国は、いじめによる重大事態への対応よりも、スピード感をもっていじめに対応する仕組みをつくることにもっと注力すべきです
いじめによる重大事態は、増加傾向にあります。
特に、いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する第1号「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に 重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」は過去最多を記録しています。
重大事態の解決に当たることはもちろんです。
4月から発足するこども家庭庁では報道によるといじめによる重大事態が発生した際、調査期間を設置する自治体に対し、助言を行う「いじめ調査アドバイザー」を任命する模様。
しかし、世の中的には重大事態の解決というのが第三者機関が調査するというようなことしか見えてきません。第1号になるまでに発展すると実際問題、関係が修復して、元のような形で学校生活をリスタートすることは相当難しいように経験上思います。
それよりも重大事態に至らないようにすることに、もっともっと注力するべきではないでしょうか。
上の資料は、問題行動・不登校調査の調査結果から「いじめの解消状況」の経年変化です。年々解消率が低下していることがわかります。4件の内1件はなかなか解消できない状況にあるようです。
近隣の市町の生徒指導担当指導主事数名にいじめ対応の現状をうかがうと、
解消率が低下している大きな理由として「初期対応のまずさ」
があるようです。
自校でいじめと思われる事案が起きるとすぐに動くようにしています。
こうした事案が起きたら細かに調査をする前に、担任から管理職と生徒指導主任に概略ではありますが、いじめの情報提供があります。
そして、すぐにいじめへの対応を決めて実行していきます。
それぐらい、いじめ対応はスピード重視なのです。
時間が経てば経つほどこじれるのです。
このことをわかっていない管理職や先生方の場合、動きが遅くなります。
そして、いじめがどんどん重くなり、最終的に重大事案へとつながっていくのです。
いじめが起きた時に迅速な対応ができるように校長が陣頭指揮をとる力があればいいのですが、そうでない場合が多いため、解消率が下がっていってしまっているのだと考えられます。
国は、いじめによる重大事態に注力するだけでなく、
どの学校においても、いじめをスピード感をもって対応する仕組みをつくることについて、もっと真剣に考えなければなりません。
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