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わたしのことがすき? の巻

「あのね、それでね、近藤勇の腕ったら、こぉーんなに太くてね!!」

わたしは、彼の部屋のソファにもたれかかりながら、興奮ぎみに昨日の出来事を話していた。

彼は黙って、卵黄をボウルでかき混ぜている。なんだか、あんまり興味なさそうな彼をよそに、わたしは、まだまだ止まらないお喋りが。

「でね、わたしは、聞いたのよ! 近藤勇さん、そんなあかの他人のために命捧げるなんて、どんな気持ちだったのかって!!」

彼は、かき混ぜていたボウルを静かに置くと、急にわたしに向かって来て、わたしを抱き寄せると、キスをした。

「どうしたの?」胸がドキドキ。

彼は答えず、わたしをソファに押し倒して、またキスをした。今度は、もっと深いキス。

「もしかして?」

すっぴんドアップの彼の顔は、まるで夢みたいに、吸い込まれてしまうんじゃないかってくらい、わたしのタイプの顔。

わたしは、この人以外は、この先絶対受け付けないってくらい、大好きすぎる!

「雅哉さん? ヤキモチ焼いてるの?」

ドアップすっぴん顔の彼が、固まった。そして、わたしの肩から手を離し、立ち上がると、

「違うよ! これから、オーブンで、ベイクドチーズケーキ焼くの!」と言って、プイッとして行ってしまった。

わたしは、ソファの上で足をバタつかせて、

「ひゃああああっ!!」と叫んで、両手で顔を隠した。だって、ニヤケが止まらない。

起き上がって、そおっと彼を見た。

キッチンに立つ彼は、やっぱりわたしがこの世でいちばん大好きな彼。雲坂雅哉。

「だ・い・す・き」

彼は、フリフリのエプロンをして、オーブンとにらめっこしてる。

甘い香ばしい匂いがしてきた。


つづく

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