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ワーカホリック、自分に出会う

わたしですね、福顔なこともあって、取材記事を見たり、書いたものを読んで知っていただいた方にはさぞ優しい人なんだろうと思われることも多く、そんな感じでうちの店に履歴書を持ってきてくれた人もたくさんいたと思うのですが、、、謝っておきます。仕事においてはわりと、効率の鬼です。でした。

飲食業界で働いている皆さんは頷いてくれると思うのですが、1分でどれだけのことができるか、っていう世界ですよね。ゆっくりやっていると終わらないし、帰れない。求めやすい値段でいいものを出そうとすると、ほんとうに手を早くして無駄のない仕事をしなくちゃいけない。利益が薄くて、余裕のない現場なんですよね。だから、コロナ禍でも影響を受けているんです。

それでも、日本の飲食店はほんとうに優しいな、と思います。安い値段で新鮮でおいしいものが食べられる。わたしはつねづね、個人でやっている街場の食堂は、福祉の仕事だと思っています。だから大好きなお店があったら、足しげく通ってほしいし、大切な人を連れていったり、SNSなんかで紹介してほしいな、と思います。

そんなわけで、わたしも20代は死ぬほど働きました。朝9時から、早くて9時、遅くて4時。帰って寝て、朝起きてシャワーして店。休みは週に半日。って、今だったら絶対NGなんですけど、当時はそんなことが看過される時代だった。そんな生活を10年くらいやった末、飲食店はもういいな、と思ったのですが、紆余曲折あって、自分で店をはじめることになりました。35歳でした。


で、早々にふたつの問題に突き当たります。

ひとつめ。
オーナーである私がいわゆるリア充じゃないと、働いている人に気持ちよく働いてもらえない。とにかく仕事に明け暮れて、「人を使う」立場になったものの、自分を仕事で生かすことのほかは、何もしたことがなかったんですよね。そして、わたしの修行時代とはもはや全然違う世の中になっていました。

ふたつめ。
効率をひたすら追求する。ということをやっていくとどうなるか。いつか、自分がそこから排除されるということに、ある日気がつきました。
わたしという存在は、だいたい無駄なものを愛していて、無駄なものでできているわけです。きっと、みんなそうなんだと思うのですけど。
これにはぞっとしました。じゃあ、何を足がかりに仕事のことを考えていけばいいんだろう?

そんなわけで、ずっと仕事ばかりしていて放置していた、なんならだいぶ酷使してきた自分のことを、本当はどんな人で、何が好きで大切で、どうしたらご機嫌でいられるのか。どうしたら誰も何も損なわないでこの仕事を続けていけるのか、研究することになって今に至るのですが、つづきはまた別の話で。

https://hokuohkurashi.com/note/202032
「ご機嫌」の話、こちらでも書かせてもらいました。

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