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性悪だけどノリコです!

わたしの去年はツイテなかった。
そうだからというわけではないけれど、クリスマス迄1カ月というと恒例のあのドラマを、1カ月以上前から見始めた。
会社に行く1時間前にそれを流して、BGMにして支度をする。
なんだか、楽しい時間で、髪型もあのノリコを真似して、そのうち、キサさんのようないい男に出会える気で、ウキウキしながら、ストールをたなびかせて田舎の道を颯爽と出勤していく。

去年、わたしは誕生日の次の週にコロナになり、会社を一週間休んだ。
2年前まで正社員で働いていたわたしにとって、この1週間の休みは、社会の厳しさを突き付けられた出来事だった。
当たり前だが、休んだこの1週間分のお給料はもらえない。有給もまだない。
アルバイトという身分になって、なんの保証もない、安い時給で雇われる弱い立場ということを、社会の底辺で生きているということを、コロナの重症の最中突き付けられた。
病院では、バカかよ! と思うくらいのお値段のコロナの特効薬を勧められ、これを飲めば後遺症が軽くなるらしい、けど分からないけど! と医者はなんだか適当なことを言っていて、お金がないとわたしが言うと、それまでしつこく高い特効薬を勧めていたが、じゃあカロナール出しときますと、すぐに引き下がった。
金がないと分かると、人間、判断が早いなと。

無駄なお金も払った。
元々、今の会社に採用されると思っていなかったので、マンションを出るつもりでいたのだが、何かの間違いで採用され、急遽、賃貸料の安いマンションに引っ越すことにした。
時給からして、それなりの賃貸にしか住めない。それは分かっていた。それに、破格の賃料のマンションには住んでいたことがあったので、そこにまた戻るようなもんだ、ご近所づきあいもあって、結構楽しかったし、とタカをくくっていた。
急いで決めたのがいけなかったのだが、そのマンションの築年数も相当で、窓の建付け悪く、隙間が空いていた。それに気づいたのが、契約した翌日で。会社帰りに、夜、掃除しに寄って初めて気が付いた。それに、内見の時は昼間で気が付かなかったが、夜は廊下にたばこの煙が充満していて、古い建物の湿気臭と油の臭いなんだろうか、それと混ざって、こう言っちゃなんだけど、気が滅入るほどの悪臭だった。吐きそうなくらい。

今のマンションは、前に住んでいたアパートに、二階なのに、なぜかムカデが数匹出て、害虫駆除業者が来て、駆除代4万以上も払っても、いっこうにムカデは住み着き、わいて出てくるばかりで。夜行性のムカデの恐怖に苛まれ(本当に夜にどこからともなく出てくるんだよ!!)、不眠になり、アパートにいられずビジネスホテルを泊まり歩き、そんな中でも仕事して、半ばノイローゼにかかりつつ、やっとの思いで辿り着いたという経緯があり。
とにかく、虫がもうダメ(どの種類もダメ)! になっており、ちょっと賃料高めでも、高層の部屋じゃないとダメ! ほとんど精神疾患状態で引っ越してきて、ここまで高ければ(高層)大丈夫! と安心して住んでいたマンションだったので、そこから、またGの巣窟のようなマンションに移動とは、考えてみれば、無謀だったのだ。早く気づけよ、バカ! と思った。

だから、違約金はもちろん払う羽目になりましたし、この低賃金のバイト生活で、今のマンションの更新料も払いましたし、で、賃料も払い続けているわけで。
住むところは確保できてるけど、とにかくギリギリな生活。

以前、老人ホームでバイトをした時に、利用者の方が、排せつ介助に入ると、必ず、「生きるって、本当に大変ですね」と、そのたんびにおっしゃっていたけれど、すごく身に染みる言葉。
生きるって本当に大変。

夏は夏で、あの暑さでしょう。
会社は、会社の決めた規定以上の距離がないと、アルバイトにバス代を出してくれません。
だから、灼熱地獄を毎朝駅まで通勤。
そのおかげかどうか、脱水症が癖になってしまって、人生初のこむら返りも、この夏の出来事。
こむら返りで会社を休むなんて、恥ずかしくて言えないから、怪我で休みますと嘘ついたけど、本当に痛くて、午前中いっぱいは歩けないくらいだった。

