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【百合声劇】午前4時のメロンクリームソーダ
※こちらも以前pixivで投稿した声劇台本になっております。
noteに移行しました。
これまで見て下さった方やブクマしてくれた方ありがとうございます。
※こちらは百合×オカルトをテーマにした声劇台本となっております。
作者、初めての声劇台本となりますので至らぬ点などあるかと思いますが、宜しくお願い致します。
【概要】
オカルト好きなミオリが都市伝説である、「新宿の裏路地に午前4時に現れる喫茶店があるらしい」との情報を手に入れて、大学の友人であるナナを誘って夏休みの1週間だけ、喫茶店を探しに行く事に…。
【登場人物紹介】
ミオリ:大学2回生。同じゼミのナナと仲良し。
大のオカルト好きで、度々ナナにネットで見つけた都市伝説などを紹介している。
ナナに密かに想いを寄せている。
ナナ:ミオリのオカルト話はいつも左から右へと受け流している。興味のある事は流行りのファッション、恋愛など大学生らしい女の子。
ミオリの事は大事に思っている。
マスター:喫茶店のマスターの女性。冷静な口調で、淡々と話す。
笑顔は無く、どこか冷たい雰囲気がある。
※登場シーンが少ないため、どちらか一人が二役することを推奨します。
(N)はナレーション。登場人物が独り言のように話しているイメージです。
【本編】
【大学内で二人は遭遇】
ミ:あ、ナナ~!こっちこっち!
今から食堂行くでしょ?一緒に行こうっ
ナ:ミオリ、お疲れ様~
うん、行こう~今日何食べようねぇ~
ミ:今日は金曜日でしょう?日替わりランチにおいしいデザートが付く日じゃん
ナ:え、そうなの~?ナナ、日替わり食べないからなぁ~
ミ:ナナってホント偏食だよね~何でも美味しそうに食べてくれそうな感じするの にさぁ。ちゃんとバランスよく食べないと、太っちゃうぞ~?
ナ:や~め~て~よ~…ただでさえちょっと最近気にしてるのに…
ミ:まぁ、あたしはナナが太っても全然気にしないけどね~?言うて、あたしより細いし…。隣に並んで歩くのが恥ずかしいくらい…でもさぁ…この大学の学食が美味しいのが悪い!!それに加えて、今日はとってもおいしいデザート付き!くぅ~こうしてあたしはまた太っていくんだぁ~~
ナ:ミオリ、甘いモノ大好きだもんねぇ~…。とりあえず毎日飲んでるカフェオレから辞めれば少しはマシになるんじゃないかなぁ?
ミ:うっ……。それは言わないで…。あたしの体はカフェオレで出来てると言っても過言じゃないから…
ナ:ナナはミオリの体が心配だよ~?糖尿病になっても知らないよ?
【食堂到着】
ミ:まだきっと大丈夫だって!!さぁてと、今日の日替わりランチは何かなぁ~?
あ!ねぇねぇ、ティラミスだって!!デザート!最高~!!
ナ:言ってるそばから…。ナナは何にしようかなぁ。サラダと…
ミ:あ、またサラダ…。これがあたしとナナの差かぁ…。日替わりランチは今日ハンバーグ…
ナ:少しでも体重落として、新しい水着欲しいんだもん
ほら、もうすぐ夏休みだし?プールとか行きたいじゃん
ミ:はぁ~。ナナって本当に絵に書いたような大学生だよね…。あたし、プールとか興味ないし…
ナ:ミオリはちょっと特殊だと思うけどなぁ…。だって趣味が…オカルト探し、だし?
