろあった中でも特に顕著だったのが、「日本は安い、安い日本」になってしまったこと。ただ、これこそが牡羊座体験だと以前にもお伝えしました。
見えない水槽の中に居続けるのか、外の世界を目指すのか
nico: 一般的な占星術では「水エレメント」は愛や結びつきと言われてるかもしれないんですけど、実はそれが問題の原因だったりもする。
水は、とにかく器に入らないと確認できない。ここでは、水槽を想像してみてください。魚を飼ったことがあれば分かると思いますが、とにかく放ったらかしにすると藻や苔が生えて汚れてくる。たまに苔や藻がいっぱいで、中が見えないような水槽を見たことがあると思います。
でも、この汚れてくる状態は、水の基本的な性質です。元々、水は入れ物に入れて放っておけば、大抵、菌が発生して汚れる/腐るもの。だから、定期的に水を入れ替えないといけない。
自民党をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれませんが、外からは水槽の中に何がいるのか、何が起きているのか分からない。でも、中の魚(自民党員)は気分がいい。きっと餌は与えられて、水槽に守られて外から見えないし、ぬくぬくやっているでしょう。
それを急に洗おうとすると、中の魚がびっくりして、大変だ! となる。今回、水エレメントの蟹座が春分からASCになっているのは、「あなたの水はフレッシュですか?」と問われていること。
他にもっと広く大きな、もっと綺麗な、もっと気持ちよさそうな水槽もある。でも、外に出ない限り知ることは出来ないし、分からない。もしかすると、その魚も餌もいっぱい、ぬくぬくして気持ちいいねと思い込まされてるだけかもしれない。
でも、ずっと同じ水槽の中にいると、本当に分からなくなってしまう。つまり、同じ環境に慣れ続けてしまうと、麻痺してしまう。これが水の怖さです。
自民党を例に出しましたが、今回、こういう背景の中で総裁選がやってくる。既得権益を持っている人は、絶対に水槽を掃除したくないと思うんです。
時々、上脇教授のような人が頑張って、何かしらがリークされていくんですけどなかなかフレッシュな水には入れ替わらず、統一教会や裏金問題など、びっくりするぐらい、なかなか物事が解決していかない感じもあります。
ただ、秋分の季節、冥王星が最後の山羊座を通過したときに一つの決着があるかもしれない。本当に長く続いた安倍政権との決別がやってくるのかもしれないし、濁った水はまだ続く、そんな展開になるかもしれない。
先日の植田総裁の会見を見ていても、いろいろ含みがあるだろうなっていうのはやっぱり思うところです。政権も決まってない、アメリカの政治もまだこれからはっきりしてくる中で、金融政策をしばらく様子見するのはあるでしょう。
私としても、まずは今週末の総裁選、そして、アメリカの動きもちょうど蠍の季節に出てきて、それで来年以降の大きな世界の動きが決まってくるだろうと思っています。
今日は、そういう大きな動きがある以前に、まず自分の水槽ぐらいは掃除しておいて物事を見やすくしておこうという提案となります。
勇気をもって環境を変える、天秤座の力
nico: 自分の心がくすんでいると見る目もくすむじゃないですか。エコーチェンバーとも言われますが、同じサイトで、同じ人たちと、同じような情報を得ていると本当に同じようなことしか見えてこなくなってしまう。
先ほどの、外から見えなくなってしまった水槽を、勇気を持ってきちんと掃除しておくと何か違うものも見えてくるかもしれません。
12サインで、外の世界へ出ていく力をもつ、一番その影響力を強く持っているのは、やはり天秤座だと思います。
天秤座は象徴的に、風の活動サインで素数、そして活動サインとしても動きがある。意図的に動かすか、また動かされるか、そういう意味でも水槽をフレッシュにせざるを得なくなっていくでしょう。
今、この季節に天秤座で水槽をフレッシュにしておくべき理由もお伝えしましょう。
皆さん、ご存知だと思いますけど、2025年から様々な天体が動いていきます。特に、土星や海王星が牡羊座に移動するのは大きな影響があるでしょう。
だから、私が一生懸命、ここまで活動サインについて繰り返しお伝えしているのは、活動サインが苦手だと、自分の持っている少ないリソースの中で最大の効果を出す力がない。そうなると、国も企業も、どうやってこれから生きていくんだろう。それが自分自身にも問われていく。
今日繰り返しお話した、この活動サインのアセンダントは、この後、柔軟サインに切り替わってしまいます。ですから、とりあえず今やっておけることとして、活動サインらしいことに取り組んでほしいと思っています。
アセンダントが双子座に戻る意味
nico: 最後に、今回のASCが双子座に戻る意味を考えてみましょう。
ここで大事なのは、双子座は蟹座と共にICを挟んでいる。つまり、風エレメントの力と共に蟹座、土台を強固に、根っこをしっかり下ろすはたらきがある。
先ほど、水エレメントの怖さをお話しました。蟹座ばかりやってると水槽の中が分からなくなる。だから、一度戻って双子座・風のエッセンスでICを強化しましょう、ということです。
結局、このICは何かというと、とにかく自分の根っこは何なのか。本当に、自分がどんな人間なのか本質的なものに立ち返ることは、もう双子―蟹のもっとも重要なテーマです。
2025年は、とにかく選挙イヤーと言われています。参院選が7月に確定しており、衆院選は(解散総選挙になるかもしれませんが)本来は10月に予定されている。政治が動くのは間違いない。
国民生活にどこまでの影響が出るかは分かりませんが、来年以降、結局何か目減りして終わっちゃった、人にいいように利用されて終わっちゃった、そういうふうにもなりかねない。だから、ここで、きちんと自分の本質に立ち返って、やりたい方向性を理解しておかないといけない。
さて、この秋分で双子座に戻るのは、ICを強化することが分かったところで、参考にしたいのは、名前を出すのが少し憚られますけど、政界の壊し屋と異名をもつ小沢一郎です。この人は、双子座の権化みたいな人です。
彼がかつて、大連立を結成しようという動きがあった。変なドラスティックな政策で対立する、どこかから何かを引っ張ってくるのではなくて、とりあえず自分たちのあるものを利用したらいいじゃないか。そういう発想は、クールなアイデアだと思います。
急に何かやろうとしたって、政権は取れない。それこそ、中にいると全く分からなくなってしまうような中で、自分のサイズ感をわかっている、わきまえるというのは、客観的な知見がないとムリだと思う。
この秋分は、もうとにかくこれまでの水槽の中に入らない、一度外に出て自分の状況を客観的に判断してみる。自分で見る力が弱かったら、外の人に「自分の水槽ってどういうふうに見えてるのか」を聞いてみる。そして、その意見を積極的に取り入れる。風エレメントの強みはそこにあるのです。
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