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映画ラストマイルを見て~社会を動かす力になる~

まだ公開して一週間程度。心揺さぶられた映画だということは誰かに伝えたくて。
ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」を視聴していない人でも十分楽しめる、考えさせられる映画だった。
ドラマのスピンオフは、がっかりするケースも多いが、いい意味で期待を裏切られた感じである。
今の日本が、世界が抱えている課題を、ストーリーに惹きつけつつ映画を見ている人につきつける、さすがの野木亜紀子さんの脚本。
100%ハッピーではないけれど、救いがあるラストになっているので、ぜひ、時間があれば見ていただきたい。
 
この映画を見て、最近感じた私のもやもやを思い出した。
これはネタバレではないので。
富裕層の患者さんと話している中で、最近の高級老人ホームの話になった。
そもそも普通の有料老人ホームでも、入居費諸々の費用を合わせるととても高い(庶民には)。
しかし、高級とうたう有料老人ホームの場合、入居一時金が2000万から4000万 都内では1億ということも。介護保険の自己負担分なしで、月々は30万以上
 
そこまで高額な施設でも施設職員の給与は一般的であるため
基本給15万~18万程度 そこに夜勤手当、資格手当がついてようやく25万程度。これでも介護職員処遇改善加算が入っているのだから、今まではもっと安価だったのだろう。
お金をかけるのは、人材ではなく食材と家具である現実。(配置人数は通常より多いと記載されているホームページは多かったけど)
もし、こういう施設がより高い給与を提示してくれれば、そこに良い人材が集まり、介護の携わる人のモチベーションや技術、サービス力もあがるのではないか。
 
最後に、話を映画に戻して。
この映画は、私たちが今生きている資本主義社会の搾取する側 搾取される側を否応でもつきつけられる。
そして、搾取される側の人間が立ち上がり、逆転するというより、どちらかといえば搾取する側の人間の知力・行動力によって、一歩社会が前進するようなラストだった。
これも現実なのだと思う。
搾取する側 される側の能力の差が、実はいくつかの世代から引き継がれた格差だとしても。
現実に、力があるからこそ俯瞰して課題を見て、改善策を立案し、相手を説得できる。
そういうケースのほうが多いことも、また現実だろう。
でも、その搾取する側の人を動かす原動力は、一生懸命、懸命に働く労働者だった。
 
だから、私は、あきらめたくないなと思う。
MIU404、アンナチュラルにおいて事件の当事者として出演していた少年たちが、今回大人としてそれぞれの人生を生きる姿が描かれていたように。
そう、MIU404で伊吹が志摩に言うように、「生きていれば何回でも勝つチャンスがある」。

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