見出し画像

熱があるのはおれなのに

 この間胃カメラを入れたからか、餃子屋で軽く飲んだらちょっと気持ち良くなって帰り道いつまでもうろ覚えなHoweverを熱唱したからか、朝起きたら声の出が悪かった。ガスガスしたその声は朝というか昼まで楽しんだ人の声のようで、なんだか自分でもちょっとおかしく楽しい気分すらあった。なんだろ、風邪とかにしては他症状ないしな、とその日も普通に働いてその後普通に飲んで軽くクラブでまた飲んで帰宅した。

 朝方起きて熱を測ると37.7度。やばい、これ風邪じゃないかも。ヘラヘラして普通に遊んでしまったおれバカ。
「声やばっ!!」
そう笑ってくれたり、乾杯したり、夜に見たいろんな人の顔が浮かんで猛省。バカバカ、ヘラヘラしてないでさっさと帰れよ。この何年かで何も学んでいないのか!

 声が出ないのでヒノ(彼氏)が病院に電話してくれた(熱がある人は予約制)。熱からくる全身のだるさは去年のコロナ感染の日々を思い出させられた。あの時よりマシなのか? 結局コロナの時より長く、1週間も寝込んでやっと症状が和らいだ。長い。年とかそういう話?

 その間、おれはゴホンゲホン横隔膜が痛くなるほど咳き込んではいたけれど、あとはヒノが用意してくれた雑炊やうどんを何杯も食べ、普段食べないゼリーやフルーツまでも食べ、ベッドルームを病気の人の部屋にしてヒノを部屋から締め出し(ヒノはソファー寝)、switchと漫画を持ち込んで眠くなるまで静かにしてゴロゴロリ。
「今日休みだしゆっくりしたい」
と言うヒノに、できれば家にはいない方がいいよ感染るかもしれないし、などと家を追い出しゴロゴロリ。でもしょうがない、治るためだもの。

「完治したぜ!!」
1週間後、おれの完治宣言へのヒノの返信は
「めちゃ吐き気する」
だった。うえー。だから言ったじゃん。でもおれ吐いてないから感染ってないよ、それ。せっかくおれ元気になったのに!

 ヒノの毎日はおれのため、でもお母さんじゃなくていいんだよ。もう治ったから一人でご飯も作れるし、一緒に寝てもいいし一人で寝てもいい。ソファで寝せてごめん、そのせいで体痛くて日帰り温泉行ったのに露天風呂休みでごめん。仕事で疲れてたのに楽しませる係休んでごめん、リフレッシュできなかったよね。漫画の最新刊もいくつも買ってくれてありがとう、おかげで積読にならずにすぐ読めた。

 さておれは何してあげよう。でも分かってる。ヒノはおれにしてほしいことなんてない。

 双子の片方が熱を出すとどこかでもう片方もくしゃみするとか言うけれど、あれって本当なのかな。おれらは双子というより親子だし、今回のことはそういうテレパシーみたいなのじゃないけど、その話を思い出して違いにちょっと笑った。リフレッシュできないまま何日もソファで寝て体痛い病からの内臓疾患だ多分。おれが元気じゃないとヒノも結果具合悪くなるの話。

#私のパートナー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?