傀儡

書きなぐり帳

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最近の記事

大学生とか嫌いだ

5限終わりのバスの中。冬が来て外は暗くなるのが早くなった。キャンバストートを抱きしめて座る。乗客たちの後頭部が揺れるのに合わせて、私の体も揺れた。閉ざされた同じ空間で酸素を吸って、同じタイミングで同じように揺れる。私はここから身動きが取れない。目的地に着くまで、沢山の人の中でじっとして揺られるしかない。このバスの揺れは、私の大学生活と同期した動きをしている。 本当は好きでは無い友達と、特に楽しくも無い会話を楽しそうにする。隣で苛立っている人を刺激しないように、本当は動かない

    • 無題

      喉の奥が火傷をしていて、胸の奥が焼け焦げているような、呼吸をすると熱が鼻を通っていき、頬の上で涙が乾いてオブラートみたいになって、染みて少し痛い眼を見開いて、バラバラになった四肢を集めて体全部を縮こませて、一生に一度の慟哭をしたあとのような。 久しぶりにこんな感覚だと思ったけれど、全てをかけて人生をしていた頃は、たびたびこのようになっていたな、と思い出した。 それはとても恵まれたことであり、可哀想なことであり、未熟なことであり、成長痛のようなことであり、孤独なことであり、

      • 無題さっきあったこと

        水の底から水面へゆっくりと浮かび上がるように暗闇から抜け出た。一件の着信とメッセージは旧友からのものだった。携帯のバイブレーションで引き揚げられた私の意識は細かい泡を立てて全身の水圧を押しながら動いた。不在着信の下に、バイト終わりにかけたと一言のメッセージを読んだ瞬間、大きな鉛の塊のような重さが、彼女と私の生活の違いにのしかかった。彼女は充実した大学生活を送っているらしい。充実した生活を送っているらしい。充実した生活を送っているらしい。きっとそんな充実した生活をふと誰かに聞い

        • ジャーナリング 2

          またジャーナリングをしてみる。空きコマのために文庫本を持って来たのに読む気にならない。のでこういう時こそジャーナリングなのでは。今日は朝からやはりぼんやりと気分は優れなくてでも意外と想定するより曇りだった。雨かと思ってた。しあわせになりたい。本を読むほどの頭へのインプット機能が低下していてなぜなら気分が優れないのと昼食をとったばかりだからなのだけど。ともかく午後の授業に出て授業中に呼吸をしながらぼんやりするだけの状態では保てそうだから午後も授業に出てみるか、と思う。疲れている

          ジャーナリング

          ジャーナリングとは らしい。 ジャーナリングをしてみようと思う。本当はあまり自分のなかに毎秒噴出する考えなんかを言語化したくない。ことが多い。とりとめもなくてほぼ同時多発に発生するいくつもの言葉になりきらない記憶や情報を正確につじつまの合った文章にはできないから。私の好きなある人は、というか推しは、言語化すると安心すると言っていてよく分からない。頭が良い人なんだなと思う。ここまできてジャーナリングの仕方が本当にこれで合っているのか分からないことに気づいた。 らしい。合っ

          ジャーナリング

          優しくなれない

          救いたかった人がいる。救えなかった。 世界中に救いを求める人がいる。裸足で雨に濡れて寝る人がたくさんいる。いまにくる空襲に怯えている人がいる。インターネットの記事や動画によってその人たちの生きる環境の苦渋や熾烈さは、あたたかい部屋で布団にもぐりながら肌が粟立つほど感じることが出来る。 でも私はたった一人救いたくて救えなかった人のことだけを後悔する。自分の無力に歯噛みする。無力ななかで作り上げたひとつの理想を一生懸命正当化しながら生きて、でもやっぱり時々苦しくなる。 たった一

          優しくなれない

          一抹の不安

          早く起きすぎて乾いた目をこすりながら、毛布の下から起き上がる。まだ夜が明けたばかりで、カーテンは薄く青みがかった光に透けていた。いつも朝が遅い私には早すぎる。白湯でも飲もうかとよたよたとベッドから降りてキッチンに向かい、鍋に水を入れて火をかける。白湯ができるまでスマホをさわり、カップに注いだ湯が丁度良い塩梅になった頃には、頭が少し冴えていた。ようやく起きたなあと思い、朝食までのこの暇に本でも読もうと、図書館で借りていた森茉莉の本をとってベッドに戻った。1時間ほど読んでいたらい

          一抹の不安

          思い出したこと

          英文を読んでいたら、「euphoria」という単語が出てきた。「幸福感」という意味。 忙しなく文構造と単語の意味を書きとめていた私のペンは止まった。忘れていた思い出がゆっくりとよみがえってきた。 数年前、私は閉鎖病棟に入院していた。 人生を終えようとしていたところを家族に見つかって、急遽決まった医療保護入院だった。 そのとき、私のなかはがらんどうだった。目を開けてもぼやけていて、話し声はくぐもっていて、息をしているのかしていないのか分からなかった。鉄格子のある閉め切られた病

