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映画「ディアファミリー」を見て~この人が救った多くの命を想像して~

先々月になるが、ディアファミリーを見た。
予告を見ている人はなんとなく想像つくと思うが、持病のある娘のために奮闘し、当初の夢であった人工心臓の開発はかなわないが、性能の良いIABPバルーンカテーテルを開発した(株)東海メディカルプロダクツの筒井宣政さんの実話だ。
「家族愛が起こした奇跡」として語られる番組が多く、実際娘さんへの愛があったからこそ成し遂げられたのだろう。
ただ、私はこの「あきらめずに思いをつらぬいて成し遂げること」「人の命を助ける仕事」という視点で、ぜひ進路を考える高校生、仕事選びに悩んでいる大学生に見てほしいと思った。
 
映画の中ではあまり語られていないが、そもそも筒井さんの出身大学は関西学院大学 経済学部。そう、文系なのだ。
私も文系、今は看護師なので、こういった理系の分野の知識はないが、それでもこの開発には材料工学、設計などなど明らかに工学系の知識が必要で、本来はその専攻をした人が開発に携わることは想像つく。樹脂加工の技術会社を継いだとはいえ、相当の努力をしたはずである。私たちは進路を選ぶ際に、文系・理系は大きな分かれ道でありそれがその後の人生を決めてしまうと考えている。でも、人は強い思いをもってあきらめずに取り組めば、文系理系なんて関係ないのではないのだろうか。
 
もう一つは、今の医療はこういった医療機器メーカーの支えがあって成り立っている。
病院内だけでなく、病院外の人も含めたチームなのだ。
ちょうど今日みたラストマイルで、病院にIABPバルーンカテーテルが届かないシーンで医師が「患者が死ぬぞ。」と叫ぶシーンがある。どんどん高度化している医療においては、医師1人の力で患者を救うなんてことはできない。医療機器なくしてできないことばかりだ。
この事実がもっとフォーカスされ、多くの人に伝わればいいのに、と思う。
「人の命を救う仕事がしたいから医師になりたい。」という高校生もいるが、その仕事は医師だけじゃない。もっといろんな仕事があるっていうことを伝えたいなと思う。
ちょうど、子どもの進路選択の時期であるが、「医系コース」「理系コース」「文系コース」に分かれており、医系コースだけ偏差値で区切られていることや、学校の合格実績発表でも医学部だけ別立てすることもあり、「医学部=偏差値が高い」というか、「偏差値が高いから医学部」という雰囲気があるのが悲しい。また、私も看護師になって気付いたが、医療機器、付属品含め輸入しているものが非常に多いのだ。それこそ、優秀な学生が、次世代の医療機器の開発に携わってもらえたら、それこそ多くの命が救われるのだろうと思う。
 
予測できた内容の映画ではあったが、これが実話だと思うと、心があたたまりそして前向きな気持ちになれた。もし、家族の愛に触れたい気分のとき、なにかに悩んで誰かが頑張っている姿を見たいとき、進路に悩む中高生と一緒に話がしたいとき、ぜひ見てほしい映画だ。

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