性感帯
漆野密子は、自宅のバスルームで深いため息をついた。
感じる。
ことが、ない。
こういうのをBとかQとか?
そういうふうに言うのだろうか。
密子は人を好きになったことがない。
今まで一度も。
と自分では思っているようだ。
そして、プライドはものすごく高いのだ。
どのプライドなのかと言えば、
こうして手でまさぐられていても、決してセクハラに遭っているとは思いたくないという珍しい勝気の性格で。
そして、今日もまた、あの男に呼び出され、
「採用します」
とは言われずに、太ももをずっと撫でられている。
私は、この男と恋愛をするのだ!
密子は、そう思った。
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