時期読み百景 2023 乙女座 ~わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解く
誰かの不安や憤りの上に私たちの暮らしが成り立つような社会はいやだ。ここしばらく、福島第一原発の処理水問題のニュースを見ながらそういった思いを強くしていた。
科学的にみれば人体に問題はないのかもしれない。風評被害は国が全面的に保証すると言っている。他国の海はもっと汚染されているという。確かにそうなのかもしれない。でも、それがどうしたというのだ。様々な情報にさらされ、ただ気分の悪さだけが残る、最近はそんなニュースばかりだ。
核兵器への投資に反対する企業が世界的に増加する中、オランダの平和団体「PAX」のレポートによると日本企業に対する評価は厳しいものだ。世界の55社が優良企業に選ばれている中、日本からは一社も選出されていない。GDPの成長率が6%上昇と言われても生活実感との落差は大きく、政府がコロナ禍で実施したゼロゼロ融資制度の開始から三年半が経ち、その返済に窮する企業の倒産が相次いでいる。
8/23に飛び込んできたニュースでも同じような印象を持った。セブン&アイ・ホールディングスが傘下百貨店「そごう・西武」売却を決定したという。※編集注:下部参照
原発をつくったり、じゃんじゃん金を撒いたり、外需の力でGDPを上げたり、会社を売ったり買ったりするのは、なんとイージーなことなのだろう。けれど、蒔いた種を刈り取ることは、どれほど大変なのだろうか。
もしかしたら、これが獅子座期から続いている金星逆行のテーマかもしれない。金星・獅子座的には未来の可能性に賭けて投資したい、創造したい、じゃんじゃん種を蒔きたいのかもしれない。だが、逆行をしている。ということは、蒔いた種を責任をもって刈り取ること、そういったことを要求されている。そんな印象を今回の金星逆行に見たのだ。
この金星はASCを支配しているだけでなく、8ハウスの支配星にもなっている。8ハウスは、5ハウス=獅子座の次の不動のハウスだから、5ハウス=獅子座の結果=生産や投資といった結果を受けての後始末、尻拭いをしなければいけないことになる。
5ハウスは陽=火の明るく前向きなエネルギーに満ちた場所である一方、8ハウスは陰=水の暗く後ろ向きのエネルギーのたまる場所でもある。つまり、より先に物語を進めていくためには(5ハウス)、尻拭い(8ハウス)が不可欠ともいえるのだ。
そして、この尻拭いは他者の想い、他者のニーズをくみ取るという意味もある。つくるだけつくって「汚物は放出させてもらいます、ご理解ください」「あなたたちの価値がなくなったから、あとはその次のオーナーと仲良くやってください」では、誰の腹の虫もおさまらないだろう。
これは、個人の金星逆行体験にも言えるのではないだろうか。
調子よく5ハウスをやったつけが回ってきた。良いイメージを想定して進めていたけれど、結果、思った結果は得られなかった。そんな話はよく聞くものだ。では、どうしたらよかったのだろうか。どのように尻拭いをすれば、これまでの生産、創造、投資、獲得の結果を満足した結果へと結びつけていけるのだろうか。
それには、今期の乙女座期にそのテーマを引き継いで、負の問題を解消し、本当に未来に価値のあるやり方を考えていけるといいだろう。
さて、ここからは2023年乙女座期の太陽イングレスチャートを見てみよう。
ASCは天秤座から水瓶座に移動している。しかし、引き続き金星は逆行しており、またASCの支配星の一つである土星も逆行している。
前向きに進むことは今しばらく我慢し、問題だと思っているものにしっかり着手すること。マイナカードのように、世論が収まればこっそり進めようといういい加減なやり方ではなく、穴を丁寧に埋めていくような、そんな解決が望ましいのではないか。
今月の言葉でも扱った乙女座の台湾総統・蔡英文が行った党立て直しのやり方を参考にしてみるのはどうだろうか。そのやり方はこうだ。
まさに、ASCのルーラーである土星は1ハウスの中でインターセプト。「病にかかっている党には安全な場所で横になって、先に一息ついてもらい、傷口を癒し、自分の力で回復してもらう」のがよさそうだ。
そして、まさに水瓶座はリノベーションという象徴が当てはまる。蔡英文総統の言う「もとの家の伝統的な気質を変えずに、これからも長く使えるように改築する」という「劇的ビフォーアフター」はまさに水瓶座的なテーマではないか。
ちなみに、ある講座で生徒さんからこのような質問をもらった。
さて、今月のテーマが見えてきたのではないか。自分の大事なものを治療し、治癒させ、これからも長く使えるよう改築していく。
国も問題が山積みのように、企業も個人も同じように問題は山積みのはずだ。
何をどう治療すると「わたし自身」が長持ちするのか。自分の蒔いた種を回収し、そしてどのように傷んだところを未来に向けて修復できるのか。
獅子座→蠍座→水瓶座の不動サイン=価値の循環、また金星・土星といった国/企業/個人が既に手にしている資源をどう無駄なく大切に扱えるのか。
パッパッと種を蒔いた先の後始末、そして再利用、限られた資源をもっともっとうまく使ってほしいし、自分自身ももっと大切に使っていくべきではないだろうか。
最後に、ここに乙女座の意味を加えておきたい。
12サインのちょうど真ん中の6番目のサイン乙女座は、12番目のサイン魚座と共にひとつの結果を受容するサインとなっている。この一ヶ月で見えてきた姿は、今の国/企業/個人のあるがままの姿ととらえることもできる。
ここまで努力してきた成果を手にすることもできれば、過剰や不足した問題点を目の当たりにすることにもなる。まずは現実を静かに受け入れること。この受容の力こそ、乙女座の冷静さ、分析の力を育てることになり、その力を利用し、治療や治癒へと向かうことになる。
この一ヶ月、わたしたちはどのような現実を目にし、それにどう向き合うことができるか。そのうえで、そこにある「価値」に出会い直し、未来へと続く資源へと育てていけるといい、そんな一ヶ月になるよう過ごしてみるのはどうだろうか。
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