ミ:あ、もしかしてオカルトの事バカにしてる?ダメだよ~?友達の趣味バカにしちゃ~
ナ:バカにはしてないけどさぁ~?ナナは興味ないんだもん…。せっかくの大学生活、もっと楽しんだら良いのになぁとは思うけど?去年だって…
ミ:去年の夏は最高だった…。サークルの皆で行った幽霊が出ると噂の廃墟…。
確実に、あそこには幽霊が居た気がする…いや、絶対居たね…
ナ:あーあ。自分の世界入っちゃった…。ほら、席行くよ~
【着席して向かい合って食事を取る】
ミ:いただきます!ハグッ…ウンウン…おいしい~最高…
ナ:もう…せっかくサラダ付いてるのにハンバーグから食べてるし…
ミ:こんなに肉汁が溢れてるハンバーグを目の前にしてサラダから食べるわけないじゃん!!はぁ~…幸せ…
ナ:ふふ、まぁいいけど?ミオリが幸せならそれでさぁ~
それで…?今年の夏もサークルでどっか行くの?
ミ:………。そのことなんだけどさ…
ナ:ん~?どうしたのぉ?そんな暗い顔して
ミ:我がオカルトサークル…今年新入部員が入らなくてさぁ…
ただでさえ少数なのに、先輩ばっかりで…皆インターンとかで忙しくてさ…
今年は…何も予定が……とでも言うと思ったかぁ!!
ナ:えぇ~?違うの~?せっかく一緒にプール行けると思ったのに~…
ミ:ナナ……。実はナナに頼みがあるんだ…聴いてくれるよね!?
ナ:嫌な予感しかしないんだけどぉ~
ミ:実はこんな都市伝説があるんだよ…これは恋バナが大好きなナナにピッタリの話しなんだけどさぁ~?
ナ:やっぱりオカルトじゃ~ん…
ミ:まぁまぁ…聴いてよ?あのね?新宿の裏路地に、午前4時になると現れる喫茶店があるんだって!!
ナ:もう、それだけで胡散臭いんだけど~…
ミ:もう!良いから聴いてよ~!その喫茶店には、頼むと恋が実るって言うクリームメロンソーダがあるんだって!というか、メニューはそれしかないらしいんだけど…。どう?気になってきたでしょ?
ナ:え~?んん~。それってなんて言うお店?今調べちゃおう~
ミ:それが店名は分からないんだけど、もし見つける事が出来たらその喫茶店だぁって分かるんだって!!不思議だよね!!
ね?お願い、今年の夏休みはあたしと一緒にこの喫茶店探しを手伝って!!
ナ:えぇ~?お店の名前も分かんないのに見つかるわけないじゃ~ん…
それに…新宿の裏路地って範囲広いし…午前4時に現れるって何時から探す気なの~?ナナ、起きれる気がしないんだけど…
ミ:それを探すのが楽しいんじゃん!!本当は毎日でも探したいところだけど…さすがにナナの夏休みをこれで潰す訳にはいかないし…一週間だけ…一週間だけ時間ちょうだい?朝四時前に駅前集合で!調べた感じだと…朝の五時にはその喫茶店消えちゃうんだって。一時間の間に見つけることが出来れば……
ナ:出来れば……?
ミ:幻のメロンクリームソーダが飲める!!!
ナ:そっち~??叶えたい恋があるとかじゃなくてぇ?
ミ:とにかくさ!!お願い!!さすがに一人でウロウロするのは…ちょっとコワイしさぁ…
ナ:うーん…確かに。事件とかに巻き込まれたら嫌だしねぇ…はぁ~あ。分かったよ~。オカルトの事になると止められないのは分かってるし…一週間だけだからね?それで見つかんなかったら…諦めてナナと一緒にプール付き合ってね?
ミ:うっ……。分かった…。でもさ…一つだけ言うけど…あたしカナヅチだからね?泳ぐのは無理だけど、いいの?
ナ:えー?そうなのー?泳げそうな感じするのに。でも、ハルちゃんも泳げないって言ってたし?ミオリだけじゃないよ!泳げないのは!
ミ:え?二人で行くんじゃないの?ハルちゃんと他に誰が来るの?
ナ:えぇ~っとぉ…ハルちゃんとアキちゃん、あと同じ学部の男の子4人かな!
