ちぎり絵物語
『サラリーマン卒業に向け会社を飛び立とうと羽根を生やした男と金のスイムウェア』
サラリーマンの身分から自分で会社をし、自由になろうと羽根をつけて大空に飛び出したタケシ。
長年着古したスーツのポケットには大きな穴が開いてるためサラリーマン時代に毎月稼いだお金はサラサラと街中に降り注ぐ。
たまたま競馬場に来てたおっちゃんにタケシのお金が降り注いだ。
「にいちゃん!いっぱいお金降ってきてんで!ポケット穴空いとんちゃうか!ありがとうな!」
サラリーマン感覚のまま自分の力で稼ぐと飛び立ったタケシに会社を動かすお金の使い方、大切さなどわかるはずもなくポッケに入ってたありったけのサラリーも穴から落ちてすぐに地面をついた。
もう明日食べるためのお金もないと絶望しかけているタケシの前に金のスイムウェアが現れた。
金のスイムウェアのタグには
「そんな羽根なんかちぎってこれ履け」
と書いてあった。
これは神のお告げやと思ったタケシは自慢の羽を引きちぎりメッセージ通りに金のスイムウェア一丁になった。
街中でスイムウェア一丁になった自分が恥ずかしすぎたのかタケシはすぐに海に飛び込んだ。
飛び込んだはいいものの大海原での泳ぎ方もわからず来る日も来る日も溺れる生活。
荒波やサメなどにも襲われかけながらタケシは徐々に大海原での泳ぎ方を身につけて行った。
そのうちタケシは自力で泳ぎ続けて生きていくことに限界を感じたのか大きな船を作って大海原を乗り越えて生活していこうと考えた。
船にはタケシについてきた従業員や料理人も乗るようになっていった。
そうするうちにタケシはその人たちにお給料を払うようになった。
気づけばタケシは船の上で社長になっていたのだ。
毎月船員や料理人にお給料を払う。
「これがサラリーとは反対の立場か」
海を溺れたりしながら泳ぎ方から覚え、今では船を運営したりする生活の大変さを思い知りながらタケシはもといた港へついた。
そこにはサラリーマン時代の会社の社長がいた。
「おいタケシ。お前が羽根を生やして飛び立ち目指した自由は手に入ったか」
金のスイムウェアを履きながらタケシは答えた
「なんとも言えねぇ』
「金の北島康介か」
と素早くタケシにツッコミを入れ、社長は敬語の使い方も忘れてしまったタケシを大きく笑った。