「しゃべるピアノ」/ショートショートストーリー
「都市伝説大会」募集という文字をネットで見つけたとき、これはと思った。知っている都市伝説を投稿すりゃいいらしい。なんのお遊びでもいいさ。金がでるなら。俺は金に困っている。優勝なんかしなくても、3位ぐらいの5万円でいいんだ。
都市伝説、つまり嘘でいい。嘘をでっちあげるのは得意だ。都市伝説ってだいたいホラーじゃないか。それじゃ、ありきたりでつまらない。
だから、俺は「しゃべるピアノ」という都市伝説を創作して投稿した。学校の怪談みたいなタイトルだが内容は全然違う。まだ募集中だから内容は言えないけどね。えっ、だってパクられたら困るじゃないか。あんたに酒をおごってもらったからといってもさ。それとこれとは別の話だ。
男は気持ちよさそうに居眠りを始めた。ビールには薬が入っている。
私は国家機密を守る機関に所属している。「しゃべるピアノ」の秘密を知っている善人じゃないが悪人でもないこの男を始末しなきゃならなくて、少し気が重い。