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ただのひとに戻れたらいいねというお話

私の趣味であるゲーム、FINAL FANTSY SERIESの中にはジョブというシステムがあり、ジョブ毎に前線で戦う戦士から後方支援を得意とする魔法使い、妨害、補助、特殊な役割をする忍者や召喚士まで色々なジョブがあり、各々が活躍をして、大きな敵と戦います。
しかし現実はゲームに非ず、私たちの社会はこうしたロール(役割)に重要性、重きを持ち過ぎではないでしょうか。それこそ心身を壊したりするほどに。

かつて昭和の時代は無意味な時間に溢れていました。
「俺の酒が飲めないのか」「ちょっと聞いてよ」酒の席に井戸端会議。
アルコールハラスメント、モラルハラスメントという言葉の概念すらなく、職場に酒瓶やタバコ箱が置いてあり、職業人は取りつかれたように何かあるたびに飲みにいき、誰しもが我が物顔で「俺の時代は、俺なんてこんなに大変な思いをしたんだ」とご高説を垂れることができ、語ることによる愉悦に酔うことができました。
コロナが壁を作る前、SNSが監視の目を作る前は人々が誰しもストーリーを持っていました。令和になってかえって、きつ苦しい規範や取り決めだらけになりロボットのように生きろと言われるのですから皮肉なものです。

親に始まり、友達から恋人と関わっていると、自分のロール(役割)に対してアベレージ、ベンチマークを外付けで決めつけられる、自らで決めつけてしまう場面がありませんか。
勉強をしていても、通信簿についた3は、真面目に授業を受けた賞賛の証なのか、5ではない不名誉な叱責に値する結果なのか、悲しいかな家庭によって違うと思います。
平成の後期から学校のクラスにも一軍から三軍なんておかしなくくりが生まれて、どこに所属するかで、学校生活の質が変わります。同じ学費を払ったのにも関わらず。
しかし遥かに西の国エストニアでは様々な人種の若者が互角とIT技術を学びにきては、そういう垣根は無く有意義な留学生活に勤しんでいるようです。

お金を自由に使えるようになると、友達のサークルのなかで、身に着ける衣服やアクセサリーに貴賤を求められたりして、お金を無駄に消費しなくてならないこともあります。
こういうことを続けていくと、自分自身で自分の生き方や価値観に線引きをおかないと、仕事から結婚、子育てや老後、死に至るまで見栄を張り続けることになるかもしれません。

私たちがこうしたことの自重のかけ方、そして自由を考えるとき。それは健康や幸福を自分自身がコントロールしながら感じられる場面であるときではないでしょうか。
私は昔貧乏で、流行りの物事に触れる機会が無かったので、十代の後半は友達が少ないことや安っぽい服を着ていること、美しい彼女がいないことなど、まるで自分自身の周囲に存在するものをアクセサリーのように捉えて、その貴賤に嘆いている時期がありました。
実にくだらない考え方であり、そこにはいつも値段とか多さ高さなどの『数』に支配されていました。
こうしたことは幸せに生きていくことに1%のメリットももたらしません。

また、出自や親を呪うようなことも極めて不毛なことであると思います。
先の記事でも書いたように、親が毒親であるのならば精神的に親を弑して親と関りを持たずに生きていけばよいだけの話であり、親がそこに居座るのであれば先人・先達の地だと思い、その地は譲ってしまい、その地には二度と足を踏み入れなければいい。
親や容姿の悪さ、教養の欠如を嘆くのであれば、仁義も目頭も切ってしまえばよいだけの話であり、学びを始めればいいのであり、始まりの地点で始まりをしくじった~といつまでも嘆き続けるのは、自分の進歩の欠如へのエクスキューズであると私は最近思います。

必要なことは自分自身が心身共に清潔なことであり、心身共にTPOを弁えることができることであると思います。
ただそれだけ守れば、後は自由に自分の好きな通りに、息苦しくならないようなレベルで自分自身の文化を選択し、尊ぶべき考え方を信じて、またそれに賛同してくれる人と共に生きる方が幸せであると思います。
ただし、ピチピチのノースリーブみたいなTシャツと膝上ショートパンツを履く30過ぎのとっつぁん坊やみたいな奴とは生きていくべきではありません。

年齢を重ねる分、私たちはただのひとに戻れなくなっていきます。
承認された数、大きさ、感覚値をまた同じように求めるも、心身が衰えていき、目に見える強さや美しさが損なわれていくと、簡単に賞賛されることも簡単に褒めてくれる人々も減っていきます。
諸行無常、いつかは無くなるものなのですから、好きに生きてみてはいかがでしょうか。

一日だけ幸せでいたいならば床屋にいけ。
一週間だけ幸せでいたいなら車を買え。
一か月だけ幸せでいたいなら結婚をしろ。
一年だけ幸せでいたいなら家を買え。
一生幸せでいたいなら正直でいることだ。
イギリスのことわざ

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