INTMAX 概要
INTMAXとは?
INTMAXとは、Ethereumのレイヤー2ソリューションの一つです。
レイヤー2とは、ブロックチェーンの基本層(レイヤー1、ここではEthereum)とは別に機能し、トランザクションやスマートコントラクトの処理をオフチェーン(ブロックチェーンの外部)で行うことで、トランザクション処理のスピードと効率を向上させる目的で開発された技術のことで、これにより、オンチェーン(ブロックチェーン上)の負荷が軽減され、全体のスケーラビリティが向上します。
レイヤー2技術の主流:ロールアップ
現在主流のレイヤー2技術はロールアップというもので、これはオフチェーンでトランザクションを実行し、複数のトランザクションを1つのブロックにまとめてレイヤー1に提出する技術です。
ロールアップは、他のスケーリングソリューションであるチャンネルやサイドチェーンと比べて誰でも参加でき、より高度なセキュリティを維持できる特性があります。また、Optimistic RollupsとZK Rollupsの2つに大別され、それぞれ異なるセキュリティモデルを持っています。
ロールアップの問題点
しかしながら、ロールアップにも問題点があります。
それが、データの可用性の問題です。ロールアップではオフチェーンの取引データを圧縮してオンチェーン上(Ethereum)に載せる必要がありますが、その際にガス代が多くかかってしまう問題があります。
また、アカウント残高などのブロックチェーンの現在の状態を確認するには、トランザクションデータにアクセスできなければなりません。レイヤー 1では、すべてのトランザクションデータをパブリックにアクセス可能にすることでデータの可用性を確保しており、ロールアップでは、基盤となるブロックチェーンのデータ可用性に依存し、すべてのトランザクション データをレイヤー 1 に投稿しています。このデータは多くのノード間で更新する必要があるため、ブロックチェーンまたはロールアップがサポートできる 1 秒あたりのトランザクション数が制限されてしまいます。
EIP4844でBlobという新しい領域が導入され、この問題はある程度解決されましたが、根本的な問題は解決しておらず、また、ブロックのガス代が高くなってしまうと、そのロールアップのガス代も高くなってしまうリスクがあります。
ステートレス・ロールアップ
この問題を解決するために、INTMAXでは、「ステートレス・ロールアップ」という技術を用いています。
これは、ユーザー自身がトランザクションデータを検証して保存することで、Ethereumにあまり負荷をかけずにスケーラブルな送金が実現できるというものです。
ステートレス・ロールアップでの単純なトランザクションの場合は、ブロック内のトランザクションセット (Merkle ツリーのrootなど) へのコミットメントと、証明を受け取ったことを確認する送信者の署名を提供するだけです。ユーザーは、送信したトランザクションの証明と受信したトランザクションの証明を組み合わせることで、残高のゼロ知識証明を生成できます。この方法を使用して、既存のロールアップと比較してスループットを向上させることができます。
ステートレス・ロールアップでは「cyclic recursive ZKP」という技術を用いています。
Cyclic Recursive ZK-Proofs
cyclic recursive ZKP の概要
cyclic recursive ZKP の概要について説明します。
まず、通常のZKPは次のようなスキームです。
「proofAを検証する」という計算自体にZKPを適用して、「proofAは正しい」ことを証明するproofBを作るスキームをrecursive ZKPといいます。proofBを検証すればproofAを検証したことになり、結果として計算Aが正しいことが確認できます。この再帰関係をチェーン状に回数無制限に繰り返したものがcyclic recursive ZKです。一番最新のproofを1つ検証するだけで、途中全てのproofの正しさを検証することができます。
INTMAXでは、ユーザーの残高の正しさは、そのユーザー自身がZKPで証明します。送金や受け取りなどによって残高が変動する際は、ユーザーは「以前の残高のproofが正しい + 今回の残高変更が正しい」ということを証明するproofを作成します。このZKPは再帰的な構造を持っているためcyclic recursive ZKPと呼びます。最新のproofを検証するだけで、過去全ての残高履歴の正しさを検証することができます。
INTMAXのメリット
ここまでの内容から、他のレイヤー2ソリューションと比較したINTMAXの具体的なメリットについてまとめます。
ステートレス構造:従来のロールアップは全てのトランザクションデータをレイヤー1に保存する必要がありますが、INTMAXはユーザー側でデータを保持するため、レイヤー1への負荷が軽減されます。
ロールアップの場合はネットワークが混雑するとガス代が高騰してしまいますが、INTMAXではステートレスにより混雑してもガス代は一定に保たれ、スケーラビリティに優れています。ユーザー中心のデータ検証:ユーザー自身がトランザクションの証明を管理・更新するため、より迅速かつ効率的に送金が行えます。
高いセキュリティ:cyclic recursive ZKPにより、システム全体の正確性が効率的に保証され、セキュリティ、スケーラビリティが向上します。
まとめ
このようにINTMAXは、Ethereumのスケーラビリティ問題を根本的に解決するために生まれた革新的なレイヤー2ソリューションです。ユーザー中心のデータ検証とcyclic recursive ZKPを用いたステートレス構造により、高い効率性とセキュリティを実現しています。
これにより、Ethereum上でのトランザクションのコストと速度が大幅に改善され、より多くのユーザーがブロックチェーン技術を活用できるようになります。
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