見出し画像

今年最初のご当地ドローイング取材


遅ればせながら、明けましておめでとう御座います。

いつもながら、年末年始も無休でアトリエにて油に塗れておりました。

で、早くも1月後半。

先日は今年最初のご当地ドローイング取材で山梨県と静岡県に行ってまいりました。

新幹線で三島駅まで行ってから車でさっそく最強の富士山さま出現(もちろん助手席から撮影)。
左肩に宝永火口の膨らみが見える角度の富士山は二上山みたいって思うのは奈良県民だけでしょう・・
ETCゲートの背後に巨大な富士山。
雪の中に登山道のジグザグ道が見えてます。
自衛隊演習場側からの富士山。
助手席車窓からiPhoneの15倍ズームで。
富士山さまが遠ざかっていきます・・
お隠れになられて・・
雪を被ったアルプスの山並みが見えてきました。

今回のご当地ドローイングのメインミッションは、これまで描いてきた春・夏・秋の甲府盆地シリーズの冬バージョンを描くことです。

当然ながらご当地ドローイングで冬の現場は天候に左右されます。

日程はかなり前から予定していましたが、雨や雪が降ってしまうと冬の現場では過酷極まってしまいます。

日頃の行いが良かったのか、幸いにもポカポカ陽気になってくれました。

で、

本番前に・・

毎度お世話になっている甲府盆地にお住まいのCさまご推薦の、あかり食堂さんという地元民御用達のお店で腹ごしらえしました。
あかり食堂さんのテラスからも雪のアルプスが綺麗に見えていました。
大好物のだし巻き付き定食。

実はあかり食堂さん、ただの食堂ではありません。

日本で今一番高級かもしれない日本酒があります。

プリントミスかと思うお値段?

なんと!、一合で14,400円!!

0一つ多くプリントしてしまっただけかと思いきや、山形の銘酒十四代さまが一合1440円では安いとも思いますが、さすがに14,400円は一升瓶の値段かと思ってしまいます。

十四代 中取り純米無濾過はネットで検索しても一升瓶で50000円くらいはするようですから、飲食店では一合で一万円越えも納得なのかもしれません。

しかしこれを注文するのは、よっぽど酔っ払って清水の舞台から飛び降りる勇気を持たないと・・

で、もちろん・・

やめときました。

恐るべしあかり食堂さんのテラスからパチリ。

さて、

ここからミッションスタートです。

地元民Cさまとランチしながら打ち合わせたポイントを目指します。

狭い葡萄畑を縫うように画廊の車でドローイングポイントへ(いつものCさん運転中)。

真っ黒なアルファードさまで田舎道を走ると、まるで国会議員の大先生が地方視察にでも来たかのような威圧感を放っているような変な気持ちにもなりますが・・乗り心地は最強です。

雪のアルプスを望めるビュースポットを発見!

弓手の地元である奈良も盆地ですが、甲府盆地との違いは稲作の田んぼがほとんど無くて一面に葡萄畑や桃の木が広がっていることも特徴ですが、何と言っても3000m級のアルプスの山並みや角度によっては富士山だって望める圧倒的高さの山々に囲まれていることが新鮮です。

雪のアルプスの山並みをメインにご当地ドローイングスタートです。
冬の昼下がりの光の角度が雪山に程よい印影をつくり絵になります。
人気のない空き地に大量の画材を広げて・・
マスキングテープでアルプスを型取り・・
Cさまのバックをお借りして即席の台で制作中。
Cさまに見守られながら・・
背中を丸めたCさんに弓手スマホで撮影してもらいながら・・この画像はCさま撮影。Cさんは弓手のご当地制作画像の撮影をするのもミッションです。
野外でまさかの!!
野外でド、ド、ドライヤー!?

なんということでしょう!