ミ:やっぱ…あたしプールパスで…
ナ:なんでぇ~?ミオリが来てくれないと寂しいじゃーん
【ミオリは男の子が居ると分かって暗い顔になる。】
ミ:……皆で楽しんでおいでよ…。あたしが行ったら場がシラケちゃうって…
ほら、男の子も居るんでしょ?ナナと違ってあたし細くないし見せれる体してないし…
ナ:そんなことないって!え~~じゃあ…喫茶店探し諦めるの?
ミ:くっ………。それは……
ナ:じゃあ決まりね?♪約束したからねぇ~。ほら、早く食べないとお昼終わっちゃう!
【場面転換:夏休み。午前4時、駅前にて】
ミ:おはよ~!ナナ!
ナ:おはよ~…ごめんねぇ…遅刻しちゃった…
ミ:大丈夫、言うて10分くらいだし!!朝早くに来てくれてありがとう!それじゃあ早速探しにいこっ!!
ナ:ん~…ふわぁぁぁ。ミオリは元気だねぇ~
ミ:うん!だって幻の喫茶店見たいじゃん!!都市伝説が嘘じゃないとしたら誰かは行ったことがあるんだろうからさ!
ナ:でも誰かの作り話の可能性の方が高くな~い?
ミ:チッチッチッ!それを言っちゃあおしまいなのよ!こういうのはバカみたいに信じる事が大切なの!
ナ:自分でバカって言っちゃったよ…。ま、いっか!せっかく歩いてここまで来たから。お散歩の延長だと思ってナナも探してあげるっ
ミ:ふふ、ありがとう~!ナナはやっぱり優しいなぁ~。彼氏、居ない事が不思議なくらい
ナ:それはナナもそう思う~。ナナってそんなに魅力ないかなぁ?
ミ:んーん?魅力だらけだよ!ナナの良さに気付けない奴はバカだなぁ~
【小声で】まぁ…気付いてくれなくていいんだけどね
ナ:ん~?今なんか言ったぁ?
ミ:ん~ん。なんにも言ってないよ?カラスか何かの鳴き声じゃない?
ナ:カラスかぁ~。カラスさんおはよう~
ミ:カラスに挨拶しだしたら、不思議ちゃんみたいだからやめなぁ?
ナ:うーん、そうかなぁ。分かったぁ~
ミ:ナナは素直でいい子だよ!あたしが保証する!ほ、ほら!喫茶店見つかったら恋が実るって言ったじゃん?あれ、別に今好きな人が居なくてもさぁ。これから見つけた時にも有効だと思うんだよねぇ~
ナ:そうなの??じゃあ、未来に出会う好きな人の為に絶対飲まなきゃね?何だっけ…マロン?ジュース!
ミ:メロンね!マロンって秋じゃん!
ナ:そうそう、メロンジュース!
ミ:メロンクリーム!ソーダ!!全然覚えてないじゃん。あはは
ナ:今、覚えたぁ~だってさぁ…眠すぎて頭ぽわぽわするんだもん。ラジオ体操でもこんな早起きしたことなかったよ~
ミ:確かにね~。でも、夏の早朝の空気、あたしは好きだなぁ~。何か空気が澄んでて、まだ暑くないこの時間帯
ナ:そうだねぇ~今日も暑くなりそうだもんねぇ…早く見つけて暑くなる前に帰らないと…
ミ:そうだね、じゃあ、あっちの方歩いてみよう!!
【5時。見つからずタイムオーバー】
ナ:ミオリ~五時になっちゃったねぇ~
ミ:やっぱり、そんな簡単に見つからないかぁ~。でもまだ初日だしね!明日も頑張って探そう!
ナ:やっぱり明日も探すの~?
ミ:当たり前!!一週間の約束でしょ?コンビニで朝ご飯奢ってあげるからさぁ~。付き合ってよ~
ナ:はぁい。約束したもんねぇ。じゃあナナ、サンドイッチ食べたい。卵の。それからコーヒーと、あ、サラダも食べたい
ミ:めちゃくちゃ買わせる気満々じゃん…。いいよ!買ってあげる
ナ:わぁーい!!ミオリ大好きぃ~【後ろから抱き着く】
ミ:ちょっと、急に抱きつかないでよ、コケるじゃん
ナ:へへ~このままおんぶしてコンビニ行っても良いんだよ?ナナ、歩き疲れちゃった…
ミ:それはむーりー!あたしだって疲れたんだから
ナ:じゃあやっぱり明日やめよっか!
