インデックス投資の問題点
ロジャーパパさんによる堀古英司さんへのインタビュー動画が役に立つと思い、メモを残します。最近の東京マーケットワイドでも堀古さんが「インデックス投資はすでにバブルの真っ只中にある」と発言していたことが気になっていました。今後特定口座でのVTIやVTの代わりの軸を選ぶとしたら参考になるかもしれないなと思いました。
インデックス投資がもったいない点
私も10年前に書いた本の中で、「何もしないよりは株のほうがいいので、SP500指数などのインデックスでもいい」と書かせていただきました。ただインデックスに投資は長期でやる限りにおいてもったいない場合があります。
仕組み上の問題点
いくつか理由がありまして、例えばSP500指数の仕組みを申し上げると、意味もなく上がる銘柄があるんですよね。投機筋が一斉に買いに走ると、インデックスは何をするかというと、意味もなく上がっているにも関わらず、インデックス内のウェイトが上がればその銘柄を買いに行きます。バリュエーション(評価額)は全く関係なく、単なる値動きだけを見て行動するわけです。そして、インデックスの中では常にそうした動きが起こっています。
逆に、意味もなく急落する銘柄がいくら割安になっても、インデックスのウェイトが下がれば売らざるを得なくなる。高いものを買い、安いものを売る、こうした動きをインデックス内ではずっと繰り返しているのです。
指数を見ていると、その中で何が起きているのかは分かりません。今年は指数が上がっていますしね。
昔はインデックスファンドが市場取引に占める割合が5%もなかったのです。『ウォール街のランダムウォーク』が書かれた1970年代、80年代の頃は、本当にインデックス投資の割合はごくわずかでした。その頃は市場取引の中でインデックスが少々動いても、それが価格に影響を与えることはほとんどありませんでした。だからそれはそれで良かったと思います。
ただ、現在では市場取引の42%がインデックスファンドになっています。そうなると、割高・割安を判断して買う資金ではなく、投機筋などが判断した結果を追いかけて買う・売る資金が42%を占める状況は、市場が壊れていると言わざるを得ません。
昔のようにインデックスが市場取引のごく一部であれば、割高・割安を判断する人々の行動が市場価格に反映され、インデックスも適正価格で売買できました。しかし現在では、インデックスの影響力が大きくなりすぎて、インデックスに資金が流入するかどうかで株価が決まる状況となり、(個々の銘柄でみると)必ずしも適正価格で売買できているわけではありません。
分散することの弊害
もう1つの問題は、長期で考えた場合です。SP500なら500銘柄に分散投資していますが、分散によるリスク軽減効果は、ここでいうリスク、つまり価格の上下変動を指します。もし長期で運用するなら、金融理論の基本ですが、リスクの高い資産のほうが長期的にはリターンが高いとされています。つまり、日々の価格変動をどれだけ気にするかだけの話で、長期で「しばらく放っておく」というスタンスであれば、分散しすぎないほうが絶対に有利です。インデックス投資の場合、その重要な点がすっぽり抜けてしまっているように感じます。
アメリカでの問題定義のきっかけ
日本では今、アメリカで20年前に起こったことが同じように起こっていると思います。当時アメリカではランダムウォーク理論が全盛期で、「とにかく手数料が安いほうが良い」と流行しました。しかしその後、「ちょっと待てよ」となりました。最も影響を与えたのはウォーレン・バフェットのレターだと思います。
彼の話では、割安で良いビジネスを長期的に実践している人々は、そのグループだけを抽出すると、インデックスを大きく上回る成績を出しているという研究結果が示されました。その影響で投資業界も一気に、「インデックスだけではダメだ」となりました。
割安な銘柄を長期にわたって買い続けるファンドの存在
ほとんどのファンドマネージャーが負けるとされていますが、勝っているグループも必ず存在し、彼らは共通して割安な銘柄を長期にわたって買い続けています。ただ、そのやり方では、インデックスに負ける期間もあります。その期間に多くの人が嫌気をさしてしまうのですが、長期では必ず勝ちます。
これがアメリカでは認識されており、現在に至っています。インデックス投資は増えていますが、それでも市場全体の半分以上を占めることはありません。日本はやや行き過ぎているように感じます。ファンドを選ぶのであれば、長期で生き残っている企業で、戦略を変えず一貫して割安を追求しているファンドが重要です。
割安を買うファンドは、嫌な思いをする期間が長い場合があります。一度売られるとなかなか元に戻らないことも多いからです。しかし長期的には必ず上回ります。そのため、姿勢を変えずにやり続けられるかどうかがポイントだと思います。
堀古さんの運営するファンドについて
私の運営するファンドで強調したいのは、とにかくパフォーマンスよりも、下がったときに心配しなくていいという点です。下がって戻らないような銘柄は1つも持っていません。インデックスが市場を動かしているため、解約があれば叩き売られることもあり、それによって基準価格が下がることもあります。しかし、良いビジネスをきちんと選んでいるので必ず戻ります。
だから基準価格だけを見て狼狽することのないようにしてください。インデックス投資をしている人は基準価格だけを見て不安になり、「売るべきか、持つべきか」と迷うことが多いと思いますが、私たちのファンドについては、下がったときも心配する必要は全くないと考えています。