無名の吹き替え声優さんの実績ページに、実績を載せて貰った話
作業中は何か垂れ流しているのですが、映画だとガッツリ見入ってしまう時は、CATVのドキュメンタリー番組を観ています。
当時、お気に入りの番組がありまして。
イギリス人男性二人の掛け合いが楽しいドキュメンタリー番組でした。一人は気がつけば懐に潜り込んでいる系の人懐っこさとズルさが特徴的な営業さん、もう一人は完全にギークな技術者で、シニカルな語り口調の中にあるインテリジェンスが魅力的。
その吹き替え番組は、二人の特徴を素敵に捉えていて、吹き替えで個人的に感じる「キャラに合ってないなー……。吹き替えだとこの人から漂う賢さ成分が足りない」とか全然無かった。ドンピシャ。エンジニアの方が「キミがそんなに楽しそうに話しているところ悪いんだけど、厭な予感がするよ」と言うところなんて、ヤンウェンリーを彷彿とさせるほど、やる気の無さとは裏腹に頭の回転は始まっていて、営業さんも扱いの難しいエンジニアのやる気をなんとか引き出し、こうして、ああしよう、と人懐っこくモチベを上げていく演技が心地よかったのです。
しかし、吹き替えのお名前が解らない。
ファンダムを覗いてみたら「おそらく○○さんかなぁ?」くらいの情報しか出て折らず、ケーブルテレビの吹き替えにはお名前を実績として出さない、というのもあるので、ここは一念発起。
ケーブルテレビの良いところ。
「ご意見ご感想があれば番組ホームページまで」の一文を見つけたので、切々と感想をあるがままに書きました。大物声優でなくとも、キャラクターに合っていて、軽快な掛け合いの為に、いつも楽しく拝見しているし、番組を観たいが為に契約していると。出来ればお名前なりとも教えて頂きたいし、応援している者はいるのだと。
数日後、番組からお返事が来ました。
要約するとこんな感じ。
「早速、吹き替えを担当しているお二方には頂いた感想を共有させて頂きました。この番組に出演なさっている方は○○事務所の○さんが○○役で、○○やくは○○事務所の○さんです。お二人ともとても喜んでいらっしゃったことを、ここにお伝えさせて戴きます。こんごともよろしくお願いします」
そのさらに数日後。
番組のウィキペディアに吹き替え声優としてのお名前がお二方とも記載され、さらにその数日後には事務所さんのお二方の紹介ページに、実績としてドーンと掲載されたのです。
ドキュメンタリー番組では、お名前が出ることは少ないのが現状なのでしょう。しかし、私は素敵な吹き替えを楽しんでいると、公式に凸っただけ。ファンダムで噂するより白黒つけた方が良くないか、別におかしな事は何にもしていないのだから。
その後、お二人のお仕事はそのチャンネルで使えそうな番組だと、呼ばれることが多くなりました。また事務所の実績にも、ちまちま増えていくのです。
その事を大将に話をすると「実績が事務所サイトやWikipediaに載る載らないは、大きな違いです! 名も知らぬファンの方に感謝感謝していらっしゃるでしょう。全ての案件で実績が載ることは無いですし、公式のチャンネルに、あの方は素敵だとお声が届くというのは、またお呼びする大きなキッカケです😤」と言われたので、心の底から良いと感じたことは、素直に公式さんに伝えた方が良かったんだな……。という話。
私が送ったのはDisc○veryの「名車○生」です。
初期の二人のやり取りが素敵だった。
軽率に言えるときはメールフォームから公式に「素敵」と送ることで、お仕事が舞い込んでくるという事もある、という例。あくまでも公式であることが大事なのでしょう。
「差し支えがなければ、吹き替えを担当なされている声優さんのお名前を教えて頂けませんでしょうか? 今後とも応援したいのですが…」
私が送ったのはこの文章。
これで、素敵な吹き替えが増えるのであれば私は本望。過去に吹き替え版を配信していた今は無きDlifeでのブリティッシュベイクオフでも、素敵な吹き替え声優さんがいたんですよー。送る前にDlifeがサービス終了してしまって残念無念。
キャラに合っていて、聴いていて心地が良いということに、有名無名関係ないのは私の個人的な意見。有名でも「合ってない。その人はイケオジとかチョイ悪オヤジでもない、捻くれた物書きの色が出ていないのは其方でも解るでしょう? 大物声優使えば良いってものではない。聴いていて不快だ、字幕に戻せ」と苦情を送りつけ、大物声優さんをものの数週間で引きずり下ろした人もいますが、私ではないということは明記しておきます。……逆も然り。後で聴いてみて、確かにアンソニーボーウィンの物書き全開のシニカル感に、大塚息子のチョイ悪感は合ってないと感じました。
もちろん、皆さん素晴らしい声優さん。
だけど、捻くれた視線から出てくるインテリっ気の強いシニカル感とチョイ悪オヤジは毛色が違う。
私たちはただ、数多いる吹き替え声優さんに合っている役を演じてもらいたいと願うばかり。いい声優さんに出会ったらばんばん公式に意見を投げるとヨイと思うのですよ、だって公式さんだってクリエイターなのだから、良い物を作れるのならそれがいいのだから。