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忘れ物から 子どもを救ってあげよう

教員は「懲罰主義」をもった人が少なくない というのが私の印象です。
「自分で困らないとわからないのよ」と言って、忘れ物をしても知らんぷりしている教員が一定数います。こういう教員の言い分は「大人になったら誰も助けてくれないから、自分が困って恥ずかしい思いや嫌な思いをすることで忘れ物をしてはいけないということをわからせないとね。」といったようなものです。保護者の中にもこういう考え方をしている人が少なくありません。

しかし、忘れ物をする子はいつも同じですよね。子どもは忘れ物をしても心から困っているわけではありません。とりあえずその時が過ぎればいいわけですから。「忘れ物したら困る」という意識を持っている子はそもそも忘れ物などしません。
「忘れ物をして困る」のは先生に叱られるときぐらいでしょうか。

忘れ物をして子どもを叱責しても何もいいことはありません。厳しく叱責することでの悪影響は大きいです。子どもは先生のことを嫌いになります。時には心に傷を負い、登校しぶりにすらなることもあります。

こういうときに校長としてできることは何でしょうか。
こうした懲罰主義の先生たちの意識を変える。これはそんな簡単なことではありません。校長がマンツーマンで話をしたとしても、変わらないでしょうし、人間関係を損なう可能性があります。ご自身の心身の健康を保つためにも、そんな労力は使わなくていいです。

先生を変えることよりも、子どもを先生からの叱責を救ってあげましょう。

例えば、私は忘れ物をしても困らないように、日常的に必要な文房具は予め購入しておき、貸し出すようにしていました。
今は100均がありますから、色鉛筆や定規等の文房具をそろえるぐらい大したことはありません。忘れ物ボックスなるものを各教室分用意して、そこに様々な文房具を入れて、忘れた子に貸し出すようにすれば、子どもの学習の遅れは減りますし、叱られ無くて済むという心理的安全性を保つことができます。先生自身も叱責することは減るので、心穏やかに学級経営をすることができます。
上履きは様々なサイズを職員室に置いておき、私の目の前で貸し出すことにしていました。子どもとコミュニケーションをとるチャンスですから。もちろん叱ることはしません。「おうちに忘れちゃったんだ。早めに持っておいでね。」とニコリと言うだけです。そして、上履きを持ってきたら「よく持ってきたね。」とニコリと声をかけるだけです。

校長としてこのような取り組みをするときには、先生たち全員に校長としての意図を伝えることを忘れてはならないと思います。できれば、校長通信で文章に残して伝えるといいです。
「なぜ忘れ物ボックスを用意することが教育的に効果があるのか」「なぜ上履きの貸出制度をするのか」
こういう意図を伝えることで、校長としてどのような教育方法が望ましいと考えているかを先生たちに理解してもらう機会にしていきたいです。そして、少しでも懲罰主義の先生を減らしたいものです。

最後に、しょっちゅう忘れ物をする子でも遠足のお弁当やおやつは忘れませんね。お弁当やおやつが遠足の楽しみですし、これこそ無かったら困るからです。
そんなもんじゃないでしょうか、人間とは。

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