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取扱説明書へのユーザー・コミュニティー活用 (CDシンポジウム2023)


CDシンポジウムとは

主催者:テクニカルコミュニケーター協会(by JTCA)

JTCAは、「使用説明」の品質向上によって誰もが安全かつ簡単に最新の技術を利用することができ、仕事や生活の質を高めることができる社会の実現を目指します。そのためにTC技術の発展と普及を促し、その応用範囲の拡大に努めます。また、TC技術に携わる人々の間で情報共有と情報交換を活発に行い、デザイン、ユーザビリティ設計、システム設計、国際マーケティングなどの関連分野との交流を深めます。これらの目的を達成するために、TCシンポジウムや日本マニュアルコンテストの開催、さまざまな標準規格の策定、学術研究および産学協同プロジェクトの推進、人材育成などの分野で多面的に活動を展開、発展させていきます。

テクニカルコミュニケーター協会
https://jtca.org/jtca/

主催意図:シンポジウムとは(by JTCA)

さまざまなメディアとデバイスを用いて、必要とする時に、必要とする場所で情報を閲覧する。利用者の情報への接し方はパッケージ化された文書が中心であった時代から様変わりしています。発信企業は「情報をどうつくるか」ばかりでなく「どうつたえ、どう使っていくか」が問われます。シンポジウムでは、これまで取り組んできたつくる技術だけでなく、つたえる技術、つかう技術、つかってもらうための技術の知識化と研鑽に取り組みます。

テクニカルコミュニケーター協会 
https://jtca.org/symposium/about-symposium/ 

テーマの用語:コミュニケーションデザイン(CD = Communication Design)とは

「コミュニケーションデザイン(Communication Design)」とは、「人と人との間のコミュニケーションをデザインすること」や、自社がどのように顧客とつながり、関わりを持てるかといった「企業と顧客との間のコミュニケーションをデザインすること」です。

コミュニーケーションデザインにおけるコミュニケーションの定義とは、人々の間で「情報などが共通のものになる」という現象です。そしてデザインとは、情報などを人々の間で共通のものにするための「問題を解決すること」です。

デジタルハリウッド株式会社
https://school.dhw.co.jp/course/digital/contents/w_communicationdesign.html

取扱説明書(製品情報)視点でのコミュニケーションデザイン(個人見解)

取扱説明書が紙に限定される時代ではなくなり、Web(HTML)、PDF、動画、SNSなど様々な媒体(メディア)を通して、製品の使い方を伝えられる時代になりました。メーカーからユーザーに一方的にアウトプットするのではなく、双方向コミュニケーションをも考慮した製品情報の提供が可能になりました。

このような時代において、どのような製品情報(取扱説明書)がユーザーに活用してもらえて、役に立てるのか。そういったことを考え、意見交換をCDシンポジウムという場で推進していきたいと考えています。

「取扱説明書×ユーザーコミュニティー」の模索

「取扱説明書×ユーザーコミュニティー」という組み合わせは、ほとんどチャレンジされていないものと思います。

私の過去の実績において、製品開発・商品企画・販売促進などの活動において、ユーザーコミュニティーとコミュニケーションをして得たフィーリング(直感・感覚・感触・気分・気持ち・感受性・印象・雰囲気・空気感など)が目指すべき方向性を支えてきました。

それは、「取扱説明書」にも適用できるんじゃないか?という直観からその可能性の言語化をしてみたいという動機から始めました。

この活動が取扱説明書やコミュニケーションデザインを実現する手段として活用されていったら良いなと思います。

CDシンポジウム2022のセッション

ユーザーコミュニティーとコミュニケーションして、取扱説明書の制作に活かすとどのようなメリットがあるのだろうか。そんな思いを形にしてみたく2022年に「コミュニティーマーケティング」の著者である「小島英揮」さんを招いてお話を伺う機会を作ることができました。

ユーザーコミュニティーと良好な関係を築けていると、ユーザーからポジティブなフィードバックを貰うことができる。そのフィードバックが大きくなると、販路や社内がポジティブに代わっていける。そういうゴールイメージを示すことができました。

資料

CDシンポジウム2023のセッション

2022年のセッションで「取扱説明書×ユーザーコミュニティー」の可能性を言語化することができたので、次に「コミュニティーの多様性」と「コミュニティーマーケティングの王道プロセス」をお伝えする企画をしました。

「人の多様性」「コミュニティーの多様性」を知っていただきたく、毎回新しいつながりを表現されている春日井製菓販売株式会社の原さんをお迎えしました。取扱説明書がテーマのシンポジウムということで、難しい表現になってしまいましたが、人はひとりひとり違っていて、異なる二人を集めて、予想外のアウトプットを出し続けています。原さんのアウトプットに同席すると、人間のすばらしさすら感じてしまいます。ひとは、型にはめらえないということを感じます。

「コミュニティーマーケティングの最新プロセス」を知っていただきたく、アドビの松井さんをお迎えいたしました。松井さんは、マーケティングオートメーションツール(MAツール)のユーザーコミュニティーを担当されています。MAツールのユーザーは、「マーケター」です。ユーザーコミュニティーを通して、マーケターがマーケターとして成長して、MAツールが長期的に有効活用されている状態が望ましいと考えられています。売り切りの関係ではダメなのです。「製品が活用されている状態を作り上げる」というゴール設定に対しては、ユーザーコミュニティーも、取扱説明書も、目的に違いはないのです。

私の準備が不十分であったところもあり、小島さん、原さん、松井さん、それと参加者の皆様には、ご迷惑をおかけしました。来年に向けてしっかり準備をしていきたいと考えております。

資料

文章の組み立て方

さて、私は、2023年のCDシンポジウムで何をやりたかったのでしょうか?それを考えたく、少し時間がかかってしまいました。

「日本語スタイルガイド」に「文章の組み立て方」が記載されています。最近、「伝える内容」、「伝える目的」、「コンテキストを組み立てる」を次の様に整理しています。

その中の「読者を明確にする」に不足感を感じています。読者を明確にして<何をする>のでしょう。
私は、読者の理解を深め、その読者に寄り添うべきだと考えています。読者は、心理学などで理解は深まりません。春日井製菓の原さんの活動からわかる通り、人は型にはめられません。

読者を効率よく理解する方法が、「コミュニティーマーケティング」だと考えています。

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まとめ:マーケティング(!=プロモーション)しようよ!

テクニカルコミュニケーター協会では、「日本語スタイルガイド」などの書籍出版や技術検定により、取扱説明書の「機能的価値の向上」に努められています。

ただ、マーケター視点でみると、それだけでは顧客満足に繋がりません。マーケティングが足りません。顧客を理解し、顧客に寄り添うことで見えてくる「情緒的価値」が足りません。取扱説明書を制作する立場でのマーケティング活動(!=プロモーション)を始めたほうが良いと確信しました。

きっと、アドビの松井さんの活動が一つの指標(目標)になるはずです。

来年に向けて

原さんと松井さんには、「今」実践されているマーケティング活動をご紹介いただきました。次は、テクニカルコミュニケーション領域におけるマーケティング活動として、何ができるのかを考えていきたいと思います。

幸い、私の担当製品には、歴史あるユーザーコミュニティーがありますので、取扱説明書に関するコミュニケーションを始めたいと思います。その結果がどうなっているのか、来年のCDシンポジウムでお伝えできるように準備してまいります。

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