ミ:ナーナー?【ちょっと怒り気味】
ナ:あははっ!ミオリ怒らせるのおもしろーい
ミ:たくっ…。【聞こえないくらいの小声】人の気も知らないで…
【時間経過:それぞれが帰宅する】
ミ:それじゃあ、今日はこれで解散しよっか…段々暑くなってきたし
ナ:そうだねぇ~。じゃあ、また明日の朝に!あ、明日は遅刻しないようにミオリ、起きたら電話してよ~
ミ:しょうがないなぁ…遅刻されたら困るから、いいよ!それじゃあ、またね!
【2日目。朝、ベッドの上で】
ミ:よしっ!今日も探すかぁ~!あ、そうだ。ナナにモ二コするんだった…
ちゃんと起きてくれるのかなぁ~
【電話をかける】
ナ:うう~
ミ:ナナ?おはよ~!起きて~!準備して~?
ナ:あと30分後に起こして~
ミ:それじゃあ間に合わない!!ほぉら、起きてよ~
ナ:ううう…ミオリは朝から元気だねぇ…
ミ:一週間以内に見つけなきゃなんだから当たり前でしょう?
ナ:うう…でも一週間過ぎてもミオリなら一人でも探しに行きそう…
ミ:………。(ため息に近い短い吐息を吐く)
ナ:あれ?ミオリ?もしもーし?聴いてる~?
ミ:あ、うん!聴いてる!でもあたしはナナと探したいんだ!
ほら、こういうのも夏休みの思い出じゃん?
ナ:そっかぁ~そうだねぇ。話してたら目が覚めてきたから準備するね?
ミ:うん!お願い!それじゃあ、またあとで!
ナ:はぁ~い、またあとで~
【電話を切る】
ナ:ミオリ…何か変だったなぁ…。いつもなら一人でも探すタイプなのに…。
まぁいっか~。準備しよ~っと…
【2日目、午前4時半】
ナ:もう4時半かぁ…見つかんないね…
ミ:エリア決めて、しらみつぶしに歩いてるけど、それっぽいお店ないね…
ナ:でもさぁ。簡単に見つかったら都市伝説になってないもんねぇ。伝説?っていうくらいだしねぇ
ミ:そうだね…でもさ…それを見つけた時…きっと凄い達成感と幸せがあたしたちを待ってるんだと思ったら!ヤル気がみなぎってくるくるよね!?
ナ:う、うん…ソウダネ~
ミ:もう~棒読みやめて~!!ナナには分かんないよねぇ~この気持ち…
ナ:いや、ワカル、ワカル!!スッゴク、ワカル!!
ミ:片言になってんじゃん!あははっ!
ナ:ナナは、ミオリが一生懸命探してる姿、見てるだけで楽しいよ?
こんなに熱くなれるモノがあるって幸せじゃん!ナナには無いも~ん
ミ:そう?ナナ以外の子からは、ガッツリ引かれてるけどね~
ナナみたいにTHE・大学生って感じの方が周りと上手く溶け込めて幸せなんだろうなぁとは思うけどね
ナ:そうかな~。個性がある方が魅力的だと思うけどなぁ~ナナは
それにオカルトに興味のないミオリは想像できないや
ミ:確かに…あたしからオカルトを取ったら…何が残るんだろう…
ナ:卑屈すぎ!それ抜きでも、ミオリは十分魅力あるもん!ナナはそう思うよ?
ミ:ホント?じゃあ、あたしの魅力って何?
ナ:ん~とぉ~…
ミ:おい!!無いのかよ!!
ナ:あはっ!冗談!ミオリはいつもナナの味方で居てくれるし、周りがなんていっても自分を貫ける強さがある!あと、ミオリの笑顔はナナを幸せにしてくれる
ミ:あたしの笑顔…?
ナ:うんっ!ナナ、ミオリが笑ってると嬉しいし幸せだよ?
