「師匠」「弟子」で対話するデザイナーズコミュニティをつくった話
かけだしデザイナーのみなさん、こんにちは。
デザイナーのまるみ(@nicoicon)と申します。
このnoteでは私まるみが「デザイナーの師匠」と名乗るに至った話と、
「弟子募集」に対して100人ほどの人が集まってしまった話、そしてその全員と1対1で話すのを目標にコミュニティ運営をしている(現在200名超え)話をしようと思います。
少々長い話ですが、お付き合いいただけますと幸いです!
1.弟子募集にとんでもない人数が来た話
2021年某日、Twitterでのつぶやきが全てのはじまりでした。
私は「デザインを作る」ことと「デザインを教える」ことを大切にしているデザイナーです。普段の仕事ではWebデザインを中心に、UI / DTP / グラフィックなど、平面デザインならなんでも来いや!的なデザインを作っています。
このつぶやきをしたときは繁忙期のはじまりでした。
知人が弟子をいい感じに運用しているという話を聞き、弟子っていいじゃん!という軽い気持ちでのつぶやきでした。
この軽い気持ちのつぶやきに、なんと115人の人がいいねを寄せてくれ、なおかつたくさんの熱い返信をお寄せいただくことになりました…。
「できるかもデザイン」は、初心者でもデザインできるかも!という気持ちになってもらえるようにベテランデザイナー仲間と一緒に毎月発信していたオンラインイベントです。こちらが大変好評をいただき、最大参加者数1000人を超える回もありました。※現在は1年というイベント開催の連続目標期間を終え、ライブラリーとして運営中です。
できるかもデザインを毎月楽しみにしてくださってる方や、前からTwitterでつながっていた方、色々な方から寄せられる熱いコメントを連日いただき、軽い気持ちでつぶやいたが大変な事になった…!と震え始めたことを覚えています。2~3人くらい立候補者がいたらいいな〜と思っていた過去の自分にしっかりしろ!と言いたい。
2.大人数の弟子が集まるコミュニティを作るしかない
さて、ここまでの大人数が集まってしまい、この中から一人選んで弟子を取る…? と考えあぐねること2〜3ヶ月。ちょうどそのころ大きな仕事が入る機会も増え、一人で仕事をしていくのは限界があるということだけは確かです。
だけどそこから一人を選び、チームを作る、それはなんだか違うような気がしました。
チームを作りたいのであれば「弟子がほしい」ではなく「チームを作りたい」と言えばよいし、すればよいのです。「弟子がほしい」というのは多分、人を育てたいという欲求が自分の中にあるから。そして、誰か一人を育てたいのではなく、「かつて駆け出しデザイナーだった時、自分は大変苦労したので、同じように苦労している人に寄り添う何かを作りたい」という思いが自分の中にあることに気づきました。
一人を選ぶということは、他の誰かを選ばないということです。
選ばれるためには特別な何かがないといけないのだと思って、駆け出しデザイナーだった私は色んな試みをしました。
選ばれなかったときのがっかり感は知っているつもりです。
そのがっかり感を味わわせるのはイヤだと思いました。
100人を超える人たち全員を弟子にする。
無茶苦茶な考えですが、できるんじゃない?
根拠のない自信とともに、この大人数を「師匠と弟子のデザインコミュニティ」としてまとめる計画を立ててみることにしました
コミュニティ構想とポンチ絵
コミュニティ構想を練るにあたってまずは絵を描いてみました。
何事も図式することは大切です。
見てくださいこのポンチ絵を…。
コミュニティを作る際に初手でミッション・ビジョン・バリュー・クレドを設定しました。これは100人を超えるコミュニティであればルールがないと乱れることが想定されたためです。入会の際に「私達が大切にしていること」を見てから入ってくれる人は、おそらく仲良くできる人だと思います。
また、ふだん仕事をしていても「大切なこと」は先に言ったほうが何事も円滑に回ります。コミュニティづくりにおいてもこれは大切なのではないか?という仮説を立て、設定を行いました。
上記のポンチ絵を清書してつくった「まるみデザインファーム計画」です!長い!
