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美瑛繋がりラボ×美瑛町商工会セミナー「幸せに働き、生きるヒント vol.2」

 3月17〜20日に行われた美瑛コワーケーションビレッジに、僕の所属する龍谷大学経営学部眞鍋ゼミの学生11名が参加させていただきました!18日には、美瑛繋がりラボ×美瑛町商工会セミナー「幸せに働き、生きるヒント vol.2」が開催され、その内容を石河祥太という眞鍋ゼミの同期が記事風にまとめてくれました。ぜひご覧ください!

―公演概要―

 3月18日、美瑛町四季の情報館にてドイツの心理学者であるナーディアさんの講演会が催された。講演は、私たちが幸せに働き、幸せに生きるためのヒントを伺う場として。ナーディアさんの立場はいわば「心のコーチ」である。自分自身の見つめ方について、彼女の特に心理学に専門的なその知見を諸所に覗かせた講演の内容は、大きな二つへの分類を許されそうだ。

―変容の地図―

 彼女の幸福追求の論理の源流には、四象限によって構成される「変容の地図」という独自の物差しの存在が確かめられた。彼女は、国籍をまたぐ複雑な家族関係の上に積み重なり続けた耐忍の日々と不幸福の実感とを崩さんとする抵抗の中で、自己と向き合うための効果的な柱を発見した。それこそが、「変容の地図」である。彼女はそれを、今度は私たちにも伝え、共有してくれた。
 変容の地図は、私たちの幸福への地図だ。その詳説は彼女自身の言葉(https://www.conscious-u.com/about-us/)にこそ最適なはずであるから概略のみを添えると、地図を成す四象限間のバランスを適切に保たせることが、幸福への道筋の一つであるというものだ。
 あらゆる地図に共通する意義は「俯瞰」である。この地図に授かる俯瞰は、「自分の置かれている状況の俯瞰」だ。地図の象限に自分を当てはめる方法を説明され、私たちは実践の足掛けを得た。図中に落とし込んだ自己を代表する文字は、すべてそのまま分析の鍵となる。具体的にどの象限から手を付け始めるのが有効であるかなど、地図には乗らない実際性をも、彼女は徹底的に示してくれた。

 ―投影―

 講演の後半をつくったのは、「投影」についての話だ。彼女はここで二つの例を並べた。ひとつは、普段自身が周囲へ抱く「怒り」に、自己の無意識的抑圧を見るもの。もう一つは、私たちの「お金に対する意識」に、自己の資質や不満を見るもの(こちらは、イギリスのピーター・カーニック氏の言説に基づくもの)である。
 どちらも、分析の端緒は私たちの中にある比較的醜悪とされやすい感情で、本来は逃避や忌避、或いは解消を要求するものに思われる。しかし彼女は、それらに対する新しい視点をもって、私たちのそうした感情への短絡な自罰傾向を払拭した。
 既述したように「怒り」や「お金観念」こそがまさに自己の投影物そのものであるから、むしろ私たちはそれらを歓迎すらして然るべきなのだという。「決してそれがあなたのすべてではない。多種ある中のただひとつの感情が一時的に主張を強めただけなのだから、心配には及ばない。それらと向き合うのは怖いことかもしれないが、その勇気はきっとあなたに報いる」と、彼女は講演の中で幾度も私たちに寄り添い、また背中を押した。
 彼女は、これら投影の話に、私たちの備える感情の色々を喩えた「感情の部屋」というものを並行させて、聴衆の理解を助けさせていた。自身の体験や、そうした比喩を巧みに交えながら、私たちのイメージをより統一に近づける彼女の話は、高い密度で、そのうえ至極平明に富み、私がその純度のままに救いあげることが出来るのはほんの僅かばかりに過ぎないように思う。
 少しでも興味や好奇の情をくすぐられるようであれば、ないしはあなたが今のあなたに満足していないようなら、是非彼女の直接の言葉に目撃を捧げてみてほしい。机上に並ぶ彼女の言葉は、空論でなく経験と実際の色を持つ。

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