時期読み百景 2023 天秤座 ~これまでとは違う手を打つ、流れを変える、打って出る、知恵あるところに新たな道が生まれる
書きはじめはいつも難しい。“今”を表現するのにもっとも相応しい象徴を何に求めるか。光の当て方で刻々と意味を変える象徴と、そして日々量産されるニュースとをどう結びつけていくか。
悩んだときは、“今”を照らす太陽サインを頼りにするのがいいだろう。
太陽は、太陽系の中心に輝く恒星であり、“今”を創り出すエネルギーである。
地球を太陽系の中心と据えるジオセントリックな視点で太陽系を眺めたとき、太陽は毎年ほぼ同じリズムで地球の周りを回り、同じ季節に同じサインを運行する。そして、秋の始まりは天秤座と決まっている。この一ヶ月は天秤座の太陽的なテーマから“今”をとらえることが象徴解釈の近道になるのだ。
では、天秤座とは何だろう。大まかな捉え方として、サインの支配星、陰陽というポラリティ(極性)、活動・不動・柔軟というモダリティ(活動様式)、火地風水というエレメント(構成要素)などを考え、そこから各サインのイメージをつくってみよう。
すると天秤座は、支配星は金星、ポラリティは陽サイン、そしてモダリティは活動サインでエレメントは風エレメントとなる。
占星術の現場では、これらの象徴を組み合わせながら、そのときに最もふさわしい言葉を生み出していくわけだが、この「そのときに最もふさわしい言葉」の定義がそもそも難しい。多くの占星術学習者がつまずくのはこの点であり、そして占星術を怪しげなものと考える人たちは、まるで根拠がないように思えるこの作業を疎ましく思うわけだ。
では、「そのときに最もふさわしい言葉」とは何か。結局、太陽であれ、惑星であれ占星家の私たちはその「光」を観察する者であり、そしてその光とはこちらに返ってくるもの、反射である。太陽の光を通して、このチャートはどんな光の反射が返ってきたのか、それを感じとり、必死にその感じを言葉にしていくこと、それが占星術の技術であり、「そのときに最もふさわしい言葉」とは、チャートから放たれた光をどう感じたのか、その反射から受けた反応を言語化していくこととなる。
最初からいきなりややこしい話をしているが、つまり、そのとき受け取った反射は人それぞれなわけだから、そうなると占星術には正解がないことになる。そう、これが当てる占星術が目指す限界であり、個人中心的な心理占星術の出番である。
心理占星術はこう考える。占星術には常に自分の影が付きまとう。チャート読みは、自分自身の反応に付きまとわれながらも、その反応に無自覚にならないように丁寧に読み進めていく必要がある。自分の反応の癖などを意識し、そうはいっても無自覚であろう自分の反応の癖に追い立てられながら、それでも“今”にふさわしい言葉を探し求めていく、非常に虚しくも、ユニークな作業、それが象徴を言語化していくということに他ならない。
そして、熟練していくと、自分自身の反応から少しずつ逃れ、自分以外の人の反射に対する反応を言葉にできるようになっていくかもしれない。
太陽と天王星の90度という反射に対し、自分はこう反応しているし人々はこう反応している、ならば“今”にふさわしい言葉を〇〇にしようというように。
または、私がやっているもう一つの言語化の方法がある。象徴は普遍的であるという考え方を用い、“今”を考えるだけではなく、象徴の本質に迫るというやり方だ。たとえば、天秤座というのはそもそもどういうサインなのか、それを歴史や人から紐解いて言語化していく。
「アポロンの竪琴」という連載では、太陽サインにちなんだ著名人の言葉を紹介しているが、100年前に生きた人の言葉であっても、その言葉が、“今”にふさわしく感じることがある。むしろ、“今”まさに必要とされている言葉というのがある。そういった普遍的なものをとらえることで、逆に“今”を強く理解することもできるのだ。
トランジットチャートを読むというのは、このような工夫のもとで成り立っている。象徴とは、つまり「人」が介在しないと何でもないということだ。
では、今回はどんなリーディングを紹介していこうか。どんな反射からどんな反応を考え、どんな普遍性を引き出してみようか。
まず、太陽・天秤座とASC・水瓶座から考えてみる。この2つに共通しているのは風エレメントである。ASCの支配星の天王星も3ハウスに入室、その他、天秤座が支配している7ハウス、水瓶座が支配している11ハウスも強調されている。7そして11、この2つの数字は素数である。素数というのは、他の数字では割り切れないことから、これまでのやり方で何とかなるというわけにはいかず、新しい可能性をつくっていく必要があるということ。
予定調和とか忖度とか、そういった慣れ合いの態度では風は流れてくれず、空気は澄んでくれない。窓を開け放って空気を入れ替え、よどみを解消する、それがサインの構造であり、そして私自身も今、そのような反射を受け取っていることは確かである。
