わたしの誕生日物語
お散歩途中に、たまたま入ったうどん屋さんのおばあちゃんにいただきました。梅の実。ぬか漬けの糠に入れとくと、野菜が酸っぱくならないそうです。
腹ペコで、そのうどん屋さんに入ると、おばあちゃんが出迎えてくれました。
そのおばあちゃんは、わたしの靴をとても誉めてくれました。「お姉さん!いい靴履いてるね!服はボロでも靴が良けりゃいい!人はまず、靴を見るからね。いい靴履いてる人は、服装もちゃんとしてるよ。服はボロでも心は錦!!」
そのうどん屋さんは、懐かしい感じがしました。奥に、たぬきの剥製があったり、キューピー人形もありました。柱時計がチクタク鳴ってました。王さんと毒蝮三太夫のサインがありました。黒電話もあったし。新しいモノは、クリクラだけ。あとは、全部がなにか懐かしいモノばかりでした。
なかなか注文を聞きにきてくれないので、「すいませーん!肉汁うどんお願いします!」と言うと、おばあちゃんが、「もう作ってるよ!だいたい分かってるから!!」って。
おばあちゃんは、御歳93歳らしいです。うどんを食べているわたしに、なんだかんだ話しかけてくれました。そして、「漬けてたの忘れていたよ!お姉さんに出してあげて!」と、メニューにないのに、おばあちゃん特製のきゅうりとだいこんのぬか漬けを出してくれました。
おばあちゃんは、「ぬか漬け好きかい?おうちにあるのかい?だったら、この梅の実を入れとくといいよ」と言って、梅の実を何個かくれました。
おばあちゃんは、スマホで電話をし始めました。オンフックでかけてるので、相手のおじいちゃんの声も聴こえてきました。おばあちゃんは、その梅の実を、おじいちゃんにもあげようと思って電話したようです。
だけど、お互い、相手が何言ってるのか分からなかったのか、「え?あんだって?」みたいな会話がしばらく続き、わたしは、うどんを食べながら吹き出してしまいました。
まるで、志村けんのおばあちゃんみたいと思いました。
わたしは、ドリフのコントで好きなのは、もしもシリーズの志村けんが小さな狭い居酒屋をやってるコントで、「おしんこ〜」と言いながら、長さんに、きゅうりのおしんこを出したり、電車が通ると、その居酒屋がすごい揺れちゃって、おでんやお燗が溢れちゃって、「あちー?!あちー?!」となるのが、面白くて好きです。
あとは、加トちゃんとやるコントで、姥捨山のやつとタイガーマスクのやつが好きで、今朝もユーチューブで見ていて、涙を流しながら笑っていました。
うちの親も、ドリフ大好きです。だから、たぶん、わたしは、生まれた時から、まだ目が見えない時から、ドリフを見ていたんだと思います。うちの親も、涙を流しながら大笑いしています。
うちの妹の初恋は、志村けんです。
志村けんが亡くなってから、ネットニュースで、いろんな記事が載っていて、わたしも読みました。
志村けんは、結婚して、子どもが欲しかったそうですね。その子どもと、バカ殿で共演するのが夢だったそうですね。
でも、それは叶いませんでした。
だけど、わたしだけじゃないと思うけど、志村けんが亡くなった時に、わたしら世代の人たちは、みんな思ったと思うけど。
志村けんが死んじゃった時、みんな、自分のお父さんが死んじゃったみたいに悲しんだと思います。
わたしにとっても、志村けんは、生まれた時から見ていた人だから、お父さんと言うより、わたしにとっては、友達のケン坊て感じだし、寂れた神社に行けば、志村けんの神様が出てきそうだし、古いスナック見れば、志村けんのひとみさんが居そうだし、古い崩れそうな旅館見ると、ひとみさん居そうだし、なんか、わたしにとっては、わたしのおばあちゃんみたいな存在です。
だから、志村けんは、うちらにとったら、お父さんだし、お母さんだし、お姉さんだし、お兄さんだし、おじいちゃんであり、おばあちゃんで、神様です。
わたしは、今日、お誕生日です。いま、一人で、豊島屋酒造で買ってきた純米吟醸無濾過生原酒をちびちびやっています。
ひとりぼっちの誕生日です。
年齢は内緒ですが、この歳になっても、彼氏も出来ずに、だから、もちろん、旦那も子もありません。
しかも! 誕生日の前日には、職場のおばさんらに、「頭が悪くて、中身がない。(仕事は)楽しけりゃいいと思っているバカ」と力を込めて言われました。そりゃ、わたしは、そんなには頭は良くないですよ!大学も中退しています。算数も苦手だし、漢字も英語も苦手です。だけど、毎朝、そのおばさんらがいる職場に行きたくなくて、腹が痛くなるのに、頑張って、一生懸命、休まずに通ってるし、仕事も無駄口きくときもあるけど、頑張ってるのに!!
誕生日の前日に、こんなこと言われて、そりゃ、うどん屋さんのおばあちゃんに梅の実貰って、人の優しさに、ジーンときたし、豊島屋酒造では、5種類もの酒を試飲させて貰えて、嬉しかったけど。
たった一人で、誕生日。
うちの父は、「スーパーで揖保乃糸が安かったから、たくさん買っておいたから、今度持っていくねー!」って。まさか、それが誕生日プレゼント?!と焦りました。誕生日プレゼントに、座布団が欲しいと言ったら、母が、「うちに使ってない座布団あるから持っていくよ!」って?!わたしは、尻が痛くならない機能性の高い座布団が欲しいのに!!
誕生日なのに、誰からもプレゼント貰えてません。誕生日なのに。
そりゃ、おばあちゃんから梅の実貰えて、嬉しくて、昨日、「バカ」と言われたことなど、どーでもいいなと思えてきたけど。
純米吟醸無濾過生原酒は、チョー旨くて、幸せですけど。
可哀想じゃないですか?!
だから、わたしの願いを叶えてください!
いろいろ考えてみたんですけど、わたしは、モノはいらないので、どうか、
生き返ってください!!
志村けんへ
ひとりぼっちの誕生日を迎えたいっしーより