3.あえて「師匠と弟子」をやる意味
21世紀なのにデザイナーの師匠と弟子をやる意味とは何か?と思われる方も多いと思います。それは、私自身「師匠」に教わった経験を持つデザイナーだからです。
前述の「まるみデザインファーム計画」に目を通していただくと少し伝わるかと思うのですが、私はわりと伝統的なデザイン教育を受け、デザイン事務所に入ったことのある人間です。
伝統的なデザイン教育はいわゆる「師匠の背中を見て学ぶ」というフェーズも多くありました。そしてそれは万人ができるものではありません。実際、自分より後に入ってきた後輩が自分より先に辞めてしまったことも何回もありました。
なおかつよくネット上で論争になる「制作会社」と「事業会社」を両方経験したことのある人間でもあります。
どちらも経験した上で思うのは、制作会社にしろ事業会社にしろ、デザインの現場でデザインをきちんと教えられる上司、師匠というものは大変希少です。それはもう「人生において一人でもそういう人に出会えたら超ラッキー」なのではないでしょうか。それくらい「教えられる」人材は少ないという肌感があります。
ここ数年、デザインの現場やネットでの論争を見て、みんな誰の背中を追えばいいのかわからないまま右往左往している印象がありました。
自分ももうデザイナー歴は15年を超えている人間です。この業界でご飯を食べている以上、かつての自分のようなさまよえる後輩、駆け出しデザイナーに「この道はいいぞ」と耳打ちするのもひとつの義務なのではないか。そんなことを思ったのです。
また、「デザインを作る」ことと「デザインを教える」ことを両方大切にしていきたいというのが私の仕事のテーマでもあります。このテーマに基づいて、実際に制作の仕事と大学・高校での実技指導を行っています。
それをやっていく上で、この、弟子プロジェクトはよい実験の場にもなるという直感がありました。
4.ひとりでコミュニティはつくれない
さて、コミュニティをつくるにあたっての概要はできました。しかしここで浮かび上がる問題として、100人にDMを送る作業が発生します。
誰でもなんでもウェルカムのつもりではいましたが、まずは着手してみないとこのコミュニティが動き出しません。「弟子になりたい!」と言ってくれている100名あまりの方にコンタクトを取る…。バタバタ慌ただしい中でそんなことできるのか?と思いつつある程度の人にDMを送ったところ、スパム認定を受けてTwitterのDMが送れなくなる珍事も発生していました。早くも限界を感じる。
コミュニティマネージャーの任命
そこで、自分ひとりでこのコミュニティを立ち上げるのはやめようと思いました。そこで思いついたアイデアがひとつ。
コミュニティマネージャーを任命すればよいのでは? ということです。
私はもともとそんなに筆まめなほうでもなく、連絡自体が得意なわけではありません。だけど誰かと一緒なら、この膨大な「連絡を取る」という作業自体もなんとかやれるのではないか?
そこで白羽の矢を立てたのが おりぞめのさちさんでした!
さちさんを任命した理由はもう「この人は人間が好きだしコミュニケーション自体が好きそう」という直感です。さちさんは「弟子入りしたいです! ポートフォリオ作ります!」というDMをくれたのですが、そこから2ヶ月ほどたったときに本当にポートフォリオを送ってきてくれました。
内容を見せてもらうと文章が多めのポートフォリオだったのですが、文から感じる温度が、パッションが、なんかしらんがとにかく熱い!!
この温度感で文章を書ける人が必要なんじゃないだろうか。
その直感から「さちさん、コミュニティマネージャーやりませんか!」という謎のお誘いをしたのですが、快く引き受けていただけて本当にありがたかったです!
さちさん側の視点note
https://note.com/orizome_no_sachi/n/nbd5be40b5dfb?magazine_key=m22ae21bd2fa6
集まってくる、ゆかいな仲間たち
そして10月3日、コミュニティ「まるみデザインファーム」は動き出しました。Slackを主なコミュニケーションツールと決め、チャンネルを設定し、入会リンクを(さちさん経由で)送らせていただきましたが、さっそく多くの弟子志望者が入ってきてくれ、嬉しさを感じました。
正直なところ100人を超える方にDMは送りましたが、全員が入ってくれるとは思っていませんでした。コミュニティじゃない形を期待してくださっていた方もいると思います。結果から言うとDMを送った方の大多数が入会いただき、あっという間に100人超えのデザインコミュニティができてしまいました!2022年1月現在、200名超えの方にご参加いただき、日々わいわいと活動しています。
集まってくれた人たちも面白くて優しい人が集まり、あっという間に色んなプロジェクトが走りはじめました。このマガジンのサムネイルは弟子のちょこいえさんが描いてくださった「コミュニティの可視化」のイラストを使わせていただいてます!
https://note.com/choko_ie/n/n3627eae488ab?magazine_key=m22ae21bd2fa6
5.誰でもウェルカム!
師匠と弟子によるデザインコミュニティ「まるみデザインファーム」
このファームは今まで書いてきたように誰でもウェルカムです!
そして参加は無料です!!
デザインを学び始めたが、この先どうしていいかわからない
ひとりしかデザイナーがいない現場で、誰に教わればいいかわからない
デザインというものが何だかわからない
他のデザイナーとのコミュニケーションに迷っている
上記のようなお悩みがある人、ない人、デザインをやりたいという気持ちがあれば誰でもいつでもウェルカムです!
現在は下記のnotionから参加申込みフォームを見ることができます。
また、参加してくれた弟子のみんなたちのnoteをまとめたマガジンもあります。ファームを発足してからの面白い話が集まっていますので、ぜひこちらも見てみてくださいね!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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