はこのはなし

ぼくは「はこ」を持っている
たいせつなものを入れるための、ぼくの「はこ」

大事なともだち
好きなうた
たいせつなものがたり

ぼくがたいせつにしたいもの
ぼくはその「はこ」の中に入れてきた

両手にすっぽりおさまるくらいの
ぼくの「はこ」

もっと大きな「はこ」
もっときれいな「はこ」
こっちのほうが便利だよって
すすめてくれる人もいたけれど

もしも
ぼくの「はこ」がすごくすごく大きくて
いろんなものがたくさん入って
それはすごく素敵なことなのかもしれないけれど

そんなに大きな「はこ」のなか
ぼくはぜんぶ、じょうずにたいせつにできるかな

ぼくだって
「はこ」のなかにいれたものだって
永遠にあるわけじゃないから

きっと

ぼくだって
「はこ」の中にいれたものだって
思っているよりもすぐになくなってしまうから

もし、その「はこ」からなにかがなくなったら
ぼくはちゃんと気付いてあげたいな
無くなってしまった時には
ちゃんと泣きたいな
ちゃんとお別れを言いたいな

ちゃんと「たいせつ」にできて
ちゃんと「おわかれ」ができる
他の人にはこの「はこ」が、大きいか小さいかはわからない
でもぼくにはこの「はこ」がちょうどいい

「はこ」のなかにいれるたいせつなものだって
ぼくがきめるんだ、
だからこれでいいんだ、
ぼくはこれがいいんだ

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t o b a r i