ミ:そっか…あたしもナナの笑顔好きだよ?可愛すぎて天使かと思う時あるもん
ナ:それは言いすぎ~逆に嘘くさ~い…
ミ:ホントだって!ずっと傍に居て欲しいなって思ってる
ナ:ナナ、ずっと傍に居るよ?
ミ:うん……ありがとう!
【しばらく間を置いてから】
ミ(N)きっと…ナナの言う傍に居るっていうのは友達としてなんだと思う
あたしのこの気持ちは、ナナとは違う。告白しようって何度も思ったけど…
この関係を壊すのが怖くて…勇気が出ずに今日まで来た。
だから、あたしは…どうしてもこの喫茶店を探し出したい…。
もう、何かに頼らないと、きっとこの恋は動き出さないと、そう思ったから…。
ナ(N)ミオリと喫茶店を探し出して、もう5日が経った。
相変わらず、喫茶店は見つからないけどミオリと話しながら歩くこの時間は、ナナの中で特別でかけがえのない思い出になっている。
でも…時間が過ぎれば過ぎるほど…ミオリは段々元気が無さそうに見えた。
元気が無い、というよりは焦っていると言った方が正しいのかもしれない。
【6日目午前4時半】
ナ:あと…30分で5時か~。今日で6日目かぁ。明日で最後だねぇ
ミ:そうだね…
ナ:そんなに落ち込まないでよ~?都市伝説なんだし、見つからなくてもしょうがないよ~。去年は廃墟で幽霊?見つけられたのは偶然っていうか、ラッキーだっただけでさぁ~毎年何か見つかるとは限らないじゃん?
ミ:分かってる!!
ナ:ミオリ?
ミ:ごめん…。声デカかったよね…。でも、どうしてもあたしはこの喫茶店を見つけたいの…
ナ:ミオリ…そんなにメロンクリームソーダ飲みたかったの?
しょうがない、見つからなかったらナナがカフェで奢ってあげるよ~!
ミ:それじゃ…意味が無いんだよ…
ナ:ミオリさぁ~。ナナに何か隠し事してない?
ミ:え?
ナ:なんかぁ、いつものミオリだったら…もっと楽しそう。ナナ、オカルトの事は本当に全然分かんないし、興味ないって思ってるけど。ミオリがね?いつも楽しそうに話してくれる時は、ナナちゃんと聴いてるんだよ?反応薄いって言われるけど。それでも、ミオリの真剣に話してくれる姿だけはちゃんと見てるの
ミ:うん…いつもありがとう…
ナ:感謝して欲しいとかじゃなくて…なんて言えばいいかな?ミオリが楽しいんだったらそれで良いと思ってて。いつになく真剣に探すミオリの姿見ててさ。ナナも役に立てれたらなって思って、この喫茶店の都市伝説の事調べたんだよね…
ミ:そう…だったんだ…
ナ:だから…何で隠すのかなって思ってさ?ミオリはいつもオカルトの事だったらベラベラ話すでしょ?それはもう細かく!ねぇ…この都市伝説。午前4時に新宿の裏路地に現れる喫茶店でメロンクリームソーダを頼むと恋が実るって言ってたけど…。
…本当は、〝メロンクリームソーダを好きな人と一緒に頼むとその人と結ばれる″って書いてあった。
何で、その事隠したの??
ミ:それは…
ナ:ナナはねぇ。ミオリとの間に隠し事なんてしてほしくないと思ってて。
こうやって一緒に何日も探してるのに…ナナだけが知らないなんて嫌だなって思ったよ?
ミ:本当にごめん!!その…言いづらくて…だって…それを言ったら…あたしがナナの事好きだって言ってるようなもんだし…
ナ:言っちゃダメなの??……なんて、イジワルだよね。ごめんね?
でもさ、勝手に都市伝説なんかで結ばれるのは嫌だなぁってナナは思うけどなぁ~
ミ:そうだよね…ナナの気持ち考えずに自分勝手に探して…それで結ばれても意味ないよね……だってナナの本当の気持ちじゃないもんね…ホント、あたし最低だね…
ナ:ホント、最低!…なのはナナの方かも。ミオリがナナの事好きなんだろうなって分かってたから…
ミ:え…?分かってた??