          思い出したこと

          ベランダのつぶやき

          秋の冷たい風に頬を凍てつかせながら、ベランダの柵に手をかけて、うろこ雲と潮入川を眺める。浮かんでは分かれて、いつの間にかしまわれていく思考に言語化がおいつかないまま、ぼんやりとしていた。狭間から天使のはしごをかけながら、雲が風に流されていく。ああ、綺麗だな。消えては生まれる絶え間ない景色が、ざわめく頭と心をゆるやかにほどいてくれるような気がした。 目線を下げて潮が引いた川を見つめる。微かにさざめく水面に、魚が小さく弾けたのか、波紋が広がった。とめどなく波は広がるので、どこま

          ベランダのつぶやき

          渇望

          眠れない。暗闇のなかでざわざわした心だけが目立って目を閉じても治まらない。居てもたってもいられなくなってスマホを開いて書き散らしてる。なにがこんな気持ちにさせてるんだろう。複雑に絡まった感情のほつれを探していく。 しんどい。苦しい。どうして。なんで。どこ。いつ。吐きそう。動悸が。胸がつまる。きつい。落ち着いて。泣きそう。泣けない。涙が出ない。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。ああ、 さみしい。 さみしい。飼い犬に会えなくて友だ

          秘密

          まだ、明言はしたくない。 今はこの輪郭のない繋がりのままでいたい。 じっくりと煮つめて、急かしたい心を押し込めて、 シャボン玉みたいに割れてしまわないように、大事に大事にあつかう。 あの人の本音が見えないものだから、いつもおそるおそる足を踏み入れる。もしかしたらもっともっと踏み込んでもいいのでは?なんて考えながら。 喉でつっかえる欲しがりな手をなだめすかして、桃色に染まった頬に浸っては鏡を見て慌てて自分に帰った。 私ったらまるで。と。 毎晩「おやすみ」の一言だけでも交わせ

          夜は私が弱くなって困る

          夜は私が弱くなって困る

          でも愛してるなんていわない

          どうして世界はこんなに歪なんだろ 優しい人が一生懸命耐えて慎ましい人が馬鹿にされて純粋な人が理不尽を被る 注いだ愛情は流れ落ちて消えてなくなる 不均一に降る幸せを誰もふりかえらない 浅はかな嘲笑と無関心が溢れてる 泥の海から綺麗な貝殻を見つけたみたいな美しさを、ひとつまみだけ含んで。 人間はくだらないからそれだけで全てを見放せなくなる。早く逃げればいいのに、せめて貝殻を傷つけられないように一生懸命まもって 馬鹿だなあ 神様は間違えてる。 こんな世界でなにをどうしろと? 多

          でも愛してるなんていわない

          愚痴。

          なんか着てるTシャツがくさい。生乾き臭って言うのかな、なんかやだ。せっかく風呂上がりで私自身はいい匂いなのにくさい服をまとってるのがやだ。 聴いてる曲もあんまりしっくりこない。別に悪い曲じゃないと思うけどパッとしない。もっとこう純粋な、こんな単純じゃなくてぐじゃぐじゃに絡まった感情を目が覚めるように表現したのがいい。なかなかそういうのに出会わないけど。 今日は寝てばっかだったな。いや今日も寝てばっかだった。月のものもがやってきたからやたら体が重くて、ベッドに縛りつけられてる

          愚痴。

          不快

          ハッとしちゃった、きっと私正直をどこかに置いてきて失くしてしまった、書いた文を見返して見返して歪さを見つけたら潰してく作業に慣れて私のままがどこかに消えてしまっていた、だって誰のことも傷つけたくないし認めて欲しいし愛してほしいし返ってくる槍が怖いしどこかの何かの真似をして角を揃えて几帳面に美しくなろうとしてしまっていたそれは私ではないのに。だって世の中は綺麗に可愛らしく素敵に見せびらかしたもので溢れてるからそのままの私でそんなもの見てしまったら目が潰れてしまう、精一杯当たり障

          おはようとつぶやき

          起き抜けに窓を開けると爽やかな冷気が流れ込んできた。 早朝は半袖では肌寒くなるほど、夏が過ぎていっているようだ。病室にこもりきりなので、窓を開けた時ぐらいしか季節を感じる機会がない。 入院してから3週間ほどたった。心の水の温度があったまってきた感じがする。活動的になろうとすると疲れるが、苦痛さはやわらいでいる。回復期にさしかかってきたんだろう。 でも未来の自分に対する不安は取り除けない。私は無理だということを知っている気になって、縮こまったまま身動き取れずにいる。今ここに

          おはようとつぶやき