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眼瞼下垂手術(保険適用)のクリニックと執刀医、クリニックの調べ方

最終更新日:2023/1/15

はじめまして。この記事にご興味を持っていただきありがとうございます。標題の通り、2022年8月に眼瞼下垂手術を受けましたので、その記録を公開します。

この記事は、YOUさんの下記の記事を参考にして構成などを考えました。とてもよい記事なのでぜひご参照ください。そして偶然ですが私の記事とのちょっとした共通点もあります。

※注意※
某サイトに以前書いた口コミと似ているところがあるかもしれません。ですが、かなり書き下ろし、書き足しましたし、当該サイトに写真は載せていません。

今は「失敗ではない」くらいの気持ちでいますが、まだ術後4ヶ月しか経っておらず今後どうなるかわからないのでその点お含みおきください。「結果」ではなく「経過」という認識で読んでくださると助かります。

自己紹介
・30代後半女性
・調べ物に関する仕事をしている(医学は関係ありません)
・両目が軽度の眼瞼下垂だった
・額の筋肉でまぶたを上げていたため頭部や額の筋肉が硬くなっていた。頭痛もあった
・20歳くらいまで一重まぶたで、25歳くらいまでアイプチを使っていた
・特定のまつ毛美容液を長期間使用したことによるプロスタグランジン関連眼窩周囲炎の疑いがあり、それにより眼瞼下垂が悪化した可能性が高い

術前のまぶた。眼瞼下垂は軽度だが、三重にも四重にもなっている。
術前2。眠そう。
術後1ヶ月のまぶた。有料部分に全顔を載せている。
術後4ヶ月半のまぶた。二重幅はだいぶ狭くなった。12月に打った額ボトックスの影響がありそう

この記事の構成は下記のとおりです:

0. クリニックをどう探したか


眼瞼下垂手術を検討し始めた当初の知識状態は、美容医療のことをほぼ何も知らないに等しい状態でした。眼瞼下垂手術といえば信州大学が有名なのは知っていましたが、遠かったこともあり諦めていました。

ですが、思い立って「眼瞼下垂 地名」などで雑にGoogle検索してみたら、美容外科でも手術していることがわかりました。どの医師なら安心して任せられるかについては、施術を実際に受けた複数の人に話を聞いたり、症例をたくさん見せてもらわないと判断できなさそうだと感じました。施術を実際に受けた人に話を聞くのは難しそうでしたし、そのときは整形垢も持っていませんでした。

関連の学会と専門医資格について

なので、権威に頼ることにしました。学会や専門医制度については門外漢ながら少し知っていたので、まず関連の学会を探し、それらのWebサイトから、近くの専門医を探すことにしたのです。
眼瞼下垂手術に関連する学会はいろいろあると思いますが、私は下記の3学会の専門医について特に調べました。

日本形成外科学会の専門医になるには、下記の要件を満たす必要があります。

(1) 6年以上日本国医師免許証を有するもの。
(2) 義務化された臨床研修2年の後、本制度施設認定細則に定める研修施設において通算4年以上の形成外科研修を行うこと。
(3) 前号の形成外科研修は、専門研修基幹施設における6ヶ月以上の研修期間を含まなければならない。
(4) 前々号の形成外科研修は、3ヶ月以上の地域医療研修を含まなければならない。
(5) 第 12 条に定める症例を経験し、本細則第13条、第14 条に定める記録を有するもの。
(6) 学会主催の講習会(春季学術講習会、秋季学術講習会)4回以上の受講歴を有すること。
(7) 1 編以上の形成外科に関する論文を筆頭著者として発表しているもの(発表誌は年2回以上定期発行され、査読のあるものとする)。

https://jsprs.or.jp/specialist/seido/specialist/index.htmlより一部省略して記載

「第12条」とは、8種類に分類された形成外科の扱う疾患について、それぞれ何件の症例が必要かを示すきまりです。第12条で示された数を含め、直接手術に関与した300症例(うち80症例以上は術者として経験した手術症例)の一覧表を提出します。

さらに、2つある日本美容外科学会の違いとそれぞれの専門医資格について、整形界隈だと常識だとは思いますが知ったとき興味深かったので一応触れておきます。

JSAPSは、日本の医師免許を所持している医師のうち、日本形成外科学会正会員のみが正会員となることができます。形成外科の知識・技術を基礎として持つ医師たちがおもに活動しており、JSAPSの専門医になるにはまず形成外科専門医である必要があります。
JSAPSの専門医になるには、下記の要件を満たしている必要があります。