ナ:うん!だってミオリ分かりやすいから!ナナがギューって抱き着いたりしたとき、いつも赤くなるし?ハルちゃんに抱き着かれてる時はそんな顔にならないもん
ミ:嘘!?赤くなってんのあたし?
ナ:ふふ…なってる。でも、ミオリは告ってこないし、ナナもミオリの事…本当に恋愛として好きか…自信無かった。だから何も言わなかった
けどさ…。こんな風に必死に喫茶店探してまで、ナナと付き合いたかったんだぁって思ったら…。ミオリの事…愛しいなぁって思っちゃった
だから、お互い様かも…ごめんね?
ミ:ううん…。こっちこそ…ごめん
ナ:ふふ…そんな顔させる為に言ったんじゃなくてね?
つまり、喫茶店が例え見つからなくても、ナナはミオリが大好きだし
その…付き合いたいって思ってるよ?
ミ:え……ホントに?それ、流されてない?あたしに気を遣ってるんだったら気にしなくていいからね!?
ナ:もう~…信用無いなぁ~。流されてないよ。ナナはミオリが大好き!!
今は自信もって言える…。都市伝説で無理矢理付き合うんじゃなくて、ちゃんとお互いに思い合って付き合いたいから…ミオリ。ナナと付き合って~?
ミ:うん…こちらこそ…よろしくお願いします…
ナ:へへ~なんか恥ずかしいねぇ…あ。あと5分で5時だねぇ。
今日も見つかんなかったねぇ。
ミ:そうだね…でも…ナナと付き合えたから…今はもう喫茶店とかどうでもいいかも…
ナ:え~?オカルト大好きなミオリがどうでもいいとか言っちゃうの?凄い…ナナってそんなにミオリにとって大事な存在だったんだ…
ミ:当たり前でしょ!オカルトは趣味だし…ナナと天秤にかける方がおかしいじゃん
ナ:たしかに~?じゃあ、あの曲がり角入って無かったら、今日はもう諦めて帰ろっか!
ミ:うん、そうだね!あと5分。走ろっ!ナナ!!
ナ:え~走るの~?ナナ走るの苦手なんだけど~待ってよ~…
【曲がり角を曲がった先に古びた喫茶店が見えた】
ナ:うわっ…急に止まんないでよ…
ミ:ナナ……見つけたかも…
ナ:え?……あっ。「恋のメロンクリームソーダ店」ネーミングセンス、ダサ……
ミ:ホント、ダサいけど…絶対あれだよね…
ナ:うん、あれしかないね…
ミ:入ろう!!ナナ!!あと1分で5時になっちゃう!!
ナ:うん!!
【ドアベルが鳴る】
マ:いらっしゃいませ
ミ:ここが…都市伝説の…喫茶店?
マ:都市伝説…。この店は都市伝説になってるんですね…
ナ:そうだよ~お姉さんは喫茶店のマスターさん?
マ:そうですね。そのような者です。お客様がいらっしゃるのは何年ぶりでしょうね…
ミ:ホントだったんだ…うわ~鳥肌凄い…
マ:当店の事を知っておられるみたいですが…ここはメニューがメロンクリームソーダしか御座いません
ミ:そうみたいだね…まだ信じられないや…
ナ:マスターさん!このメロンクリームソーダを好きな人と頼むと結ばれるって本当??
マ:ええ。本当です。ですが…お二人はもう…必要ないんじゃないでしょうか…
ミ:えっ…。何で…?
マ:見れば分かります。まぁ…せっかくいらっしゃったので…ご注文は如何なさいますか?
ミ:ナナ…。頼む??
ナ:せっかくだしねぇ。もう必要ないけど…たくさん歩いて喉も乾いたしぃ?
ミ:そうだねっ!じゃあ……
ミ、ナ:メロンクリームソーダ下さい!!
【完結】