母は頑なに餃子を作らなかった
nicoと申します。
よかったら下記からプロフィール記事も読んでやってください。
母は「絶対に餃子は作らない」と言った
私は自分の母は料理が上手いと思っていたし、実際毎日の食事は美味しく食べていました。
天ぷらなどの揚げ物も厭うことなくしていたので、仕事をもって忙しくしながらよくやっていたなあと思い返します。
そのせいか、私は実家から独立するまで気づかなかったのです。母は一度も餃子を手作りすることがなかったことに。
餃子が嫌いな訳ではありませんでした。お惣菜として買ってきた餃子は食卓にのぼり、母も食べていましたから。
実家に帰ったときに何かの拍子に「お母さんの餃子って食べたことないね」と言ったら、真面目な顔で「私は絶対に餃子を作らないって決めたの」と答えたので驚きました。
餃子を手作りしてみて感じたこと
ひとり暮らしを始め、自分の台所を持ってから私は初めて餃子を作ってみました。
面倒ではあるけれど、それほど費用はかからずお腹いっぱい食べることができていいなと感じました。
特に人を招んだときに、包んで、焼いてを一緒にするのは楽しそうと思い、実際にやってみたこともあります。
焦がしてしまったのも笑いのネタになり、思ったとおり楽しい記憶として残りました。
キャンプで餃子を作ってもらった
付き合っていた人とキャンプに行って、お互いに餃子を作ったことがあります。
その人は餃子は自分の一番の得意料理と言っていて、これまでも友人によく振る舞って好評なんだと話していました。
私もとても楽しみでした。
餃子はこんがりとよく焼けていました。
「美味しそう!」と口に入れましたが、残念なことに「美味しいっ!!」という反応はできませんでした。
その人の餃子は牛挽肉を使うのがこだわりとのことで、味は美味しかったと思うのですが、私が想像していた餃子の味とは異なっていたため、戸惑ってしまったのです。
思っていたのと違う…
私がなんとか飲み込んだその台詞を、私の父は母に言ってしまったのだそうです。
私が生まれる前、初めて母が父に餃子を作ったそのときに。
それで母はぶち切れたのでしょう。
「金輪際餃子は作らない!」とそのときに心に決めたのだそうです。
今でも餃子を作れないほど傷ついた母。
私は相手を傷つけずに済んでよかったと心から思いました。
でも気になるんですよね。
父が思い描いていた餃子はどんなものだったのか。
冷凍餃子を食べながらそんなことに思いを馳せる晩でした。
お読みいただきありがとうございました。
ではでは。