野外での弓手式ドローイングでドライヤーを使うという初めての試みを、Cさまにご準備いただきました。

電源は・・

充電式のポータブル発電機からです。
ポカポカ陽気とは言え真冬の野外ドローイングでのドライヤーは心強い戦力です。
快適にご当地ドローイングが進みます。
キラキラ画材でアクセントを着けて・・
完成です。
日の短い冬ですから、あっという間に夕陽に染まった現場でしばし自作を眺めて・・


「冬枯れの甲府盆地にて雪を被ったアルプスを望む」
56×76㎝ 完成。


白いガスで霞んだ先に雪のアルプスが見える甲府盆地ならではの光景です。
葡萄の木を剪定した枝をあちこちで野焼きしているのも冬の甲府盆地ならではです。

これで甲府盆地の四季シリーズが全て揃いました。

夕陽の時間はCさんの大好物ですので三脚を立てて至福の撮影タイムです。
あっという間にお隠れになられました。
しばし余韻に浸るCさん。

ところで、

この日は剪定された葡萄の木の小枝がよく乾いていて、野焼きするには絶妙なタイミングだったようで甲府盆地はその煙でかなり霞んでいましたが、山の向こう側に一際大きな狼煙が上がっているのが気になっていて・・

ドローイングした場所を撮影していた画像の一部を拡大してみました。山の向こう側にでっかい狼煙が上がっています。

「あの山の向こうの野焼きは規模が違うなぁ〜」

って何気ない会話をしておりましたが・・

後で分かったのですが、実は山火事だったそうです。やたらと自衛隊のヘリコプターが飛んでいるなぁ〜と三人で話していたのに気づいてませんでした。

ですので、

そんな大変なことになっていたとも知らずに・・

すっかり常連客になっているいつもの海なし山梨県甲府盆地のお寿司屋さん(広寿司さん)で・・

カンペー!!

冬のお鍋最高!!
この白子最強でした!
描きたてほかほかのドローイング作品も肴に・・
お寿司をもたっぷりいただきました。

甲府盆地と言えば一面に広がる葡萄畑がありますから、普通は甲州ワインをいただくべきなのかもしれませんが、このお寿司屋さんの日本酒のラインナップが最強過ぎるので、実はその日本酒がお目当てで毎度お邪魔してたりします・・もちろんお料理も最強にお気に入りです。

今回いただいた珍しい山法師という爆雷辛口の日本酒。山形県のお酒です。
なんと! +28の超激烈辛口の日本酒です。

+10くらいでもかなり辛口だと思いますが、+28のお味は泡盛みたいな濃厚な香りとお味でした。お酒大好物の三人でしたが、さすがに濃厚過ぎるお味ではありました。

いい感じのお月さまが昇っていました。


翌朝。

この日も終日山梨県でご当地ドローイングの予定にしていましたが、甲府盆地は前日の山火事と盛大に野焼きをしてくれたおかげでアルプスも富士山も霞んで見えませんでした。

ので、

ちょっと足を伸ばして河口湖まで行くことにしました。

が・・

天下茶屋という河口湖越しの富士山ビュースポットに来てみましたが・・
見えません・・
富士山の裾野が微かに・・

しかし、この時の外気温が4℃しかなくて、アクリル絵の具は5℃を下回ると固着しないという致命的な性質もあり、スマホ雨雲レーダーによると間もなく雨の予報でもあり、後ろ髪をを引かれながら甲府盆地に引き返す決断をいたしました。

冬のご当地ドローイングはやはり手強いです。

甲府盆地に戻り、秋にも描いたフルーツラインからのポイントにて。
この日もCさまに見守られながら・・
煙で霞んだ甲府盆地で何を描いているかというと・・
野焼きの煙があちこちから上がっています。

冬の甲府盆地の野焼きが風物詩であるのなら、その煙をメインに一枚描いてみようと考えました。

茶色のガードレール沿いに大量の画材を広がて・・

この日はさらに、冬のご当地ドローイング現場に最強のアイテムが加わりました。

な、な、なんと!!

ポータブル発電機によるドライヤーに加えて、カセットボンベ式のストーブまでCさまにご準備いただきました!!

足元ぽかぽかです。
なんと贅沢な冬のご当地ドローイング現場でしょう!
すぐ近くの葡萄棚では、甲州弁で会話しながら剪定作業の合間にお茶しながら楽しまれているお爺ちゃんたちの声をバックミュージックに・・
贅沢にもストーブで乾かしながら・・
Cさんが真冬なのに泡泡を差し入れしてくれてグビリと・・

冬のご当地ドローイング現場でもストーブでぽかぽかですから泡泡も激うまです。

ストーブ&ドライヤー最高!!
真冬なのに最高のコンディションで制作に集中しております。

が、

ドライヤー&ストーブがあると欲望はエスカレートしてしまう訳で・・

Cさまがご自宅に最強のアイテムを取りに行ってくださって・・
なんということでしょう!!