おそらく岸田内閣もしかり、そしてジャニーズ事務所もしかり。
代り映えしない、または後退しているかのように見えるやっつけの施策、対策では世論は納得いかない。本当に変わったのだ、または変わろうとしているのだという覚悟が見えなければ、誰にとってもプラスにはならない。「女性活躍」に取り組もうとしているようには到底思えない内閣人事、負の遺産にしがみつく組織、そこから動き出す覚悟は本当にあるのか。
素数をやる=これまでとは違う手を打つというのは、決して簡単なことではないだろう。けれど、流れを変えるためには、打って出る勇気が必要になる。これが風エレメントのエネルギーの打ち出し方なのだ。
海産物も旅行客も、いつまでも中国頼みというわけにはいかないだろう。日本人の水産物の消費量が20年で40%ほど減少しているという。販路を海外に求めずとも、国内消費の喚起、そのための施策、対策をしていくことだってできる。処理水問題、基地問題もひずみを地方に押しつけるのではなく、国が積極的に関与するべきだろう。
岸田首相は、物価高騰を緩和するための対策、賃上げ促進に向けた具体策など経済対策の柱を25日に表明するという。新たな動きが生まれるのかどうか。その覚悟を見せ、解散を視野に入れるのか、ひとまずこちらは見守りたい。
個人/企業も、そのような変化をつくり出していくことは、天秤座期の目標としては無駄にはならない。では、停滞している箇所にどう風穴を開けるか、その方法をいくつか考えてみよう。
ここで天秤座生まれの作家である坂口安吾の言葉を紹介したい。
かなり大胆で刺激的であるが、ある意味まっとう、まさに天秤座らしい表現である。この「まっとう」というは、冒頭の「俗なる人は俗に、小なる人は小に、俗なるまま小なるままの各々の」ということになるだろうか。つまり、天秤座の支配星・金星の重要な意味、自分以外では決してないもの、等身大、本性ということである。
自分/自分たちは必死に取り繕っているようでも、周囲にはあるべき姿が見えている。こんな自分を見せてやろうと思っても、人の目にはそうは映らない。「俗なる人は俗に、小なる人は小に、俗なるまま小なるままの各々の」ということだ。
歌が好きなら事務所なんか関係なく歌えばいい。形骸化した組織など飛び出し、自分の「必要」を生きればいい。そこで仲間や理解者を「新らたに造ればいい」。自由な関係性は、お互いにいい刺激を与え合える。ゆえに「バラックで、結構だ」。
風エレメントの支えは知恵である。知恵があるところには新たに道が生まれる。知恵はお金がかからない。「やってみる」「試してみる」ただこれだけ。
わたしの、あなたの道は開けるだろうか。それともまだまだ覚悟が足りず、足踏みは続くだろうか。
2023年の天秤座期は、まず客観的に「俗なる人は俗に、小なる人は小に、俗なるまま小なるままの各々の」を考えてみたい。こういうのは人に聞いたほうが早いかもしれない。世論、周囲からのフィードバックを利用し、自分の像を組み立て直すのもありだろう。支持率が横ばいなら、または下がっているようなら、何かしらの手は打ってみる必要はある。
または現状に「よどみ」を感じているなら、やはり新鮮な風はとり入れたい。
ようやく窓を開けると気持ちのいい秋風が入ってくるようになった。虫の音が心地いい。
風が吹けば動きが生まれる。動くことで世界は変わる。風エレメントとは、新しいものとの出会いも約束してくれる。自分の感性を刺激してくれる人、モノ、体験が新しい場所へと運んでくれるかもしれない。
わたしの、あなたの中から、どんな知恵が生まれてくるだろうか。そして、動くことで得た出会いが、どんな自分を見せてくれるだろうか。それを楽しみに、この期間を過ごしてみたい。
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それを理解すると、「自分はどうなのだろうか」と自身の生き方を振り返り、「わたしならではの人生とは何か」「生き方そのものを立て直そう」という意識がうまれてくるのです。
占星術の技術だけではなく、心の成長段階とは何かを考えることで、個人はもちろん他者との関係性から生じる力学、人間関係の問題など、実例を取り上げながら実践的な学びを深めます。
講座が終了する頃には、ホロスコープを読むために必要な知識はもちろん、言語化するのが難しい天体、サイン、ハウスの象徴を表面的な理解に終わらせず、鑑定の現場で使える自分の言葉=個性を生かして表現できるようになるでしょう。
いまを生きる人々のさまざまな人生を知ることは、自分の人生を振り返り、未来を創造する機会にもなります。心理占星術の学びとともに、自分自身の個性を理解し、育てていきましょう。
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