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「新しいアプリ。」/ショートショートストーリー

新しいアプリをいれてみた。面倒くさがりの私にはピッタリだった。それにいつもイヤホンだから、まわりに迷惑はかけない。

メールが毎晩来るようになった。だれだろう。相手がわからない。誰かの悪戯にしては思う。この2カ月の間、毎晩だもの。

少し、怖くなって親友に相談してみた。彼女は最初なんかの間違いじゃないのと笑っていたけど音がコントロールできないと知ったら心底心配してくれた。アカウントを変えるのが面倒でも一番の解決策だと考えた。

だが、アカウント変えてもそのメールは相変わらず届く。もう、私は少しノイローゼ気味になって携帯をみるのも怖くなってしまった。そして親友の携帯にもメールが届くようになったと聞いた時、鳥肌がたってしまった。親友とふたりでこれからどうするのかと悩んでいる。携帯がこんなにも生活必需品なっていたなんて。もう携帯のない生活に戻れないのに。


今では、世界中の携帯やパソコンがこの前代未聞のウィルスに侵されている。どんなセキュリティソフトも突破してくる。駆除できないのだ。たとえ駆除してもどこからともなくやすやすと侵入して乗っ取ってしまう。世界中が混乱していた。世界の動きを封じ込められているのと同じだ。誰がどんな理由でこのウィルスを開発したのか。各国が協力して犯人探しと対策に躍起になっているがお手上げ状態だ。何故なら電源をいれた途端、音声メールが自動的に起動してしまい、そして電源を切るまで悲しげに叫び続ける。

「なぜ。返事をくれないの。」

穏やかに過ごせるのは携帯やパソコンと無縁の人々だけだった。






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