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失恋した話

 髪を切る時はいつも気分で決めているだけなのだが、周りからは失恋したのではと勘繰られる。そんなわけない、と笑い飛ばしたいところだが今回ばかりは確かにその通り。残念ながら失恋したのだ。とはいえ別に失恋のショックで、というわけではなくて、単にスッキリしたかった。心に残るほんの少しの未練を髪と一緒に切ってしまえと思ったのだ。別れようと決めた時、すでに彼への愛情は絶えていたものの、未練が残っていなかったかと言えば別だと思う。一緒にいた思い出だとか、私の中に確かにあった彼への愛情に、未練があった。不思議なもので、受け取った愛よりも注いだ愛の方が印象に残るのだ。私はこれだけのことをあなたにしてあげた、という気持ちとは少し違う。ただ、その人を大切に思う自分がいたことが捨て難い事実だった。彼にはなかなかひどいことを言われてお別れしたので、どうにか忘れてしまいたいのだが、人間の脳はそう都合良くはつくられていない。数ある恋の1つと考えれば、かすり傷程度のものなのだけれど。さあ次の恋をしようとも割り切れず、宙ぶらりんな気持ちと日々を過ごしている。彼のことはもうどうでもいいというかもう顔も忘れたが、なんだか自分は恋をすることに向いていない気がしてしまう。元来人の感情の機微にはかなり敏いが、それ故に考えすぎる。相手の心を深く探ろうとして、自分の心が追い詰められる。恋愛などという繊細な感情のやり取りには向かないのである。しばらくはnoteでだらだらと日常について綴るぐらいが、私にはちょうどいい気がする。

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