で、信じられないけれど、こんな中で、ストーカーにも遭った。
ここまで来ると、もう自分が可哀そうで泣けてくる。
この年で、まさかのストーカーに遭うって。
友人に相談しても、何を勘違いしているんだと鼻で笑われるし、親に相談しても話が訳わからん方向に行ってしまうし。
とにかく、この年で、ストーカー被害を訴えても、誰も相手にしてくれず、勘違いのバカ女扱いしかしてくれないのだと、よーく分かった。

その後も、ツイテないことは続いて。
いきなり、3日前に異動を告げられるとかね。
それまで、パソコン作業してたのに、異動初日に一人で置かれて、カビだらけの水に浸ったアレを洗わされるとかね。
涙が出ることは続き。
その不運にもだんだん慣れてきちゃって。

てな感じで、やっと年末。
クリスマスの日にインフル。
ここまで来ると、徹底していて、逆に気持ちいいくらいだったけどね。
わたしの不運ってやつが。
高熱3日間で、だいぶ消耗して、老けた。と思う。
クリスマスから、ずーっと寝込んで、咳き込んで。

ずっとラインニュースとグーグルニュースを見てた。
なんで見てたかって、世の中、どんな方向なのか、それが気になったから。
この年末年始、物語を一つ、書こうと思ってて。年度末の新人賞に出したくて。ずっと、書いてあるものの推敲ばかり出していたから、新しいのを書きたくて。
だから、世の中ってどうなのか、気になってた。

けど、気にするに値しない。
どうでもいいニュースばかり。毎日、毎回、おなじ。
彼の本命行動がどうのこうの。彼は彼女のこういうところが苦手。こういうのは嫌われる。40歳以上のこのメイクはオバサン確定。40歳以上のこのファッションがどーのこうの・・・きもっ!!
なんで、こんなのばっかり入って来るのかといえば、わたしが悪いのだ。
わたしが、この一年、占いを毎週、これでもかってくらい熱心に読み続けた。そのツケがこのくだらない文章の配信なのだ。わたしが悪い。

占い。当たったのは、1回だけ。
そう。「こむらがえりに気をつけなさい」が見事当たった。
すごいな! この人!! と思ったけど、その占い師の名前は忘れちゃった。
それと、これは年末2週目の占いだったかと思うけど、誰かが、「大物のスキャンダルで社会が変わる」みたいに書いていた。
わたし自身には関係のないことだったけれど、当たったね。
わたしの周囲は、その大物のスキャンダルがあっても、全く動じない。地球にお変わりはなかったようだ。太陽もいるし、月も。宇宙人も来ないしね。いや、来てるのかもしれないけれど、シークレットなのかも?
ただ、わたしは、その大物のことが好きなので、悲しい。

それで、ちょっと気になった。世の中。
高熱の中、それらしき記事を探したけれど、なかったね。
だけど、わたしは、幽霊を見たこともなけりゃ、妖怪にも会えずにいて、宇宙人も見たことないし、宇宙人かな? みたいな人間には遭遇してるけど、そんなつまらない人生を送っているけれど、よく、小説や漫画が予言しているってことがあるというのを、最近知ったことで、ちょっとわたしにも心当たりがあるのだと思いついた。

文章を書く人なら、誰しも経験している。はず。
これは、自分が書いた文章なのか?
というやつ。
後から読み返すと、それはまるで他人が書いたように思える自分の書いた文章を、わたしは何度も読んだことがある。

そういうことって、小説や漫画が未来を予言しているということに繋がるような、そんな気分でわたしはいる。

それとは別に、クリスマスの高熱中、わたしは、わたしの周囲の人について、よくよく考えていた。
あの人たちは、なぜ、わたしと会うのか。わたしにしゃべるのか。そんないろいろ。

