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日本アニメーションは今年創業50周年!アニバーサリー・アート制作秘話に迫る

日本アニメーション株式会社は2025年6月3日に創業50周年を迎えます。50周年を迎えるにあたり、これまで当社が制作してきた作品のキャラクターたちが集合したアニバーサリー・アートを作成しました。2025年最初のnoteでは、アニバーサリー・アート制作の裏側について紹介します!

今回のアニバーサリー・アートは、スタジオの若手スタッフたちによって描かれたものです。今回は制作メンバーを束ねた武本心さんにお話を聞きました。

日本アニメーション株式会社 作画グループ 作画   武本 心さん

_アニバーサリー・アートは武本さんが率いるチームに制作していただきました。描くことになった時の感想を教えてください。

武本さん
ぜひやってみたいと思いました。10年ごとにしかない周年の中でも、50年周年という大きな節目の年というのもありますが、普段描くことができないキャラクターたちを描けるという機会はなかなかありません。それも仕事で!

_アニバーサリー・アートの制作にあたって、武本さんがメンバーを選ばれたそうですね。

武本さん
スタジオでは、自分よりもさらに若い方たちがいろいろなことに挑戦していて、ちょっとずつキャリアを重ねていっています。しかし、キービジュアルのようなものを描く機会あまりありませんでした。今回のアニバーサリー・アートはキャラクター数も多いので、複数人が参加できるいい機会と考え、原画や動画のスタッフからメンバーを集めました。

_武本さんは全体のレイアウトを担当されましたが、描いていて楽しかったキャラクターはいますか?

武本さん
コナンですね!もう幸せでした。ラフでしたけど、コナンを描けるんだなって。あと、マーヤが好きで、描けたのがうれしかったです。

武本さん
『未来少年コナン』は、入社前にも見たことがあったんですけど、ふわっとしか覚えていなくて。劇場版『シンドバッド』に参加した際、宮下監督から『未来少年コナン』から学んでくれって言われて、改めて見てみたんです。元々好きだったんですが、ファンになりましたね。


『未来少年コナン』

_『未来少年コナン』からどういうことを学ばれたのですか?

武本さん
動きとかレイアウトとか…全部ですね。
アニメーターになって2、3年目で原画を担当するようになった頃に『シンドバッド』に参加しました。当時はダメダメで…。まずはレイアウトから勉強しようと思って、ジブリのレイアウト展の本を買って勉強していたら、監督に怒られました。細かく絵画のように描かれたレイアウトを見ても、まだそこから学べる段階になかったのです。そこで見るように勧められたのが『未来少年コナン』でした。昔のロマンアルバムのようなレイアウトが載っている書籍や、先輩たちから借りたもので研究しました。それもあって、作品として好きというだけでなく、自分の転機になった思い出のある作品なんですよね。

長編映画シンドバッド

_アニバーサリー・アートのレイアウトのポイントを教えてください。

武本さん
異なる世界のキャラクターたちが一堂に会すわけですから、違和感がないように統一感を持たせながらも、それぞれのキャラクターらしさが出るようにしました。描くのが楽しすぎて、全部自分で描きたいと思った瞬間もありましたね(笑)

_苦労したところはありますか?

武本さん
キャラクターの大きさは苦労しましたね。例えば、まる子とコナンが横に並んでいますが、頭身が全然違うので、少し大きさを変えると並んでいるはずなのに前後に並んでいるように見えたりして。自分のラフの時は、ざっくりした構図になっていたので、チームのメンバーが工夫してくれました。

日本アニメーション創業50周年アニバーサリー・アート

_フィルムも細かくて大変そうですね。

武本さん
たしかにそうですね。フィルム部分は編集の部署の方からフィルムを借りて、原画を担当したスタッフが実物を見ながら描いてくれました。

_日本アニメーションが創業50周年を迎えるにあたって感じていることを教えてください。

武本さん
世の中から今求められているものを察知していきながらも、自分達らしい新しい作品を作っていきたいと思っています。昔みたいな作品をやりたいという意味ではなく、過去の作品が持っている良さをちゃんと自分たちが認識した上で、新しい形を探っていけたらなと思っています。

武本さん
生活芝居を第一に考えて、一生懸命キャラクターたちが生き抜く姿や素朴さなどを描いていくことですかね。素朴さって地味になりがちですが、そこをちゃんと良さとして活かした上で、今の時代にも受け入れられるような世界観を作りたいです。流行りの作品の真似ではない、日本アニメーションならではの新しさを考えていきたいなって思いますね。

聞き手:村岡 佑哉

©NIPPON ANIMATION CO., LTD.

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