見出し画像

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(ブックレビュー)

こんばんは☺️


村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだので、ブックレビューを書きたいと思います。


私が考える この本のテーマは、

『人は誰しも 消し去りたい 辛い過去を持っている』

『辛い過去を乗り越えた時こそ、今本当に自分に必要なものが分かる』

です。


主人公のつくるは、高校時代の親友たちから一方的に絶縁され、しばらくの間 命を断つことだけを考えて生きるようになります。


そんな中、 大学でのある友人との出会いをきっかけに、なんとか正気を取り戻しますが、その友人も結局つくるの元を去ってしまいます。


そんな彼は、


『自分には何の取り柄もなく、最後には必ず1人になってしまう存在なのだ』

と自分を蔑みます。


しかし、就職後に交際が始まった沙羅(さら)というガールフレンドをきっかけに、つくるは、自分の辛い過去と正面から向き合い始めます。


そうやって過去と向き合い、自分の心の奥底にある わだかまりを 解き放たない限り、沙羅との関係を続けることができないと判断したからです。


過去の友人からの一方的な絶縁には、本人が想像もしなかったような経緯があり、つくるはそれを理解することで、少しずつ自分の存在を肯定し、自分にとって本当に必要なものが何か自覚し始めます。


つくるのように、私たちは皆多かれ少なかれ 消し去りたいような辛い過去がありますよね。


しかし、過去に起きたことは決してなかったことにはできない中で、どうにか 自分で そこから這い上がらなければなりません。


内容によっては、案外 容易に乗り越えられる場合もあるし、 時には長い間 心の傷となって残ってしまう場合もあるでしょう。


そんな時、もしその過去の経験が今の自分を何らかの形で 弱めたり、苦しめたりしていると感じるのであれば、この本のつくるのように、いずれ 真正面から向き合う必要があるかもしれません。


そうしなければ 結局、いつまでもその心の傷に多少なりとも影響されてしまうからです。


過去の辛い経験と向き合うことで、深く葛藤しながらも精一杯今の自分を生き抜こうとする主人公を通じて、生きることの力強さやたくましさ、 勇気をもらえる内容になっています。


村上さんの小説の中では、かなり 読みやすい方だと思いますので、皆さんも機会があればぜひお読みになってみてください。


本日もお読みいただきありがとうございました。






いいなと思ったら応援しよう!