わたしは、二年前までの職業柄、あんまり幸せな人に出会っている実感がない。
どういう意味かと言えば、幸せそうに繕っている人々には、よく出会うってことだ。
この年末年始、インフルに罹患しながら、そのことを考えていた。

わたしが、前職を辞めた理由は、いろいろあるけれど、一つ言えることは、人の愚痴を聞き続けることに疲れたからだ。
対立する二人がいて、その二人は、それぞれ、相手の人の悪口をわたしに吹き込んできた。
その人にとっては、それが正しく、その人が被害者なのだ。
だけど、わたしからしたら、いい迷惑だ。
その二人に板挟みにされ、どっちかいない方の悪口を聞き続ける、こっちの身にもなってみろ!
そう思っている。
で、結局、わたしに思いのたけをぶちまけ、すっきりした二人は、いまもその仕事を続け、それなりのお給料をもらっている。
で、わたしと言えば、しがないアルバイト暮らしに転落し、ギリギリ生活。
こんなバカバカしいことがあるか?!

と、思ったんだけれど、
それって、自分が不幸だという前提での考えで、実際、わたしは不幸なのか? という疑問がわいた。

いまも、その人達は、わたしにどうでもいい愚痴を吹きかけてくる。
もう愚痴ることがないのなら、愚痴をやめたらいいのに、そうもいかないようだ。
それに、そんなに今の状況が不条理なら、変えればいいのに、なんだかんだ理由をつけて、自分の不遇な状況を変えようとはしない。
で、わたしをはけ口にして、なんとか生き延びているようだ。

わたしが、いまの仕事で楽しいことを話しても、まるで自分より不幸であってほしいかのように、興味のない態度をとったり、で、わたしがない中でのちょっとの愚痴をしゃべろうもんなら、喜んで聞くという態度。

それに、人間の嫌な部分をたくさん見てきてしまったわたしにも、ちょっとこれはやばいなと感じる話。愚痴の根源がいなくなると、人間は新たな標的を見つけて、その標的を悪者にして、新たに団結するという。
そんな話まで、仕事を辞めてもなお、聞き続けなければならないストレスったらないでしょう。

自分より不幸な人と一緒にいると安心。
みたいな生き方が、果たして幸せなのか。
わたしも、いままでの人間関係をちょっと考え直す時に来ているのかもしれないなと、この年末年始は考えた。

元日の相棒で、世界の車窓からの俳優さんが、「張りぼて」という言葉を言っていたけれど、
まさに、それで、新年から嫌になってしまったことがあった。
年賀状だ。
一人は、何年か前の同窓会で、「○○ちゃんもさ、結婚して子ども持たないと、本当の子どもの支援はできないんじゃない?」と言ってきた優等生の子からで。教師になり、結婚もして、子どももいて、まさに教科書のような人生を送っているかに見えたけれど、なんだかそうではないのか、年賀状の返事をしないわたしに毎年家族写真の年賀状を送ってきて、今年はなんと「会いたいです」と言ってきた。
わたしは、小学生の時からこの子が嫌いだ。嫌なことをされた記憶があるので、できれば関わりたくないと思っている。そして、大人になってからも、ああして、さも自分が正しい生き方で、そう生きてない人間は間違っているから修正した方がいいような、そんな言い方をしてくるわたしにとっては超鬱陶しい以外の何ものでもない。だから、年賀状にも返事をしない。それがわたしの返事なのに、その子はその迷惑行為をやめようとしない。
ただ、最後に会った時に言っていたことで覚えているのは、「子どものことで悩んでいる」ということだった。

わたしは、周辺にはあんまり知られていないのかもしれないが、そこまでお人よしのバカではない。言われたことやられたことは一生覚えているし、いくら不憫な立場に逆転したからと言っても、それまでのことは水に流して、さあ! と簡単に手を差し伸べるほど、優しい人間ではない。

