今夜こそは!の巻
わたしは、横浜中華街の母 月浜可憐の孫で、シャーマン見習いの天橋玲奈と申します。
そして、わたしが住むマンションの隣の住人、雲坂雅哉は、わたしの彼で、イケメンビジュアル系バンドメンバー風な木彫りアーティスト。
おかげさまで、わたしのシャーマン見習いも軌道に乗り、この間は、数年前に死んでしまった愛犬のニコちゃんとジュンくんの霊を呼ぶことが出来ました。これがわたしの初シャーマン!
わたしのシャーマンの師匠であり、わたしの祖母でもある月浜可憐は、横浜中華街の占い師と山梨系シャーマンのダブルワークをこなす、105歳にして、現役バリバリのキャリアウーマン。
月浜可憐曰く、わたしは、代々続く山梨系シャーマン家系の末裔らしく、遡れば、わたしのご先祖は、戦国時代の有名人 武田信玄に仕えた陰陽師だったらしい。ほんとかよっ!
そして、月浜可憐は、わたしが中1の時に心臓病で一回死んでしまったのだが、驚いたことに、蘇って、わたしの前に現れたのだった。
蘇ったわたしの祖母兼師匠の月浜可憐は、わたしを立派な山梨系シャーマンに育てるため、日夜奮闘中なのであります。
でも、今夜はそんなことは、どーでもいいの。
今夜こそは!!
「玲奈ちゃん...」彼がわたしを抱き寄せた。
「雅哉さん...」わたしは目を閉じる。
彼は、わたしの唇にキス。そして、ブラウスのボタンに手をかけて、ボタンを一つ、二つ外して。下着の中に手を...
わたしの小さな息づかいが漏れる...
そして2人は、流れるように一つになったんじゃと。どんとはれ。
ありゃ?!
「なってないぃぃぃ!!」わたしは、またまた急にうちに遊びに来た月浜可憐に泣きついた。
「なんじゃね?」月浜可憐は、うっとうしそうに、わたしの腕をほどくと、お団子をむしゃむしゃ食べた。
「雅哉さんと一つになれないのよっ! なんで? 一つになる寸前で、わたし、気絶しちゃうのよっ! なんで?!」わたしは、また月浜可憐に泣きついた。
「あんた、恥ずかしいわねぇ。そんな話、普通、する? おばあちゃんに」月浜可憐は、「まったく、いやぁ〜ねぇ、近頃の若いもんは、そういうの平気なんだからねぇ」とブツクサ言いながら、お茶をすすった。
しかしまた、もう一本のお団子を食べながら、月浜可憐は、「はて?」と考えた。
「つかぬことを聞くがのぉ。おたくの彼は、生きているのかい?」月浜可憐は言った。
「は?」
つづく
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