ストーブでぬくぬく贅沢にドローイングしながら、

「このストーブで熱燗したら最強やなぁ〜」

と弓手が呟いてしまったら・・

ストーブの上にお鍋を乗せてお水を入れて熱燗のご準備までしてくださいました。

すいません。

ストーブが無かったらけっこう寒い現場でした。
山火事と野焼きの煙でかなりの霞み具合です。
快適な真冬の現場で仕上げへ・・
完成して残っていた泡泡をグビリと。

「真冬のビールは緩くならへんから最高やわ!」

って呟いたら笑われました。

しばし眺めてから・・

さてさて、

ストーブの上の熱燗の出来具合は・・

さすがに沸騰するようなことはなくて・・
とりあえず仕上がったドローイング作品にお供え?してから・・
人肌程度のぬるさの日本酒をグビリ!!

「この日本酒めちゃ美味いかも!!」

って呟いて、じっくり味わってみると、真冬現場のぬる燗だからというより、このお酒がそもそも美味いことに気づきました。

地元山梨県の「旦(だん)」というお酒です。

山梨県のお酒と言えば葡萄畑のイメージから甲州ワインの方が有名かもしれませんが、僅かな田んぼでお米も作られていて、山梨県の日本酒がここまで美味いとは驚きでした。

さて、

贅沢な環境で仕上げたドローイング作品は・・

「冬の甲府盆地フルーツラインより一面の野焼き」
25×56㎝ 完成。


葡萄棚の葉が盆地一面に紅葉していた秋にこの現場からも野焼きの煙があちこちに上がっていましたが、やはり冬の方が野焼きは本番のようで、この光景は全国的にも珍しい甲府盆地ご当地ならではのものだと思います。

秋の時にも同じく感じましたが、この煙を見ていると仁徳天皇の釜戸の煙の話をほのぼのと想い出しました・・民家の釜戸の煙が上がっていないことを心配した仁徳天皇が、民衆の暮らしが回復して一面に釜戸の煙が上がるまで6年間も無税にしたという・・野焼きの煙を眺めているとぽかぽかといい気持ちになれる気がしました。

野焼きの煙っていいですね・・

縄文大好きな弓手的には、山梨県も縄文遺跡の宝庫であることから、

「・・あちこちに野焼きの煙が上がっているイメージは、縄文時代にもあちこちで土器を野焼きしていた光景もこんな感じだったかも・・」

って想像しておりました。

で、

縄文のクチになってしまいましたので、すぐ近くの釈迦堂博物館へ2回目の訪問をいたしました。

地元民Cさまは縄文をちゃんと観るのは初めてだそうです。
弓手が縄文解説しております。
日曜日の午後でしたが貸切状態でした。

前にもバシャバシャ撮りまくりましたが・・

ついつい撮りまくろうとすると、ドローイング撮影で動画を撮り過ぎていてさすがのiPhoneも電池切れしてしまいここでストップ。

・・重文だらけの釈迦堂博物館で甲府盆地出土の縄文を堪能してから・・

Cさまの診療所へ。
今回もお嫁入り作品のお届けミッションです。
壁一面が・・
しばし見入っております。
今回お届け作品の裏にサインと挿絵を・・
夏の甲府盆地葡萄畑の裏に冬のアルプスを挿絵しました。
夏と春の甲府盆地と奈良の桜と・・

弓手作品の大コレクターになってくださり有り難いです。

左から今回お届けの夏の葡萄畑と秋の葡萄畑と前日に描いた冬の甲府盆地が並びました。
夏と冬。
冬のアルプス挿絵。

診察室にも・・

こんなん飾ってくださってました。

ということで、

2日目のシメのお店へ移動して・・またまた広寿司さんですが・・

超お気に入りの広寿司さんで連日のカンペー!!
お魚はもちろん、この温豆腐が絶品です。
お酒のつまみとして、蟹味噌とチーズみたいな豆腐(臭豆腐ではなくて名前忘れた)とふぐ皮ポン酢と、この日の個人的MVPはイカの沖漬けでした。
シメはちらし寿司。

もちろん日本酒を十四代さま(一合一万超えじやなくて千円代の方)を含めて5種類くらい堪能いたしました。

楽しい宴を終えて・・

あれ?なんか山の上が光ってる?

