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「音楽と言語は似ている」という話、よく聞くけどさ、どう似てるの?②


前回は音声の繋がりについて書いてみました。
⇒「音楽と言語は似ている」という話、よく聞くけどさ、どう似てるの?① https://note.com/nickthewasabee/n/nbc2150c89a76

今回は、紙に書かれているものを意味のあるものにする過程について考察しています。

この項に書いてあること:
◇■タイ語における「文字と音声の関係」、音楽における「音と記譜の関係」について考察しています。

1.言語における、文字と音声の関係

「ア」「イ」といった音声をつなげる単語になり、単語をつなげると文章になると前項で書いた。

「ア」「イ」「ウ」などの日本語文字や、abcのアルファベットは読む方にとっても馴染み深すぎて記述が混乱すると思うので、ここではなじみが薄そうな、タイ語を例に説明したいと思う。

「ポム ペン コン イープン」というふうに音声を並べると、タイ語では「私は日本人です」という意味になる。(音声をつなげて単語になり、単語をつなげると文章になる)

注:実際には母音や子音のシステムが日本語と異なるためカタカナではタイ語の正確な発音を表現できないのだが、話を簡単にするためカタカナで表記する

その音声をタイ語で表記すると、「ผมเป็นคนญี่ปุ่น」となる。

このタイ語の文章を分解すると、以下のようになる。一番右が意味である。

ผม = 「ポム」 = 私(男性)
เป็น = 「ペン」 = be動詞のような働きをする語
คน = 「コン」 = 人の性質を表す言葉。(〇〇人、など)
ญี่ปุ่น = 「イープン」 = 日本


おそらく祖先たちも他の人類と同様、最初に単純ながらも話し言葉が存在していて、それを壁かなんかに表記するところから始まったと思う。

それが発展し現在のタイ語文字があるのだが、タイ語にも母音と子音があり、それを組み合わせることで「ポム」やら「ペン」やらを書き記す事ができる。(くどいようだが日本語の発音とは異なるので便宜的にカタカナで書き記している点にご留意願いたい)

2.文字の音声と意味のリンク

しかし、「ผมเป็นคนญี่ปุ่น」という表記を見ても、一つ一つの文字の発音やその意味がわかっていないとただの羅列になってしまう。

文字の読み方をまず理解する必要があり、読み方がわかったあとにはその読み方が意味する単語、単語をつなげたときの文章(文法)などをわかっている必要がある。

ここで、音楽の話に移る

五線紙に書かれた音符や、紙に欠かれたコードネームだけを見ても、初めてそれを見た時はなんのことかわからない。

ト音記号があって五線紙の一番下の線に音符があれば「ミ」の音だな、とか、Aというコードネームは、構成音が「ラ・ド#・ミ」だな、ということが少なくとも頭に入っている必要がある。これは、書かれた文字を見て音声を想起するのとほぼ同様だろう。

また想起するスピードも、演奏のスムーズさに大きく影響を及ぼす。
何も考えずにコード構成音をなぞったり、スケールの音をなぞれれば、メロティーを奏でやすくなる。

日本語を話すときに言語について何も考えずに思考を表明できるように、音楽においてもコード構成音やスケールなどを脳に張り付かせておく必要があるだろう。

(ややこしいのは、楽器演奏の場合にはその「ミ」の音を正しく発音することから訓練を開始しなければならないことだ。それは子供が「ままー」という音を声帯と舌と口の形で発音できるところから始まり、何年もかけてさまざまな音声を発音できるようになるのと似ているかもしれない。しかしながら、楽器練習の話や、音声と意味のリンクの話になると論点が膨大になるので、今回の項ではその話は省略する。)

3.コードや単音のつながりの意味を知る

書かれているコードがだいたいどんな雰囲気で、どう流れるとどんな雰囲気になるかがわかっていると、スムーズにフレーズが作れると思う。

もう少し高度になれば、ソルフェージュのように、記譜だけ見て歌うことも可能だと思う。これは、音程を見ただけで雰囲気がわかる=文字が読めるということに匹敵するスゴイ能力、かつ、音楽やるなら必須の能力だと思う。(今はマジで思う)

文字を読めるということが文章を読めることの基礎にあるように、記譜だけである程度演奏できるのは重要な技術だと思う。

しかしながら、音楽は音のアートである。

したがって、記譜のものを読み起こす、あるいは記譜することが目的なのではなく、音の意味や構成を頭にいれておいて、それを再び音で表すのが音楽であり、記譜はあくまでメモのようなものだと思う。

番外:思ってることを書く

C-G-Fみたいな単純なコードはわかりやすいが、テンションノートがひっつきまくったジャズのコードにおけるフレーズ生成は一筋縄では行かない。長い訓練の時間が必要になると思う。

上記の、「記述と音声のリンク」の話も、あくまでこんな感じなんじゃないかな、という仮説の話である。今後、どんな練習をどんなふうに行って行くのが良いか?を考えるために考察してみた。

また、私はソルフェージュの訓練を受けていない。フレーズづくりも苦労している。スケールの中の何度の音を出しているのかを、唇の締め具合と運指から想像しながら吹いている。その想像は外れることもおおい。したがって、どこにいるのかよくわからなくなって、また行く先も見えずに、よく音を外す。

中学生の頃、友人が高校⇒音大へ進学するに当たりソルフェージュの練習をしていると聞いて、楽譜だけ見て歌うってそんなことが可能なのか!?と思ったものだが、今にしてみればそれは必須能力だし音大入試にあるわけだよなあと思う。


次項に続きます…↓
「音楽と言語は似ている」という話、よく聞くけどさ、どう似てるの?③
https://note.com/nickthewasabee/n/n4d6d784250e6


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