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ラストダンス【エンタメ小説】

 ※本文は1,840字数です。

 生まれてはじめてのアダルトレビュー⭐︎は最悪だった。結局、世の中の誰も求めてやしない代物なのだから。煮ても焼いても炙っても、アダルトレビュー⭐︎はアダルトレビュー⭐︎にしかならない。
 冒頭から「シンジ君!シンジ君!」と逆突っ張り棒をひたすら掲げながら一晩中踊り続けた。俺は明らかに赤面して、まるで自分自身があのハギワラシンジになったつもりでいた。
 兎にも角にもハギワラシンジは伝説だ。
 亡くなって100年以上が経つ。幕末期にまだ世の中にラーメンみたいなものしかない時代につけ麺を開発し、一人でつけ麺文化を謳っていたと伝えられている。
 なぜ俺がハギワラシンジに夢中になったかと言うと、彼が南アフリカ地域で生息しているというニュースを見たからだ。一つ断っておくが、記事元はYahoo!ニュースである。
 ハギワラシンジはつけ麺文化の陰の創設者であり、奇しくもアダルトレビュー⭐︎の創設者でもある。
 つまり、一見相容れないと思われるアダルトレビュー⭐︎とつけ麺文化がコラボする時代が令和の今すぐそこまで迫っている。
 シンジが生息していると言うことは、世の中にメシアが現れたということつまり、聖人コガヒロトを連れてくる、いやギョク王ヒロトは神の如くニッポンに降臨し、いよいよ内閣総理大臣になるということだ。
 「ハギワラシンジ君。」
 何回も魂の底から名前を呼ぶ。君付けなんて懐かしい。歌とダンスのジャニーズ以来だ。SMAPとTOKIO・・・色々あった。
そう言えば、光GENJISUPER5なんてのもいたか。彼らは、イケメン。いやつけ麺文化の創設者である我らがハギワラシンジ様が世界のどこかに生息している限り、生きる希望は捨ててはいけない。
 夫婦別姓問題だって、内閣総理大臣の古賀裕人氏が何とかしてくれるはずだ。
 濃密な会話が世の中を侵食していく。アダルトレビュー⭐︎だって、つけ麺文化だって世の中がきっと求めているに違いない。コラボするのは自由であり、誰の手でも止めることは不可能なはず。
 ところで、前回ヒロト⭐︎シンジが志村けんのバカ殿メイクの全裸で「変なおじさんだから変なおじさん」と連呼し、ダンスらしきものを踊り狂っていた。あの後、地球は一体どうなったのか?アダルトレビュー⭐︎とつけ麺文化のコラボは無関係なのか?彼ら二人こそ、生まれたままの状態で教祖として崇められる存在ではなかったのか?変なおじさんダンスは、ただの変なおじさんダンスではないのだ(是非とも、二人のダンスをご覧ください)。人を見た目だけで判断するのは時代錯誤と言うべきだろう。お天道様は必ず見ているのだから。
 古賀首相が、いよいよ夫婦別姓についての法律を制定する日が来た。
 「古賀ぁ〜内閣総理大臣。」
 議長が雄々しくその名前を呼ぶ。
 古賀総理はスクっと立ち議会をジロっと一度見渡した。俺は思わず、固唾を飲んでテレビに釘付けになった。
 推定2m30cmと大きな体躯をした彼は予想よりも遥かに巨大に見える。仮に大谷翔平との2ショットでもその巨大さが一目で分かる。時として、体躯の大きさは人間の器そのものである。
 「えー、夫婦別姓の前に私は一つだけ皆さまに申し上げたいことがあります」
 えっ?
 「夫婦別姓である前に我々は人間です」
 いやもちろんそうだが。
 で?
 「夫婦には第三の存在が必要ではないだろうかと思うのです」
 は?
 「私は、盟友ハギワラシンジくんのアダルトレビュー⭐︎とつけ麺文化のコラボレーションを本気で考えている」
 いや、だからお得意の焦点外しですって古賀総理。さすがに、国会の答弁で下ネタはダメよ。
 さらに拍車がかかる。
 「夫婦だけではなくもう一人の人物がいれば、夫婦間は良好になり・・・」
 何だこりゃ。
 国会中継が突然お昼のNHKニュースに切り替わった。
 後日、アダルトレビュー⭐︎とつけ麺文化は相性が悪すぎるということで決議されなかった。
 ただ、「第三の存在」と連呼する古賀総理の男気には奮い立つものがあったものの、アダルトレビュー⭐︎との整合性について説明がなかったことにはどうも納得がいかなかった。第三とは家族における3人目を指しているのか、それとも夫婦関係に関わる弁護士とかなのか。
 後日、東スポの一面でついに第三の男が加わるというニュースが報じられた。御両人はどこまでも日本を侵食しようと企んでいるようだ。
 俺の頭の中は、あの白抜き文字でこう浮かんだ。
 次回、「『第三の使徒』にシンジはどう立ち向かうのか?!」だって〜?



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