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ガリガリ君の外側

思えば昔から
しゃりしゃりジャリジャリが
口の中でさけんでいた

「異物だぞゴラァ」
「覚悟せいやおんどりゃあ!」

たいへんやかましい

なめらかな口当たりの
ソフトクリーム🍦は
お上品である

「うふふ。お邪魔しますね」
「まあまあ。お暇いたします。また会う日まで」

なんと奥ゆかしい
貴婦人と話した幼心を思い出す
心をふわりふわりと浮き立たせてくれる

あ、あ、いつでもどうぞ
いらしてください
最大限のおもてなしをいたします
頭がポーっとなったのも束の間

食っちまうでげがす!
ぐっふぐふふ

オレ様の内側には
純情な少年少女がいるのか
劣情にかられた獣がいるのか
自分ですらわからない
巨大シーソーである

ジェラート様は女帝
目の前で盛り付けされようものならば
平伏すのも快感
ど変態と化すのもまた
良い。これまた、良い

今は童心に帰ろう

そう、幼なじみのガリガリ君
しゃりっを包む
アイス部分

格別である

あの部分だけ食したい
切なる願い
だが無慈悲にも
そうはいかない

外側だけ食べて
中身はポイ捨て
とんだゲス野郎だ
そんなオレ様にはなりたくない

オレ様は
小学生以来
購入しなかった

しかし、今年は変わった
頭の中に天啓を得た

「外側だけをスプーンで削り取り
中身は器に盛り
溶かしてジュースにするのデゲス
ゲヘゲヘ」

なんという事だ!?

これなら、食品ロスなんて
起こり得ない

暑い身体を冷やすべく
駄菓子屋を目指す
あるはずの場所に
駄菓子屋が存在していない!
なん…だ、と…

一時帰宅し
母親を詰問する
重要参考人である

「駄菓子屋のおじいさん?
腰を痛めて、後継もいなくてやめたよ。春頃?」

まさか、そんな事になっていたなんて…
ガリガリ君を、逃した。猛ダッシュで
逃げていた

オレ様は気づきもせず
彼を敬遠していた

ああ、過去に戻れるなら
4ヶ月前に駄菓子屋を訪ねて
買い占めれば良かった…

なんて事は思わない

過去に戻る貴重なチャンス
もっと他の
人生を揺るがす瞬間に戻るだろう

コンビニいこ

彼はいた
待ってましたと言わんばかりに
大勢で
なんてそっくりなんだろう
この中から
誰を選べば
より堪能できる?

眺めていると
右から、左から
ひょいひょい
彼はレジへと
ドナドナ

なんという決断力

オレ様は、目があった
1人をドナドナした

冷凍庫に入れ
風呂場へ行く

兄と姉、妹と弟の分を買うのを忘れた
暑さで脳がゆだったのか?
やばいやばい
誰も手を出すなよ

なんだか嫌な予感がする

ベタつく体をシャワーで清め
慌てて出た
やられた!

よりによって繊細な弟が口にしている
責められない
「あー、さっぱりした」
(うああーん。うええーん)
心は土砂降りのぬかるみだ
まっすぐ歩けないよう

オレ様は冷凍庫にかくれんぼしている
貴婦人を捕まえた
くっくっく
笑いが止まらない

ハニー!
清楚な白だね!





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