見出し画像

40になって思うこと。


自意識にドライブされていた

40ちょい前から明らかに自意識が落ち着いてきた。
それは実感できるレベルで30代前半とも中盤とも違う感覚。
本当に常に他人の目が気になっていた20代。
どんなに鏡を見たって変わらないのに
何か変わるような気がしてずーっと鏡を見ていた日々。
コンプレックスの種はたくさんあった。
ブス。デブ。肌汚い。顔テッカテカ。他人とろくに世間話もできない。。。
実際どうしようもなかったけれど。
すべての行動が別の誰かに動かされているような定まらない感覚。
それがやっとやわらいできた。
あれが自意識というものなのだと思う。
最近は自転車に乗っていても無理して立ち漕ぎをしなくなった。
キツければ坂道を押して上がったっていい。
横を学生が追い抜いて行っても関係ないんだとやっと思えるようになった。
別に学生どうこうではなく自分の中の何かが確実に自分の行動を制約していた。
その枠がゆるんできたんだな。
それがいいことなのかわるいことなのかはわからない。
けれど、マイペースにしか生きれないんだなということはわかってきた気がする。

なんだかんだ恵まれてた

30代最後に行きつけの有料発展場に行った。
そこでメガネの落ち武者のようなおじさんに手を出された。
僕はその手を受け入れなかった。厳密にはシカトに近い対応をした。
発展場に行く度、この人はどうやって性処理をしているのだろうというような容姿の人を見かける。
他人のことながら心配になるレベルの人達を。
なんだかんだ僕は体格に恵まれてブスだけどやれる位置に居る。
このことはなんとか僕の精神を保つことにつながっていた。
厳しいゲイのルッキズムカーストの中で箸にも棒にも引っかからない人生というものもあったかと思うとやっぱり恵まれていたと思う。
僕の額も順調に後退しているしあの落ち武者のようなおじさんにしたことをされるかもしれない。そんな遠くない未来に。
それでもどうしようもない容姿を愛でてまだいけるまだいけると信じて生きていくのだろう。
性だけが人生ではないけれど性が全く満たされない人生はかなり厳しいだろうことはわかっているつもりである。

正気を保つ努力をしてきた

長野・中野市4人殺害事件の容疑者を知れば知るほど境遇が似ているような気がする。
事件から1年ということで報道された地元長野のローカルニュース動画をYouTubeでいくつか見たのだ。
農業中心の田舎から都市部の大学に行き、そこで精神を病み両親に地元に帰らされるという流れが似ている。
彼は東京で僕は福岡で出た都市部のレベルも父親の地元の名士っぷりもまぁ段違いちゃあ段違いなんだけども。
それでも実家が太い。農家の長男。極端にセンシティブ。
なんかは共通しているところがあるんじゃないかと勝手に思っている。
けれど、境遇が似ているからと言ってみんながあんな凶行を起こしていたら世の中大変なことになる。当然、僕もあんなことは想像もできない。
彼と僕を隔てたものは何だったのだろう。
自分なりに考えてみた結論は僕は僕なりに正気を保つ努力をしてきたのだということだ。
僕が一番精神的にヤバかった時は本当に誰にも会いたくなくて山にこもっていた。
ただでさえ田舎の実家から車を飛ばしてさらに田舎の山道に車を止め何時間も過ごした。車の中で夜を明かしたこともあった。
ずっとフロントガラスに打ち付ける雨を見続けたり山と山の間を流れていく霧をずっと眺めていたりもした。
家に引きこもっていた時期もとにかく遠くに行きたくて徘徊するようにずっと県内をドライブしていた時期もあった。でも、どこまで逃げても家からも家族からも自分からも逃げられなかった。
けれど、一時的にでも物理的に離れたことでなんとか精神を保てたような気がする。
彼にはそういうもがく時間があったのだろうか。
立派な果樹園の仕事もご両親が用意されていたようなのでそういう時間もなかったのかもしれない。
正解のない中でどうすればよかったのか。僕も未だにわからない。
家との向き合い方、家族との向き合い方、自分との向き合い方、何一つ解決していない。
それでも、自ら死を選んだり他人を傷つけたりすることを選ばなかったことだけは自分を褒めてあげたいと思う。
彼の母親が大学時代に適切に病院につなげなかったことを悔やんでいるという報道も見た。見ていてすごく胸がしめつけられるようだった。
田舎の人間の病院への距離は未だに遠いと感じている。もちろん精神的なハードルが高いという意味だ。
周囲の目や世間体が優先される田舎でそれが精神に関わる病気だとしたらなおさらだろう。
僕もそういう病院に行けたのは20代後半になってからやっとだった。
何がどうなって無事?40を迎えられたか、自分でもわからない。
やっぱりどこかの部分で恵まれていて薄氷を踏み抜かなかっただけのような。そんなことを日々思う。

いいなと思ったら応援しよう!