1. 日本国の医師免許を有し、本学会の綱領に従い、医師としての人格及び見識を備えていること。
2. 申請時において(一般社団法人)日本形成外科学会専門医資格を有する3年以上本学会の正会員で、本学会の会費を完納した者であること(事務局にてチェックされます)。
3. 申請時において3年以内に、本学会が定めた所定の点数を16点以上(年間最低4点)取得している者。
4. 所定の経験症例を有する者。
 専門医制度施行細則第4条に定める10症例を必要とする。

https://www.jsaps.com/members/specialist/guidance.htmlより一部省略して記載

所定の点数というのは、筆頭著者の論文が何本とか、学会発表が何件とか、学会出席が何件とか、そういうやつを換算して出します。

JSASは、形成外科学会に入っていない医師でも正会員になることができ、皮膚科医なども多く所属しています。こちらも、専門医制度があります。
JSASの専門医になるには、下記の要件を満たしている必要があります。

1. 日本国医師免許証を有すること。
2. 申請時において5年以上引き続き当学会の正会員であり、日本先進医療医師会の正会員である者。
3. 当学会の学術集会に5回以上出席した者および同等の学術活動を理事長が認めた者。
4. 当学会の専門医が常勤する施設を研修施設とし、所属長が承認した者。
 5年以上美容外科(内、4年以内に限り形成外科診療期間を認める)を標傍して診療に従事している者で以下の美容外科症例の治療を行なった者。
  ・美容外科手術300症例以上の術者としての症例数
  ・代表症例12症例の症例報告書

http://www.jsas.or.jp/contents/rules.htmlより一部省略して記載

こちらは論文の本数というよりは学会への出席が大事そうですね。

双方の学術集会の発表リストなどを見ているとかなり興味深く、実ははっきりと「こっちの学会はちょっと嫌だな」と思う理由が見つかったりもしました(政治的スタンスの不一致です)。ですが、どちらの学会にも所属されている医師もいますし、どちらの学会に所属している医師の方が優れているということはないと思います。

こういっては身もふたもないかもしれませんが、医師が特定の学会に所属しているとか、専門医であるという事実は別に私の顔面を整えてはくれません資格があっても、手術がうまくいく保証はないのです。まあ私の事例も、今もまだDTなのでなんともいえませんし……。あてにしすぎないようにしましょう。

ただし、世の中には美容外科医は多く存在しており、選択するだけで一苦労です。多くの美容外科医の中から、少なくとも公の団体に提出できるだけの症例をこなしている医師をスクリーニングするために、学会や専門医制度を利用することはできそうだと思いました。

探索方針の決定と調整、実際の探索

調べていくうちに「なんとなくだけどできればJSAPSの専門医がいいな」「できれば見た目のことも配慮してくれると嬉しいので保険適用で手術できる美容外科がいいな」くらいのことは思うようになりました。

そこから、何かあったときにすぐ行ける程度に近くの病院で……などと条件を加えていくと、JSAPSの専門医だと残らなかったので、形成外科専門医でかつどちらかの美容外科学会の会員である医師まで探索範囲を広げました。各学会のWebサイトで居住地方の医師のリストは見ることができたので、そこからは医師の名前でしらみつぶしに検索して、条件に合う医師を探しました。もともと、Googleの検索結果などは上から10000件くらいまで見る方だったのでさほど苦にはなりませんでしたが、効率的ではなかったかもしれません。ただ、知らない分野のことを調べるならそれくらいの回り道は仕方ないかと思います。

Googleとかで近くの医師を探して、その医師が持っている資格や所属学会をクリニックのサイトや学会サイトで調べたほうがふつうに早いとは思います。ただし、Googleなどの検索エンジンは広告を打っているクリニックを優先して表示しますので信頼性に欠ける場合があります。だから検索結果を2ページくらい見て判断するタイプの方は使わないほうがマシまであります。私に関しては先述の通り検索結果を上から10000件くらい見てもあまり苦にならないので、結局学会Webサイトから探すのとだいたい同じ結果になると思います。できるだけ探し漏れを少なくしたくて学会Webサイトから探す方法を取りましたが、量を見られるならどちらのアプローチでも構わない気がします。

