![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129516908/rectangle_large_type_2_faf771a02ea126065afa82639673e433.jpg?width=1200)
「そつてん。」
暦の上ではもう春だというのに
まだまだ冷たい風が私の頬の熱を奪っていく。
少しでも暖かい場所へと足を急がせると
目の前に芸術館と呼ばれる建物が見えてきた。
どうやら「そつてん。」なるものを開催しているらしい。
東京都小金井市貫井北町にある東京学芸大学
その中にある芸術館(学芸の森ホール)では
第72回 卒業・終了制作展/論文発表会
(期間は2024年2月1日〜7日 10:00〜18:00)
が1階と2階の両方で開催されている。
学芸大に通う美術科の学生の集大成とも言える
この展示のテーマは“Bon Boyage”
直訳すると「良い旅を!」であるが、どうやらその意味だけではなく、「またね」「また会おう」「幸せな人生を送ってほしい」という意味も含まれているそうだ。
早速芸術館の中に入り、1番はじめに見えてきたのは
1人乗りのブランコ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129476583/picture_pc_7362a5fd061bfecf8caab62a938dad10.jpg?width=1200)
こいでみたかったが、人目が憚られ叶わなかった
驚いたのは実際にブランコに乗ったり
蛇口を回したり、ベンチに座ったりすることが
できたこと。
また、鑑賞者の動きに連動して鳥の囀りなどの自然音が流れる仕組みになっているらしい。
鑑賞者が一人二人と増えて行くに連れ
様々な音が重なり合い、増えていく仕組みは
まるで本当に公園の中で過ごしているかのように
感じさせるものだった。
ブランコを通り抜け、奥に進むと見えてきたのは
「彫刻研究室」や「洋画研究室」「版画研究室」
「日本画研究室」「彫刻研究室」などの作品。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129508888/picture_pc_2699ed45059190de75cda515fed25b1d.png?width=1200)
(左中段)《空中感覚世界》 森本将希さん
(左下段)《先がけて、》 尾崎左和さん
(右上段)《moratrium》 山家有理さん
(右中段)《Ephemeral Vitality》 栗原明さん
(右下段)《幹》 小石川愛可さん
中でも私が1番惹かれた作品がこちら。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129510574/picture_pc_3dcd487c1ca88d2c37971f144fec4784.jpg?width=1200)
一見グロテスクにも見えるこの作品。
赤と黒の色使いや、しっかりと残る絵の具の質量感から肉壁のような力強さを感じた。
ところどころ絵の中に使われている気泡緩衝材
(通称プチプチ)も、この赤黒い塊のなんとも言えない質感を生み出す1つのエッセンスになっている。
大きなキャンバスからかおる油絵具の匂いが作品の雰囲気をさらにかきたてていた。
さらに近づいて見てみるとあることに気がつく。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129513146/picture_pc_b57ad3a58f5f4884cd0d8ddd6389f015.png?width=1200)
か、可愛い〜!!!!
荒々しい絵の中にこんなにも柔らかく繊細なものが隠れているとは思いもよらなかった。
上の写真の子は額縁の右下の部分に、下の写真の子は絵の中の右面下部に物体の中を漂うように浮かんでいた。
大きな作品の中散りばめられている遊び心に心をくすぐられているような気持ちになってほっこりする。
ここまで紹介してきたのは芸術館1階で展示されていた作品のごくごく一部。
2階にも紹介しきれないほどの数の作品展示や論文発表が行われている。
最後まで読んでくれたそこのあなた。
是非「そつてん。」に足を運んでみてほしい。
絵の具の匂い。素材の質感。鮮やかな色彩。作品から流れ出る音。
とてもじゃないが私のレビューだけでは伝えることの出来ない迫力があった。
作品たちの圧倒的な存在感を現地に行って肌で感じて見てもらいたい。