「ショートショート王様。②」/毎週ショートショートnote
夫が嬉しそうに出かけた。
私は夫の好きな夕食をつくって待っていたい。
夫は台湾の人である。
名前は王であった。
であったと言うのは。
私達が結婚するときに日本に帰化してくれたから。
結婚して何十年も経ち、夫は定年退職して好きなことが出来るようになった。
子供は独立し、孫だって立派に育っている。
夫の夢は小説家だった。
日本に来たのは村上春樹が好きだったからだという。
だから。
日本で小説家になろうと来日したのだ。
働きながら講座や教室に通っていた。
だが。
夢が叶う前に私達は出会ってしまい、すぐに妊娠がわかった。
夫は台湾の名前と夢を封印してしまった。
家族のためにと一生懸命働いてくれた。
その夫が定年後、また小説を書き始めた。
ショートショートという短い小説。
夫は東京で開催される文学フリマに出店するという。
ペンネームは封印した本名。
孫が手作りで本の帯を作ってくれた。
『ショートショートの王様』と洒落たデザインの帯。
夫は夢が叶ったと微笑んだ。
下の企画に参加。①とアイディアは似たような、ですけどね💦
最初はこの話も絡ませたかったのですが、どうしても字数が(´;ω;`)
別作品と致しました。
たはらかにさん。作品数1000超え、素晴らしいです。
本当にいつも感謝です。