5年間好きだったアーティストのライブを初めて観た話
2024年8月23日、WILD BUNCH FEST 2024
映秀。がワイバンに出演した。
私が映秀。を発見したのは5年前、2019年。私が中学2年生のとき。
スマホを持たせてもらえずネットとは無縁の生活を送っていた私は、当時唯一許されていた【YouTube1日1時間】というルールのもとYouTubeでバンド漁りをするのが好きだった。バンドを漁っているとМVやライブ映像はもちろん、カバー動画が流れてくるようになった。ある日、「ジェラトーニfeat.映秀。」のクリープハイプの『憂、燦々』カバー動画が目に留まった。1か月前に投稿されていたその動画を観た瞬間、虜になった。
なにこれ?!?!!!!?!?!!!
それからは動画が出るたびに何度も何度も繰り返し再生し、唯一観れるYouTubeライブと少し経って許されたツイキャスを欠かさず観た。
映秀。個人チャンネルに飛んで、オリジナル曲を聴いたとき、ツイキャスで初めてオリジナル曲を歌う姿を見たとき、一目惚れの耳バージョン、一耳惚れをした。その時歌声を初めて聴いた訳ではないけれど、音楽好きなら誰しも感じたことのある、あのイナズマのようなものが走る感覚を確かに感じた。
いつかのツイキャスで『雨時雨』を聴いた時、私はこの人の音楽が好きだと確信した。『夜ル進ミ歩ク』『東京散歩』『オトノハ』個人チャンネルに残されたオリジナル曲達と『白日』のカバー。もっと沢山投稿されていたかもしれないが、私の記憶にあるのは上記だけ。くやしい
ジェラ秀。しか知らない人に大声で伝えたい。
オリジナル、めっっっっっっっっちゃ良いぞ。
そんな彼がボーカルを務めているバンド、空前の灯火のワンマンライブがオンラインで開催されることが発表された。オンライン、、、?観れるじゃん、観たい、何としてでも観たい、観なければならない。義務的なものを感じた。親から特別に許可をもらい居間にあるパソコンを自分の部屋に持っていき、参戦した。あの時のあの高揚感は忘れない。配信終了後、バカみたいに長いDMを映秀くんに送った、すぐに返信が来てめちゃめちゃ驚いたことを覚えている。その配信ライブが私の人生で最初のライブであり、空前の灯火を観た最後のライブとなった。
オンラインでのライブや配信を観ると、やはり思ってしまう。
生で観たい!!!!!生映秀。したい!!!!!
と。
彼は神奈川出身のアーティストなため、東京近辺でのライブが多い。ツアーで来てくれることもあるが、学校のテスト期間と被るなどして行けなかった。ライブが終わる度にタイムラインに流れてくる感想ひとつひとつに嫉妬し、YouTubeでのライブ映像を観て消費していた。大学生になってもまだ地方にいる私は、東京へのライブに行くにしても交通費がチケットの何倍もかかることが悔しく腹を括れず、腹を括ったとしても外したら人生終わるレベルの予定が入って断念していた。
6月28日。ワイバンの追加発表を見た時、信じられなかった。映秀。の文字がある。大学内で割とデカめの「えっ!?!?!!!!!?!!???」を響かせてしまうほどに驚いた。山口県に映秀。?映秀。が山口県に???ワイバン、、????
ありえない字面である。本当に本当に信じられない字面。ワイバンのアンケートの「ワイバンに来て欲しいアーティスト」欄に必ず名前を書いていた私の力でもあるのか??!?!とありえない考えで自分をひたすらに落ち着かせようと必死だった。誰がどうブッキングしたのかはわからないが、大きな声で言いたい。
本当にありがとうございます。
8月23日
FOMAREのステージリハを観た後、足早にステージへ向かった。ワイバンで1番小さなステージ。でも私にとっては夢がやっと叶う場所。大きさなんて関係ない。最前も空いていたが、自分の安全を優先し2列目にいることにした。1番前で観てしまったらどうなってしまうか分からなく、怖かった。一旦スマホを見て落ち着こうとスマホを取り出しインスタのストーリーを眺めていた。
ふと顔を上げた時、
いた。
そこにいる。ギターをポロポロしてる。
なかなか見れなかった、目を逸らしてしまった、直視できない、眩しい、動いてる生きてる弾いてる暑いね〜って話しかけてるデニムのセットアップ暑そうだな〜そういえば私このステージ来る前謎にコーラ買っちゃったなあやらかしたなあ髪の毛くるくるだなあ
と意味わからない思考を巡らせ、やっと自分のいる状況を理解できた気がした。
5年間好きだった人が目の前にいる。これはものすごいことである。すごいこと。本当にすごい。
しかも山口県で。何も無いところが良いところだと、けなしてるのか褒めてるのかよくわからない言葉をかけられる山口県で。
リハなんか全然集中できなかった、これ本番やばいなあと思っていた。本当に。
本番が始まった。歌ってる。目の前で。目が合う。生で。映秀くんはいつも本当に楽しそうに音楽をする。その姿に救われてきた。音楽やライブを良いものとしない環境にいた自分は、その姿に憧れてきた。
どの曲で泣き出したかもわからないくらい泣いてしまった。カバー動画を初めて観た時から今までずっと思っているが、彼の歌声には不思議な力があると思う。心にスッと入ってきて温かなもので満たしてくれる力がある。画面越しだからそう感じるのかも、とか思っていた私は馬鹿だった。ライブを観ながら私はこの人の歌が大好きだと何度も何度も思った。
映秀くんの曲は私のおまもり。私の心を救ってくれるヒーローみたいなものだ。
ライブを観終わった後、空が綺麗な夕焼けに染まりつつあった。映秀。にぴったりの空。
私は山口県で、地元で映秀。を観た。山口に映秀くんの歌声が響いた。その事実が本当に嬉しい。
次は絶対ワンマンライブに行こう、
ライブ前にコーラを買うのはやめよう、
と心に誓った。