※整形界隈の方の情報リテラシー能力は極めて高いと感じています。そうした方にとっては息をするようにできてしまう話なのであんまり書くのもなあと思ったのですが、ここで今まで見てきた調べ物が苦手な人の話をします。検索できない人というのは検索結果を2ページくらい見て「どこにもありませんでした」「見つかりませんでした」といいますし、検索式や検索語をどんどん変えて検索するということもしません。そうならないためにどうするかという話ですが、検索結果を10000件見る必要はないので、検索式や検索語をどんどん変えてみるのは結構おすすめです。AND、OR以外の検索演算子も調べてみると楽しいです。私はGoogleなら「””」(完全一致)が大好き。なんでも囲みます。
あと、脱毛やボトックスなどについて調べるなら、業者の記事を排除するために例えば「エラボトックス -選 -おすすめ」というふうに業者の記事に共通して出てくる言葉を指定してマイナス検索をすると、へんなランキングなどを見なくて済みます。

上記の調査で医師を絞ったのち、クリニックのWebサイトやInstagramなどのSNSも含めてWebに上がっている症例を網羅的に確認します。

論文の確認

論文を読むのはやらなくてもよかったかなと思ったのですが、楽しかったので触れておきます。候補の医師の論文も、日本語と英語で探して読めたら読みます。知識がないと読みこなすのは難しいので、Abstractだけ確認するくらいでもいいと思います。論文は、無料データベースならGoogle ScholarやCiNii researchなどで見つかることがあります(ぐぐりましょう)。大学生の方は、自分の所属大学の図書館で医学系のデータベースを契約していないか確認して、もし契約していたらそこでも探してみましょう。PubMedとか医中誌とかです。その医師が何が得意なのか、どんな術式に興味があるのかがわかるかもしれません。別に論文書けるからって手術がうまいわけではないのですが、出席点で専門医取った方より論文書いてる方のほうが私の中ではポイントが高めでした。

裁判例検索

あと一応、裁判例検索をつかって裁判を起こされていないか調べました。医師の氏名でも検索しますが、プライバシー保護のために氏名が伏せられていることもあるので、一応「形成外科」「美容外科」「眼瞼下垂」などいろいろな検索語を使って、関西の裁判所の判例を確認します。名前が伏せられていることが多いので検討中の医師の判例かは調べても基本わからないものだと思っていいのですが、よく読んでいるとまれにわかるときがあります
判例をよく読んでも裁判で使われている用語って独特なのでよくわかんないんですが、そういうときはまずとっかかりに「美容外科」などで検索して、検索結果の中に使えそうな用語を見つけてまた探すことを繰り返します。医師の活動期間で判例の時期を絞り込むのも良いです。
裁判例検索では、下級裁判所の判例は一部しか探すことができませんので、大学生の方や大きな図書館が近くにある方は有料データベースのD1-Lawなどを使うのがいいと思います。
判例の探し方については国立国会図書館のリサーチ・ナビが詳しいので、徹底的にやりたい方は見てみてください。

執刀医の決定

最後に、Googleやいくつかの口コミサイトなどに不安になる書き込みがないか一通り確認しました。後述する執刀医は逆に、口コミが異常に良すぎてとても不安になりましたが、今はその理由はなんとなくわかります。

最終的には2件カウンセリングに行き、印象はだいたい同じくらいだったので症例が好きだった2件めの執刀医に決めました。あんまりカウンセリングに行かなかったのは後悔しています。検索結果を延々と見るのはできても外に出るのはできないんですね。そっちの方が致命的だとは思います。

執刀医は、クリニックのWebサイトにはJSASの専門医と形成外科専門医などとしか所属学会や取得した専門医資格を書いていません。WebサイトからはJSAPSに所属されているかはわからないのですが、学会Webサイトを確認するとJSAPSにも正会員で所属されているようです。所属するだけなら形成外科学会に入っていれば誰でもできますが、JSAPSの学術集会には参加してみたいなと思うくらい楽しそうだったので、ここで勉強しているならけっこうアリかもと思いました。

なんとなく形成外科専門医はあるといいなと思っていた理由も書いておきます。私は学生の頃に頭部に怪我をしていて、救急で縫った傷を翌日形成外科で縫い直してもらったことがあります。救急で「確実に痕になると思う」と言われていた傷を見た形成外科の医師が、「絶対にきれいに治せる」と言って本当にきれいに治ったのが強烈に印象に残っていました。それで、形成外科になんとなく信頼感があったのです。

1. クリニックと執刀医、価格、高額医療費制度について

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