大人になって良かったと思うことはたくさんあるけれど、「嫌いな人と付き合わないでいい」という特権は、素晴らしいの一言だ。そりゃ、会社の人間関係はあるけれど、子どもの時のクラスの人間関係に比べれば、逃げ場はその気になればいくらでもある。なのに、なにを好き好んで、大人になってまで、こいつを、一年に一回は必ず、強制的に思い出さなきゃならんのかと、正月から気が滅入った。本気で迷惑なのだ。この年賀状が。

あともう一人が、こんな気持ちのこもってない年賀状なら送ってこなくていいよっていう。そういう、なんとも悲しいというか、虚しさを元旦からつきつけられた。
旦那がマザコンで、気持ち悪すぎて離婚したいと涙ながらに電話してきたのが、去年のそう、やはりわたしのツイテない日々の最中だから夏くらいかなぁ。家出してきてて、娘の親権がどうのこうのと話してた。
その家族からの年賀状。
ただ印刷してあるだけ。あのメガネのキャラクターね。子どもが好きなアニメだよ。で、虚しい家族全員の名前があって。
こんなのいらないよ。ほんとに。

ひとりだからね。
私、一人だったら、絶対ごはん作らないよ。自炊しててえらいねぇ!
と、人のよさそうな声で、恐ろしい誉め言葉を毎日のように言ってくる人が、わたしの身近にはいて。
わたしは、自分がこの人のはけ口にされていることを、毎日知っているの。

二十歳を過ぎた大学生の息子の送迎して、大学8年生の娘の学費稼いで、姑さんとは険悪で、それが原因で、旦那さんは心身症と誰かが言っていた。実際、嫁と姑鉢合わせの状態で、なぜかわたしがいるっていうのを体験したけれど、本当に険悪そうだった。見せてくれた家族写真におばあちゃんいないしね。

それでも、あなたよりはうちは幸せよって。
結婚するのが当たり前。子どもがいるのが当たり前。
それができない人が不幸で、うちは幸せよって。
そんな張りぼて家族は、わたしの周囲に溢れているのだろう。

うちの親は、わたしにもう結婚しろとは言わない。
それは、行き遅れもいいところってのが本当だと思うけれど、ようやく、うちのお母さん、結婚が幸せとは限らないと、あの年で悟ったようで、最近じゃ、「結婚しないほうがいいわよ」と言ってくる。
さすが重みのあるお言葉。

いや、わたしは、結婚するかもよ。
本当に、わたしが愛する人に出会えれば、結婚するかもだし、結婚という形をとらなくても、一緒にいたいと思うでしょう。

わたしがノリコにあこがれたのは、高校生の時。
自分の足で、自分の力で生きている女性に心底憧れた。
すごいなぁ、かっこいいなぁって。
この年になって、またあのドラマを観た時に、
ああ、ああいうふうになりたかったのに、なれなかったなぁ
と思ったけれど、案外惨めな気持ちにはならなかった。
それは、きっと、わたしも、ノリコほどカッコ良くはないけど、むしろかっこ悪いけど、頑張って、自分の足で人生を駆け抜けてきたからだと思う。
自分で褒めるのもなんだけれど、本当に一生懸命頑張って来たと思う。

だから、ストーカーに言いたい。
わたしを安く扱ったら承知しない。
わたしを手に入れたいのなら、なにもかも大事なもの、全て捨てる覚悟で来い!
そうじゃなかったら、わたしの前からさっさと消えろ!

頼んでもないのに、勝手に私の生き方を評価してくる人は、どこに行ってもいるけれど、しょせん張りぼての幸せにしがみついている人にとっては、わたしのような人間は、うまくいかない自分の人生のストレスのはけ口で、ちょうどいい餌食なのだろう。そう思う。

宮沢賢治じゃないので、わたしは、本当の幸福を追求することは、疲れるのでしないけれど、憧れてた人物(ドラマの架空の人物だけど)に、自分がちょっとでも近づけたのかなと思うと、ちょっと嬉しい。

インフルでクリスマスの約束すっぽかしちゃったんだ。
怒ってるかなぁ。
まずは、クリスマスのやり直し。
モスのチキンを一緒に食べよう!
それが、わたしの直近の楽しみ。

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