前日の昼間の山火事が、実は24時間以上経ってもまだ消えていなかったようです。ですが、このタイミングくらいから雨が降ってきて鎮火したみたいです。

全国ニュースにはならなかったようですが、日本でも毎年多くの山火事が起こっているそうです。

ホテル部屋飲みで昼間に弓手だけが堪能した「旦」をCさんにもタン能いただけました。やはりめちゃ美味い日本酒だと一致いたしました。


爆睡して翌朝。

夜に降った雨で山火事も野焼きの残り火も消えてすっきり晴れるかと思いきや、朝の甲府盆地は霧がかっていました。

3日目は静岡へ行かなければならないミッションもあり、霧が消えるのを待つ時間はなくて一路静岡県へ。

2時間半ほど走って絶景の富士山が車窓に見えてきました。

昨年の1月に静岡で個展をした時に富士山をあちこちから取材しましたが、超定番の絶景スポットに行っていなかったことに後で気づきました。

な、な、なんという絶景でしょう!!
素晴らしい!!

静岡県日本平からの富士山です。

今の富士山の高さと形になったのは5000年前くらいの縄文時代の噴火以降らしいので、縄文人たちが最初にこの素晴らしい風景を眺めたのでしょう。

あの美的センス抜群の土器や土偶を作れた縄文人たちですから、この富士山の普遍の美しさに現代人と同じかそれ以上に感動していたと想像したらワクワクしてきます。

スーっと横に伸びる雲がまたいとおかし。
午後からのミッションに備えてスーツ姿のCさんも撮影に熱が入っておられます。
さっそく富士山ご当地ドローイングスタートです。

「すごいご馳走様を前にして何から手を付けようか迷う気分」

です。

ぽかぽか陽気で自然乾燥でも何とかなりそうでしたのでマスキングテープで型取りして・・
下地材を流し込みます。
富士山を独り占め状態。

ぽかぽか陽気とはいえ風は冷たくて、平日というのもありましたがこんな大絶景の有名スポットなのに制作中はほとんど観光客は来ませんでした。

夢中で描き込み・・

しかし、前日まではストーブとドライヤーを野外で使えるという贅沢な環境でしたので、やはり冬の現場の厳しさを改めて実感しました。

冬の雲の流れは早いです。
雲がぁ・・
早くも富士山さま店じまい?
あっという間に日が傾いて・・
完成です。めちゃ寒いです。


「静岡・冬の日本平より駿河湾と富士山」
28×76㎝ 完成。


やっぱり富士山って何回描いても飽きないですね〜

これは美保の松原の松林。昨年のこの時期にここの波打ち際から極寒の現場で描いたのを思い出します。
冬枯れの山並み。
清水の街。
縦構図でも面白いかも。

天候にも恵まれて、2泊3日の真冬の現場で納得のいく3枚を描けましたので、なかなか充実した今年最初のご当地ドローイング取材となりました。

やっぱりドライヤーとストーブって有り難いですね〜

昼メシ抜きで真冬の現場で格闘しましたので夕方の熱々ラーメンがまた激ウマでした。

で、

腹ごしらえしてから今回の最終ミッションへ・・

静岡駅前に車を止めて・・

昨年1月に静岡では初めての個展をさせていただいた松坂屋さんに、ご挨拶と今後の打合せミッションがありました。

これは昨年の静岡松坂屋での弓手個展の時の画像です。

今年も個展をとのお話もありましたが、スケジュールが合わず、来年(2026年)で調整していただく予定です。

「できれば、富士山に雪が被っている季節で・・」

とお願いしてしまいました。

さて、

今年もこれからたくさんの展覧会予定があるので、アトリエに篭る日々に戻りました。

とりあえず直近では

・2/16(日)〜24(月)
 Art Jam Takashimaya 2025
 @osaka_takashimaya_official
・3/6(木)〜9(日)
 Art Fair Tokyo 2025 @artfairtokyo

と、久しぶりに地元大阪(難波高島屋の催事場)での展覧会と、毎年の東京有楽町の国際フォーラムでのアートフェア東京があります。

いいなと思ったら応援しよう!