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精油ものがたり~イランイラン~

その昔、イランイランは「貧乏人のジャスミン」といわれていた時がありました。
ですが、イランイランの濃厚で甘く…そして、その甘さの中にほのかに漂うスパイシーな香り…それは「シャネルNo.5」を始め、名だたる高級香水の香料として欠かせない存在となっています。

その香りは濃厚であるがゆえに好みがはっきりと分かれることでしょう。
しかし、それは他のハーブや花の香りとブレンドすることによって素晴らしい香りのハーモニーを引き出してくれるのです。

香りのブレンダーは、オーケストラのマエストロのようだと思います。
まさに、イランイランをどのように扱うかがブレンダーの腕の見せどころ…といった感じではないかと思うのです。

イランイランの通称はマレー語「花々の中の花」という意味のalang-ilang(一説にはフィリピンの地方の言葉で「そよ風にゆれる花々」という意味)からきているといわれています。

私は30年ほど前にイランイランの原産国でもある、マダガスカル島を訪れたことがあります。
マダガスカルは不思議な国で、アフリカ大陸にほど近いのに独自の動植物の生態系が確立されている国です。
また、その国に暮らす人々はマレー系の人がほとんどです。
そんなところに、イランイランという花の名称の由来があるのかもしれませんね。

さて、香料として素晴らしいイランイランですが、アロマセラピーとしては、どのような効果を発揮してくれるのでしょうか。

私は第一に心臓の鎮静作用をあげたいと思います。
心臓の鼓動が速まった時(頻脈)、過呼吸、それらに伴う血圧の上昇を抑える働きに大変優れています。
また不安やイライラなどで睡眠障害を起こした時にも、その素晴らしい効果を発揮してくれます。
東洋医学の視点からも涼性と湿性を併せ持つイランイラン油は、心熱を冷まし、過剰な神経の緊張を鎮静させてくれ、「心」=「神」の調和をはかってくれるといわれています。

さらにイランイランのもつ催淫作用では、感情のコントロールがうまくいかずに潜在的に性を押しとどめてしまう人々にとって、感情と官能を統合させてくれるのを助けてくれます。
感情と官能は互いが内包して混ざり合うべき存在です。分離してしまうと「心」と「神」は切り離されてしまい、落ち着きがなくイライラしたり、または孤独感や落ち込みが生じて、うつ状態に陥ってしまいます。
あなたの「心」に内在する「神」は愛を表現し、その喜びを経験することにより、その能力を発揮してくれるのです。

灼熱の太陽…楽園の甘い誘惑…イランイランのエキゾティック香りはそんな光景を思い出させてくれます。それは私たちの心の扉をひらき、その中心を見失わせないように働きかけてくれます。
そして、私たちの可能性を引き出すのに大いに役立つことでしょう。

イランイラン
学名:Cananga odorata
科目:バンレイン科
抽出部位:花 [水蒸気蒸留法]
ノート:ミドル~ベースノート
効能:血圧降下作用、抗うつ作用、催淫作用、神経強壮作用、鎮静作用など
使用注意事項:禁忌なし、ただし高濃度での使用は避けた方が望ましい



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