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電車の中で

震えはしないけどただただ早く会いたくて

電車に揺られてがたんごとん

このがたんごとんのリズムが

心地良くて君に背中をトントンされてるような

硬くも柔らかくもないシートが身体にフィットしているようで

うとうとしている時間だけ今だけ雲の上で眠りかけているような

そうこうしてたら隣の座席にお兄さんが座って

さっきの駅で買ってきたのか

フライドチキンのいい匂いがする

お兄さんのことは何も知らないけれど

真顔だけどどことなく嬉しそうな表情に見えて

それと同時にどことなく大人びた横顔だと思った

くたくたのスーツに磨かれた革靴

きっとこのお兄さんも何かの責任に押し潰れそうになって

電車の中で悶々と悩む夜もあるのだろう

人には言えない悩みごとも

孤独を感じる夜も

誰かがただそこに居るだけで

自分が知らない間に人を救ってたりする話

近くの席に座ってた女の子が隣のお兄さんをじっと見ている

「大人だなあ」「おいしそうな匂いがするなあ」

そんなことを思っては大人になることがどこか遠い昔のように感じていたはずなのに

今じゃそう思われてしまう側になってしまったようで

子どものまま

子どものままの大人じゃ駄目ですか

ご都合主義のこの世の中で

目的地はどこなのか知らない人たちを乗せて

今日も電車はがたんごとん

電車の中は小さな社会の縮図で

窓に映る自分の顔を見ないと個人と認識できないくらいの生活

君と会って変わった色彩、センス、五感

君と一緒に過ごす時間こそ生きてると実感できたりね

くだらないようなそんな話を君としたい

そう思っていたらまた今日が終わってく

今日は君と缶コーヒーで乾杯したい日だなあ

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