淡々と
【Nick塾】 <グローバルよもやま話> プレゼンテーション
「淡々とやる 淡々とやることが自分の仕事なので」
淡々と その言葉がやけに耳に残った。
TBS情熱大陸が取り上げた聖路加病院の感染管理専門家の坂本史衣さんの言葉だ。
情熱大陸、好きな番組だ。NHKのプロフェッショナルやテレ東のカンブリア宮殿と並び、私の数少ない御贔屓のテレビ番組だ。共通しているのは、様々な分野のプロフェッショナル・逸材を取り上げていること。どんな分野でも活躍されているプロや逸材から学ぶことは多い。今の自分の仕事には全く関係ない分野でも多くのヒントや刺激がもらえる。そう感じることが多い。途上人物の年齢も、ジェンダーも背景も、一切関係ない。だから面白い。とても。
当然、番組の方向性に沿って映像は作られているのであろうが、その切り取られた映像の中のその人物の表情や会話を見て聞くだけの人間にも、その取り組む仕事やテーマの大変さ、面白さ、そしてそれにかける「想いの熱量」は手に取るようにわかることが多い。だから面白い。とても。
コロナ災禍の真っ最中。TVをつければ、政治家の大げさな形容詞や関係者の深刻かつ険しい表情が躍ることが多い。もちろん、社会を一定の方向に動かすために、今はそれも必要なプレゼンテーションなのかもしれない。
一方、そのコロナ災禍のまんまん中で奮闘する彼女の日常と発言は、それらとは真逆に、まさに、淡々と静かに描写されていた。そのトーンが淡々とであるからこそ、逆にその「熱量」が深く伝わる。ああ、こんな伝わり方もあるのだなと、改めて気が付かされた。とても。
有り余る、内に秘める「熱量」を喧伝することなく、その淡々と進めるプロとしての仕事ぶりから、その「熱量」を共に働く仲間に伝え納得させる人がいる。
口で言わなくてもそれは伝わる。いや、大げさに口で伝えないからこそ、深く伝わる。我々の眼は、耳は節穴ではない。なぜ伝わるのか。何がそれを伝えるのか。
毎日の仕事。実は、その毎日の仕事に取り組む姿勢、その人の毎日の「背中」にその人の「全て」が表され、それが人を動かす。逆に、口で何と言おうともその人の内実や実行が伴わなければ、人は動かない。大げさに伝えようとすればするほど、逆に「事実」とその誇張の落差は大きな「反作用」を起こす。
「人を動かす」ことが全てのプレゼンテーションの最終的な目的。淡々と。ここにも大いなるヒントがある、と感じた。誰でも真似ができることではないけれど。ブラウン管を通してお会いした坂本さんはまさに淡々と仕事をこなしていた。
淡々と でもきっと凄い「熱量」なんだろうな。
プレゼンテーション。やっぱり最後はその人の持つ「全て」が勝負を左右するのだろうなと。
人に伝えるためのスキルも言葉ももちろん大切だけれど、付け焼き刃では問題は解決するはずもない。その人の魅力が増すはずもない。「想いの熱量」と実行を伴わない空疎な言説に人が動かされるはずもない。伝えるべき「芯」がなければ、お化粧もできない。
淡々と
And yet it moves.
学びの機会はいろいろなところにあるな。だから面白い! とても。
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